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一文の長さは平均「30~40文字」、では読みやすい文字数は?

今年5月に「 一文の長さはなぜ「40~60文字」が読みやすいとされているのか?心理学者が提唱」を公開したところ、note公式さんに紹介いただき、大変読まれる記事になりました。

<前回までのまとめ>

  • 読みやすい文の長さについて、多くの書籍で「一文40~60文字」と記されている。

  • なぜそう言えるのか根拠を調べてみたところ、1960年代、心理学者が導き出した数字と判明。

  • 現在に即した文字数は不明。

心理学者が一文の文字数を調べた理由
長い文は複雑でわかりにくいから、長い文はよくない。
ただ、人によって感じ方は異なる。
時代によっても変わる。
基準が知りたい。
よし、日本語の標準的な一文の文字数を調べよう!

波多野完治『現代文章心理学』『実用文の書き方』『文章心理學入門』より筆者が気持ちを代弁。

一文平均40~60文字とされたのは、1960年代

では、2022年現在、一文の長さは平均何文字なのか?

結論、現在の一文の長さの平均は「30~40文字」です。
当時と同じ手法で、様々な文章全体の一文の平均文字数を調べ、さらにそれらの平均値を算出したものです。

読みやすい文字数は残念ながら不明です。

なぜ不明なのかについては、事情があります。
気になる方は、ぜひ最後までお付き合いください。

■ この記事を書いている人
Webコンサルタントで、大学の非常勤講師。
大学ではWebライティングの講義を受け持っています。

プロフィール(2023年2月更新)


1. 一文平均「30〜40文字」が標準

1960年代と2022年の電話の違い
1960年代と2022年の電話の違い

1960年代は、固定電話が発売されたころです。
固定電話が各家庭一台あるかないか。

2022年現在は、スマートフォンを一人一台持っていることが一般的な時代です。

1960年代、アメリカの文章心理学者モナ・シェパードは提唱しました。

「一文平均15~20語」で書きなさい。

1960年代の日本語

英語の「一文平均15~20語」は、1960年代の日本語では「一文平均40~60文字」です。

心理学者の波多野完治先生が、様々な文章を調査された結果でも「一文平均40~60文字」になりました。

2022年の日本語

現代日本語では英語の「一文平均15~20語」は「一文平均30~40文字」です。

私がWeb上に書かれた様々な文章を、波多野先生と同じ手法で調査したところ、「一文平均30~40文字」でした。
(2022年6月公開のWebページ)

2015年の言語学の論文では、日本人が書いた作文について「一文平均30~40文字」という調査結果が出ています。

①一文の長さは、たいていは30字~40字程度であり、平均して33.45字となる。

文体・性別・年齢からみる一文の長さ: 日本人母語話者の作文を調査資料にして 応用言語学研究論集2015年3月 劉玲

Webでも紙の文章でも一文平均30~40文字が標準。
ここまで、標準について述べました。

読みやすい文字数かどうかを調べたものではないので、読みやすい文字数はわかりません

ですが、Webの文章であれば調べる方法があります。

2. 読みやすい一文の文字数はWeb調査でわかる

ユーザにとって見やすいかどうか

Webでは見やすさが大事

Webの文章はPCやスマートフォンなど電化製品を使って閲覧するので、見やすさが重要です。

Webの文章はWebデザインの一つです。

Webデザインで大切なこと
「各ユーザにとって使いやすいか、見やすいか、操作しやすいか」

調査方法

読みやすい一文の長さについて調査方法を紹介します。

最後まで読まれた文章を調べることにより、読みやすい文の長さがわかるでしょう。

ユーザはストレスを感じるとすぐページからいなくなる傾向にあります。

Webページは紙と違い、まともに読まれません。

どのくらい読まれていないか?

ニールセン・ノーマン・グループの調査によると、79%の人が新しいページを見る際に常にスキャンするように見ており、ページのすべての単語を読む人はわずか16%です。

上部や左部ほどよく見られ、基本飛ばし読みされることもわかっています。

● Nielsen Norman Group “F-Shaped Pattern For Reading Web Content (original study)

文章を読む感覚でWeb上の文章を読む人はほぼいません。

最後までスクロールされて見られた文章を調べることにより、一文の長さに限らず、「読みやすいWebの文章」について多くのデータが得られるでしょう。

例えば、文章の構成、タイトル、リード文(導入文)、見出し、章、空白行、改行等の最適な在り方がわかります。

日本語の調査結果がない

私が調べた限り、現在、日本語の調査結果はありません。
見やすい文字サイズ、見やすい文字の色等はありましたが、文章に向き合っている調査はありませんでした。

日本語の調査結果がないので、英語を参考にしているのが実情です。

ただ、日本語は英語と異なり最後まで読まないと文の意味がわかりません。
このため、英語の結果をそのまま参考にしていいのかと疑問が残ります。

今後、日本語の調査が行われれば、読みやすいWebの文章について解明されるでしょう。

Web関係者の方は、ここまでの話で「UI/UXリサーチ」のことを言っているなと思われていると思います。
そうです!
UX調査するとわかります。

3. まとめ

  • 一文の平均文字数は「30~40文字」が標準。

  • Webライティングの読みやすい一文の長さについては不明。
    ただ、調査すればわかる。

今回、解決できていないので公開するかどうか迷いました。

ただ、最近やたら「UI」「UX」を目にするんです。
Web関係以外でも広く使われるようになりました。

ストレスなく、快適に使ってもらえるようにすること(モノ・サービス全般)。

Webライティングでは、スムーズに最後まで読めること。

あらゆる分野でUXが重視される世の中、UXについて書くのもありかと思い、公開しました。

本当は、7月8月と時間をかけて調査した一文の文字数について詳しく書きたかったのですが、調査するほどに「標準であって推奨ではない」ことに気づきました。
このため、頑張った部分がたった一文で終わってしまう記事になりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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2022年3月、私が3年間大学で講義したレジュメをもとに、10代から大人まで幅広く学べるようにまとめた書籍を刊行しました。

\今月(10月)重版ありがとうございます!/
【新著】『一生使える Webライティングの教室』(2022/3/23発売)

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