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【最近は、こんな感じ】 100年続く老舗カフェに。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

32 Maigo

<Profile>
Maigo(まいご)
生まれ年:1996年
出身:浙江省台州市
職業:『Café Maigo』経営
小紅書 @maigo迷子
Ins @maigo27_

ほろ苦カラメルソースの硬めプリンと、
ブラウスにエプロン、揃えた前髪、
シティポップ。
このジャンルは多分、Maigo風。
1人でカフェを切り盛りする彼女は、
少し前まで銀行員だったらしい。


――まずは『Café Maigo』(建国西路366号)について教えてください。
Maigo 2021年にオープンしたカフェです。上海は生活のテンポが速いので、ずっと、あれこれを忘れてのんびりしたり、おしゃべりしたりできるような場所を作れたら幸せだなと思っていて。お客さんが家以外でゆったりした時間を過ごせるような場所を提供したいな、と。

――全部を1人で? 
Maigo はい。スイーツをつくるのも接客もです。コーヒーもゆっくり淹れるので、急いでいるお客さんには「のんびりすぎる!」と言われてしまうことも……。

――プリンが人気ですよね。すごくおいしいと思います。
Maigo 以前日本に行ったときに喫茶店で食べたプリンがすごく印象的で、作ってみようと思ったのがきっかけです。出してみたら、「コーヒーとプリン」の組み合わせで頼んで下さる方がいっぱいいて。特に、ご夫婦で来る日本人のお客さんが多いです。お休みの日にコーヒーとプリンでおしゃべりしに。彼らにそういう空間を提供できているということが幸せだなと思います。

――こだわっていることは何ですか?
Maigo その日に出すものはその日に作ること。あとは品質。材料はいちばんいいもの、新鮮なものを使っています。

――もともとお菓子作りや料理の勉強はしていたんですか?
Maigo いえ、独学です。私、銀行員だったんです。

“『a社』の服が好き”

――銀行員。
Maigo でも、自分の生活だから好きなことをやりたいなと思って。出身は浙江省の台州市で、働いていたのは杭州だったんですが、上海にはよく遊びにきていたし友達もたくさんいたので、上海でカフェをやろう、と。銀行を辞めるとき、親にはものすごく反対されました。

――そうなんですね。でも『Café Maigo』はファンも多いし、成功しましたよね。
Maigo 成功は全然してないです(笑)。オープンから3年経ちますが、まだ全然成長していないと思います。頑張らないと。

――ところで、以前お店に伺ったときも思いましたが、メイクやスタイリングがすごくかわいいなと。影響を受けている人はいますか?
Maigo いないです。自己流です。メイクも、使っているのはバラバラ。『3CE』と、『TOM FOAD』の口紅くらいで、あとは何を使うか決めていません。

――ファッションはどうですか?
Maigo 『a社』かな。

――『a社』。
Maigo 日本の『AMBIDEX』っていうアパレルブランドです。中国では『a社』って呼ばれてる。

――知らなかった……。『小紅書』で『a社』って検索するとかわいい服がいっぱい出てきますね。
Maigo 日本に行ったときにそのブランドの実店舗で買ったり、代理購入で買ったりしています。

――日本っぽいものが好きになったきっかけは何ですか? お店のBGMもシティポップだったり。
Maigo もともと日本のドラマは見ていましたが、やっぱり最初に日本に行ったときのあの感じがインパクトがあって。中国とは雰囲気も気質も全然違うと思いました。今年の6月か7月にも京都へ行く予定です。小さいカフェがたくさんあると聞いたので。

“本当に迷子だった”

――では、今後の目標を教えてください。
Maigo ずっとこのお店をやっていくことです。100年くらい続く老舗にしたい。日本の喫茶店は、高齢のオーナーがコーヒーを淹れてくれるお店がたくさんありますよね。ああいうのが夢です。あと、90何年かかりますけど(笑)。

――上海市内で、ほかに気になっているカフェはありますか?
Maigo ほかにですか。うーん……やっぱり、私のお店が好きです。ほかはどこも他店を意識してやっている気がして。「最近はこういうのが人気だから」とか、「うちはもっとこう」とか。比べている感じがあって、そのカフェ独自の思想がない感じがします。『Café Maigo』は、カフェでもあって、リビング、書斎でもあって、ミニ私設博物館でもあります。『Maigo(迷子)』という店名には、迷子の子供たちの居場所になりたいという意味も。すべての人に見つけてもらえるような、暖かいお店になれたらと思っています。

――なるほどー。内装や家具もMaigoさんが選んでるんですよね。
Maigo はい。この、店内の照明のガラスのシェードは日本のリサイクルショップで見つけました。特にそれを探しに行ったというわけではなく、通りがかりに見ていいなと思って。

――最後に、なぜご自身の名前もMaigoなんですか?
Maigo お店を始めた当時は仕事も辞めたばかりで、今後どうするか方向も定まっていなくて、本当に迷子だったからです。でも最近は、反対していた両親も支持してくれるようになって、やりたいことができていると思えるようになって、少し落ち着いてきたかなと思ってはいます。
(取材日:2024年4月24日 撮影地:建国西路『Café Maigo』)


<彼女のお勧め>

『INNO DINING』(上海市徐匯区嘉善路512号)
☆夫婦で経営している日本料理店。お店の近所なのでよく行く。いつも頼むのはサワー類とお好み焼き。やきそばとしょうが焼きもお勧め。

『上海動物園』(上海市長寧区虹橋路2381号)
☆広い原っぱがあって、木がたくさんで植物園の要素もあると思う。お気に入りのすごくきれいな木があって、この前もそこで写真を撮った。ピクニックに行くのにお勧め。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06
☆2024年5月19日、『文学フリマ東京38』(東京流通センター)に『ketchup.』で出展します。ブース番号は「P-31」です。ぜひ遊びに来てください。

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe


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