midizine by MIDI INC.

レコード会社、ミディ(MIDI)が運営するwebマガジンです。 https://mid…

midizine by MIDI INC.

レコード会社、ミディ(MIDI)が運営するwebマガジンです。 https://midiinc.com/

マガジン

  • 酒場にて

    日本全国常に一見。だが、旨い酒にはこと欠かない。酒と少しの音楽の話。ロンサム・ストリングス、ホープ&マッカラーズを主宰する音楽家/ギタリスト、桜井芳樹による連載。

  • ベトナムは猫年

    ベトナム・ホーチミン在住のチズさんによる連載。日々、おいしいものとおもしろいものを探して、街を探索しているチズさんが、ベトナムの「今」を日本人目線で発信しています。連載名はベトナムの干支には猫が含まれており、連載開始の2023年が「猫年」であることに由来します。

  • toi toi toiの余韻嫋嫋(よいんじょうじょう)

    愛知を拠点に活動中の、イトウマ、坪内万里コ、吉岡優里の3人による短歌グループ「toi toi toi」が送るエッセイ&短歌。余韻嫋嫋とは「ここちよい音やなつかしい音などが、ずっと残って消えないさま/思い出や詩文などのもたらす、ここちよい余情」を意味します。

  • Grand Teachers アーカイブス

    昔の記事を再アップしていきます

  • ア・ガイド・トゥー・ノーウェアー

    カナダのシンガーソングライター、アイザック・ヴァレンティン(Isaac Vallentin)が、ノバスコシアでの暮らしを綴る連載です。MIDI Creativeよりリリースのアルバム『Amateur Japanese Edition』も是非!https://midiinc.com/album/amateur-japanese-edition/

最近の記事

高槻

 まずは前回の続きから始めよう。  『ジャズ大名』愛知・刈谷公演の中止の報を受け、バンドメンバーはその場ですぐに機材を片付け始めた。最初はその翌日に機材バラシの日を設けることになっていたので、ある程度まで纏められれば、と思っていたのだが、そのある程度までになってくると、もうこれはきちんとトランポ出来る最後の状態までやってしまわないと気が済まなくなり、速やかに作業を終了した。これで翌日はただ東京に戻れば良いのだ。そして急いで駅の窓口に行き、チケットの乗車変更をする為の列に並んだ

    • HACOへのロングインタビュー!生い立ち、作曲への初期衝動、アフター・ディナー結成からソロまで、その軌跡を辿る

      アヴァンポップ・グループ、アフター・ディナー(After Dinner)やホアヒオ(Hoahio)での活動が世界的に注目されている、音響系ミュージシャン、HACO。音楽活動を開始した80年代初頭から現在に至るまで、ソロ・コラボレーション問わず、数々のプロジェクトを展開し、近年はサウンドアートの文脈でライヴ・インスタレーションやレクチャー、ワークショップも精力的に行うなど、活動の幅を広げています。  HACOは1995年、ミディ・クリエイティブ(MIDI Creative)よ

      • 記録されないまま消えていったベトナムの流行り物のはなし

        街の様子を注意深く観察していると、いろいろなものが流行っていることに気がつきます。 特にバイクや車周りの流行は老若男女問わず、手に取りやすいような手頃な価格のプラスチック製品であることが多く、大体1年スパンくらいで流行が移り変わるようです。 私がベトナムに住み始めた2019年ごろ、爆発的に流行っていたのはこの二つでした。 ヘルメットを被ったアヒルちゃんです。 おや?と思った人もいらっしゃるはずです。そう、こちら日本のダイソーで販売されていて、お見かけになった方もいるかと思い

        • 【短歌&エッセイ】ふくよかな娯楽

          歌舞伎を観てみたいなあ。と思いつつも、チケットを取るのはなんだか難しそう…となかなか行動に移せずにいた私の耳に朗報が入る。市川海老蔵改め、市川團十郎さんの襲名披露と、その息子にあたる市川新之助さんの初舞台公演が2週間にわたって名古屋の御園座で執り行われるらしい。しかもネットで調べたところ、通常なら一万円以上するチケットが学割でなんと三千円で観劇できてしまうらしい。学割史上、いちばんテンションの上がる学割だった。そうともなれば、いそいそとチケットを購入... 歌舞伎を観てみた

        マガジン

        • 酒場にて
          midizine by MIDI INC.
        • ベトナムは猫年
          midizine by MIDI INC.
        • toi toi toiの余韻嫋嫋(よいんじょうじょう)
          midizine by MIDI INC.
        • Grand Teachers アーカイブス
          midizine by MIDI INC.
        • ア・ガイド・トゥー・ノーウェアー
          midizine by MIDI INC.
        • ゆらゆら台湾
          midizine by MIDI INC.

