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まだ道半ばなのかもしれない

やり切ったと思っていた。
もう思い残すことがないくらいに、一生懸命になったと思っていた。

昼下がりに一本の電話が鳴った。

「先生と話がしたくて。相談したくなって。」

昨年卒業した教え子の母からだった。
電話先の彼女は、とめどなく溢れる不安のように、言葉が止まらなかった。

若くふんわりとした雰囲気の彼女のことを思うと、決して誰かに相談するような感じではなかったと慮る。

結局、電話は30分ほどだった。
彼女の琴線に少し触れたのだろうか、不安をかき消すかのように同じ言葉を繰り返し、最後はにこやかに電話を切った。

話をしたいと思える相手でいられること。
話を聞いてもらいたいと思える相手でいられること。

年に一度ほどだろうか、決して忘れることのできない瞬間がある。

彼女との電話は、がむしゃらに過ごした日々に、少しの未練を残す。

さあ、これから何を示して生きようか。

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