midoriki_tomo

こんにちは。 詩とか小説を書きます。

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記事一覧

翻案小説|伊勢物語『高子姫』

 梅の花が咲き、その香りが春の訪れを知らしめる頃に、もう誰も住んでいない東の五条の御邸の西の対にある家に訪れる男がいた。平安京に音聞く歌人であった。男は廃れ、雑…

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2年前

言の葉|今、黎明。

 今、黎明、僕は僕を見失いつつある。夢を語って、その夢のためだけに生きてきた自分が消えつつある。深夜から小さく鳴り続けていたどこかの虫の音が聞こえたり聞こえなか…

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2年前
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あめくらい

 雨音って不思議だね、通話越しで少しノイズの入った彼女の声がそう言った。  外は雨が降っていた。ぽつぽつ、蛙の鳴き声は錯覚かもしれないね、って僕が言うと君は、も…

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2年前
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草稿|詩人と人喰いの鬼

こんにちは、緑木ともです。 現在執筆中の作品の冒頭部分(まだ草稿の段階ですが)を公開しようと思います。 内容はそのまま詩人と人喰い鬼のお話。 今まで書いてきた物語…

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3年前
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こんにちは。

12月26日に誕生日を迎えて、16歳です。 心機一転というわけでもないけど、noteなるものを始めてみようかと思います。 文を書いていく人生ですが、ここに何か残すのもまた…

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3年前
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翻案小説|伊勢物語『高子姫』

翻案小説|伊勢物語『高子姫』

 梅の花が咲き、その香りが春の訪れを知らしめる頃に、もう誰も住んでいない東の五条の御邸の西の対にある家に訪れる男がいた。平安京に音聞く歌人であった。男は廃れ、雑草が茂る家の側に座り、昼はまたぼんやりと、春の季節ならではの長雨を眺めていた。いつかに恋焦がれた女に詠んだ歌を思い出す。そしてその恋の先に立つ哀れな自分に、あの歌と変わらず、あの恋は胡蝶の夢のようであった、と思ってしまったのである。

「起

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言の葉|今、黎明。

 今、黎明、僕は僕を見失いつつある。夢を語って、その夢のためだけに生きてきた自分が消えつつある。深夜から小さく鳴り続けていたどこかの虫の音が聞こえたり聞こえなかったり、朝日が見えたり見えなかったり、好きな言葉を口ずさめたり、口ずさめなかったり。━━あるべきだったものが、深夜から揺らぎ揺らぎ揺らぎ続けて、ついに夜明けに闇と共に晴れてしまった。

 人は多くのことを考え続けなければならない。それが原罪

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あめくらい

 雨音って不思議だね、通話越しで少しノイズの入った彼女の声がそう言った。
 外は雨が降っていた。ぽつぽつ、蛙の鳴き声は錯覚かもしれないね、って僕が言うと君は、もしかしたら私の家の方かもって笑った。都会で時々聞こえる虫の声の正体ってなんだろう。雨の時に聞こえるあの虫の声って、気になってはいたけど答えは知らない。きっとGoogleだって知らないことだってあるんだよ、と君が言う。それもそうだね。答えなん

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草稿|詩人と人喰いの鬼

こんにちは、緑木ともです。
現在執筆中の作品の冒頭部分(まだ草稿の段階ですが)を公開しようと思います。
内容はそのまま詩人と人喰い鬼のお話。
今まで書いてきた物語の中で一番構成を練りました。というか構成やテーマをきちんと細かく編んだのは今回が初めてかもしれません。
誰かに響く作品に仕上げていきたいです。

 麓の街から見た山は恐ろしいほどに美しかった。その山について住民に聞くと、なぜか誰も近づかな

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こんにちは。

12月26日に誕生日を迎えて、16歳です。

心機一転というわけでもないけど、noteなるものを始めてみようかと思います。

文を書いていく人生ですが、ここに何か残すのもまたいいのかも知れません。

またね。