        記事

          神戸

           2024年1月『ジャズ大名』は西に向かった。まずは兵庫県神戸市。個人的には最近では昨年秋に西宮でのタンゴのコンサートで演奏したり、この辺りはそこそこ訪れる機会が多い地域だ。しかし神戸市街地では、何と言っても三宮での演奏が多く、ここ神戸駅付近に来たのは、かれこれ十数年ぶりくらいだろうか。  1月3日に箱根駅伝による交通状況を気にしながら、横浜KAATに機材を預ける。搬入口を奥に入ると、すでに11tのトラックに大道具が積み込まれている最中で、指定の場所に機材を纏めて、再度確認し

          【アーカイブス#106】角を曲がればいつも新しい何かが待ち受けている。デヴィッド・ドンデロが歌い続ける理由。*2020年9月

          1971年、アメリカの非営利法人のCorporation for Public Broadcasting(アメリカ公共放送社)によって設立されたのがNational Public Radioだ。全米に900ほどある加盟局に番組を配信し、インターネット放送や加盟局のストリーミング・サービスの代行などを行なっている。現在はNational Public Radioの頭文字を採ったNPRが正式名称となっている。 NPRのホームページを見てみると、「NPRはより情報に明るい人々を生み

          【アーカイブス#106】角を曲がればいつも新しい何かが待ち受けている。デヴィッド・ドンデロが歌い続ける理由。*2020年9月

          【アーカイブス#104】なぜ今「A Hard Rain's A-Gonna Fall」なのか。イライザ・ギルキースンを聞いて。*2020年6月

          いろんなところでもう何度も繰り返してしつこく書いているが、ぼくがフォーク・ソングに夢中になったのは1960年代半ば、中学生の頃だ。最初はキングストン・トリオ、ブラザーズ・フォア、ピーター・ポール&マリーといった、当時人気のあったモダン・フォーク・コーラス・グループを追いかけ、そのうちぼくの関心は彼らがレパートリーとしている歌を作っているフォーク・シンガーたち、ウディ・ガスリーやピート・シーガー、ボブ・ディランやエリック・アンダースン、トム・パクストンやフィル・オクスなどへと移

          【アーカイブス#104】なぜ今「A Hard Rain's A-Gonna Fall」なのか。イライザ・ギルキースンを聞いて。*2020年6月

          【アーカイブス#103】ジ・アザー・フェイバリッツ*2020年5月

          昔と違って最近はぼくも YouTube で音楽を聞く(見る)機会が多くなった。YouTube で見たいミュージシャンや気に入っているミュージシャンの動画や音を聞いていると、その機能に対して何か専門的な言葉があったようにも思うのだが、「次はこんなのはどうですか?」、「こちらもお勧めですよ」と、関連性のありそうなミュージシャンやこちらが好きになりそうなミュージシャンを YouTube が親切に教えてくれる。そこでそれまで知ることのなかった新しいミュージシャンとの出会いが生まれたり

          【アーカイブス#103】ジ・アザー・フェイバリッツ*2020年5月

          【アーカイブス#102】やきいもから10年。シモーン・ホワイトの新しい歌。*2020年4月

          シモーン・ホワイト(Simone White)。彼女の2009年のアルバム『Yakiimo/やきいも』と2012年のアルバム『Silver Silver/シルヴァー・シルヴァー』は日本でもPヴァイン・レコードから発売され、当時かなり話題にもなったので、シモーンの歌に耳を傾けたり、彼女の名前を覚えている人はたくさんいることと思う。とりわけ2009年のアルバム『やきいも』には、「やきいも」という歌が入っていて、シモーンは「やきいも/いしやきいも/やきいも/おいしいやきいも」と日本

          【アーカイブス#102】やきいもから10年。シモーン・ホワイトの新しい歌。*2020年4月

          【アーカイブス#101】ワンダーどころかワンダー・フルなボニー・ライト・ホースマン。*2020年2月

          「This album is a wonder」 きっかけとなったのはぼくの大好きなアイルランドのシンガー・ソングライターのリサ・ハリガン(Lisa Hannigan)が今年 2020 年の 1 月 27 日にツイッターにツィートしたこの一行の文章だった。 彼女はボニー・ライト・ホースマン(Bonny Light Horseman)の「親愛なる友だちのみなさん、いよいよ今日がその日です! わたしたちのアルバムが 37d03d レコードからいたるところでリリースされます! すべ

          【アーカイブス#101】ワンダーどころかワンダー・フルなボニー・ライト・ホースマン。*2020年2月

          【アーカイブス#100】トム・ラッセルの50年の歴史。深く豊かな世界から学ぶことがいっぱい。*2020年1月

          最近トム・ラッセル(Tom Russell)が作った「マンザナール/Manzanar」という歌を日本語にして歌い始めた。1993年にトムが発表した『Box of Visions』というアルバムの中に収められていた曲で、その後トムは1997年のアルバム『The Long Way Around』の中にもケイティ・モファットと一緒に歌っているこの曲のライブ・バージョンを収録しているし、2007年に発表されたジョニー・キャッシュやランブリン・ジャック・エリオット、ジェリー・ジェフ・ウ

          【アーカイブス#100】トム・ラッセルの50年の歴史。深く豊かな世界から学ぶことがいっぱい。*2020年1月

          【アーカイブス#99】ジャスティン・ラトレッジの高く澄んだ歌声が運ぶ長く続く道の詩。*2019年12月

          一年に二、三度ぼくがライブをやらせてもらう東京のお店に御茶ノ水のWoodstock Cafeがある。つい最近、今年2019年の12月にもそこでライブをやらせてもらった。Woodstock Cafeの店主の阿部俊典さんはアメリカやイギリスのシンガー・ソングライターのアルバムのコレクターでもあり、お店に行くといろんなミュージシャンの新しいアルバムや珍しいアルバムがたくさん並べられている。それらを確かめるのもぼくにとってはWoodstock Cafeに行く楽しみのひとつとなっている

          【アーカイブス#99】ジャスティン・ラトレッジの高く澄んだ歌声が運ぶ長く続く道の詩。*2019年12月

          【アーカイブス#98】冷たい世界をあたたかな炎で包むジョナー・トルチンの歌。*2019年11月

          『Fires For The Cold』、今年2019年9月にリリースされたジョナー・トルチン(Jonah Tolchin)の最新アルバムのタイトルだ。ジャケットは厚いコートを着た二人の男がドラム缶で燃やされる火のそばに立って暖をとる姿が線画で描かれている。「寒い思いをしている者たちに炎を」、要するに困窮している人たちにあたたかい助けの手を差しのべようと訴えているようにも受け取れる。このアルバム・タイトルの言葉は今は亡き詩人、メアリー・オリヴァーの言葉から取られていて、「寒い

          【アーカイブス#98】冷たい世界をあたたかな炎で包むジョナー・トルチンの歌。*2019年11月

          【アーカイブス#97】ジェスカ・フープ*2019年8月

          今年2019年の夏にリリースされたジェスカ・フープ(Jesca Hoop)の新しいアルバム『Stonechild』がとても素晴らしくて、繰り返し耳を傾けている。これはまたこの「グランド・ティーチャーズ」の連載でジェスカのことを取り上げなくちゃと思い、前回書いたのはいったいいつだったのだろうかと過去の文章を遡ってみた。 前回5月に書いたカナダのバハマスの文章は何と「グランド・ティーチャーズ」の第96回目で、そこからどんどん遡って、2009年4月の記念すべき第一回目のベン・ソリー

          【アーカイブス#97】ジェスカ・フープ*2019年8月

          【アーカイブス#96】バハマスはアフィー。カナダとフィンランドとバハマと日本が繋がる。*2019年5月

          「ヘイ、ゴロー! 今夜は大阪にいる。明日が東京で、それからいなくなってしまう。東京にいるのかな? 会えたら最高。明日の夜ツタヤのO-nestでバハマスでライブ」 ドン・カーからこんなメッセージが届いたのは、5月21日の午後のことだった。ドン・カーはカナダのミュージシャンで、ロン・セクスミスとは1987年からの音楽仲間というか親友で、1996年にロンが日本で初めてライブを行った時も、彼はバンド・メンバーとしてドラムスやチェロを担当していた。 1995年のロン・セクスミスのデビュ

          【アーカイブス#96】バハマスはアフィー。カナダとフィンランドとバハマと日本が繋がる。*2019年5月

          【短歌&エッセイ】深夜のカラオケ

           カラオケの小窓から、店員がすごい速さで駆け抜けていくのが見える。先頭の店員の後を追うように、次々としかめっ面の店員たちが私たちのいる部屋の前を過ぎ去っていく。私と友人のA子は、「ミュージカル 美少女戦士セーラームーン」の『ラ・ソウルジャー』を前傾姿勢のサイドステップを踏みながら熱唱している最中だった。 「え。まってなんか走ってない? 運動会か何か?」  A子は歌うのをやめて、でもサイドステップは踏みながら、私に話しかけた。 「本当だ。何事? 運動会じゃん」  私も歌

          【短歌&エッセイ】深夜のカラオケ