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最近の記事

【MeWSS論文コラム】 Publishの前のもう一つ_プルーフ

 論文アクセプトを見事獲得した著者の皆さん、おめでとうございます。幸せな気分をぜひ満喫してください。でも実際に出版(publish)されるまではまだ完全に気は抜けません。最後にもう一つとても重要なタスクが残っているのです。Proofチェック(著者校正)です。  雑誌を発行する出版社では、編集部とプロダクションチームは独立しています。最初に原稿を受け付け、査読者の意見を参考にアクセプトを決めた担当編集者とはもうお別れです。アクセプト後の論文原稿は、編集者の手から完全に離れてプロ

    • 【MeWSS論文コラム】 論文投稿の楽しみ

       原著論文を書くのはやっぱり時間がかかります。  すでにデータも全部出揃っていて、ストーリーも比較的単純で、論文全体をメディカルライターが執筆するという案件のご依頼をいただき、昨年から進めていました。どんなに時間がかかったとしても半年もあれば楽勝と思っていたのですが、作業開始から投稿までに1年以上かかりました。著者の本業が忙しいことは最初から分かっていることですが、今ちょっと忙しいと言っている間に簡単に2−3ヶ月過ぎていることもよくあるので、思ったようには進みません。  苦労

      • 【MeWSS論文コラム 外伝】 サプリメントのエビデンス

         これを書いているのは2024年梅雨真っ只中、雨が降るか、降らないとしても高温多湿の毎日です。さらに普通に生きていると何かしら気が重いことも発生します。こういう時、仕事でちょっといいことがあったり、面白い論文に出会えると気分が晴れるのですが、それが叶わない時はChatGPTさんに遊んでもらいます。今回のコラムはいつもとは違い、論文の書き方には関連しない「外伝」としました。ご興味のある方はお立ち寄りください。  サプリメントの広告をあちこちでよく見ます。機能性食品に付帯している

        • 【MeWSS論文コラム】 査読者のこと

           査読してほしい、もしくはして欲しくない人の名前を、投稿時に書くように求めている医学ジャーナルはたくさんあります。以前は、同じ組織(大学や研究所など)に所属している人は推薦できないという程度で、比較的緩かったのですが、最近は同じ国の人はNGと言われることが多くなりました。高インパクトファクター(IF)雑誌には、査読者推薦は必要ないものが多いです。こういう雑誌はエディターが社員でかつ専門家(分野別というよりも雑誌のポリシーについての専門)なので、エディターの一次スクリーニングを

        【MeWSS論文コラム】 Publishの前のもう一つ_プルーフ

          【MeWSS論文コラム】 AIで論文は書けるのか?

           システマティックレビューにAIがどこまで助けになるのか、色々試してみましたが、想像以上に役に立ちました。search strategyはこれまで自分で作っていましたが、漏れがないようにと考えると色々調べる必要がありますし、時間もかかります。それをChatGPTに頼むと一瞬で提案してくれるので、これは使わない手はないです。  一方テーマ(クリニカルクエスチョン)についての提案は、残念ながらそのままでは一般的過ぎたと言えます。既に世の中に公開されている情報から導き出されるものな

          【MeWSS論文コラム】 AIで論文は書けるのか?

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その3

           前回のコラム「実践編その2」で、ChatGPTにsearch strategyを作ってもらいました。それを使ってPubMED検索すると、動物実験と英語以外の言語を除いて期間を10年以内に限っても、1500件以上からなる文献集が出来上がってしまいました。  本来であればこの後は、タイトルとアブストラクトから解析に含めるものを選択する作業なのですが、無理して大量のデータを処理しようとするのはあまりお勧めできません。自分一人だけなら「やります」で済むかもしれませんが、システマティ

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その3

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その2 ChatGPTに訊いてみた

           論文作成に生成AIがどこまで役に立つのか、興味がある方は多いでしょう。実際に利用されている方もいると思います。「どこまで」という疑問に対して言えば、今後2−3年の間にできる範囲は想像以上に広がりそうです。頼めばなんでもやってくれそうなところに近づいていくでしょう。AIがどこまでできるかではなく、「どこからどこまで人間がやるのか」を決めるのか決めないのかということになりそうです。  システマティックレビューでいえば、1. クリニカルクエスチョンを決める、2. 網羅的検索、デ

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その2 ChatGPTに訊いてみた

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その1

           システマティックレビューは文献検索から始まります。ベースとなるデータは、バイアスを可能な限り排除することが基本であり、システマティックという名前の示すように、できる限り「網羅的」でなくてはなりません。そのためには、三つ以上のデータベースから情報を収集した方が望ましいという論文が出ています(Lemeshow AR, et al. Searching one or two databases was insufficient for meta-analysis of obser

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その1

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューのプロトコール

             システマティックレビューのプロトコールを登録・公開する、PROSPEROというサイトがあります。2011年発足以降2020年時点で登録数は10万を超えたそうです。登録したプロトコールは永久に保存され、検索に表示されます。 https://www.crd.york.ac.uk/PROSPERO/  システマティックレビュー論文を投稿するのにPROSPERO登録は必須ではありませんし、競争が激しい分野のメタアナリシスなどは、登録しないことも多いでしょう。PLoS jo

          【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューのプロトコール

          【MeWSS論文コラム】 投稿雑誌を決めるためのJournal 検索サイトの使い勝手

           論文の計画が立ったらなるべく早く投稿雑誌を決めた方がいいというのはこれまでも何度か書いてきました。雑誌によって書き方やword数制限が違うので、書き上げてから直すのは時間がもったいないですし、投稿しようとする雑誌に掲載されている論文を見ることで、Discussionの書き込み具合など傾向が見えてきて、より書きやすくなります。  普段からよく読む雑誌に投稿するのが一番簡単ですが、そのような雑誌がない場合、もしくはその雑誌とは合わない内容で論文を書こうとしている場合など、いちか

          【MeWSS論文コラム】 投稿雑誌を決めるためのJournal 検索サイトの使い勝手

          【MeWSS論文コラム】 学会発表からのケースレポート論文 その2

           症例報告とは、世にも珍しい症例にたまたま当たらないと書けない論文だというイメージを持っていませんか?確かに一部の高IF雑誌には、素人が読んでも小説のように面白いケースレポートがあったりしますが、多くの皆さんはそういうものを目指しているわけではないと思います。  前回もご紹介した、二つのケースレポート専門誌のAuthor guidelineの一部を抜粋してご紹介します。 Clinical Case ReportsのAuthor Guidelineに以下のように書いてありまし

          【MeWSS論文コラム】 学会発表からのケースレポート論文 その2

          【MeWSS論文コラム】 学会発表からのケースレポート論文 その1

           今回から2回くらいに渡って、学会発表した内容をケースレポートとして論文投稿するまでの流れと注意点を書いていきたいと思います。  前回のコラムで、学会発表したものと同じ内容を論文発表しても、一般的には二重投稿にはならないと書きました。しかしこれは、雑誌によって考え方が変わります。さらに全ての雑誌がケースレポートを受け付けているわけではありません。適切な投稿雑誌を決めることはとても重要です。  日本人患者さんのケースレポートだし、びっくりするほど珍しい症例でないのであれば、投稿

          【MeWSS論文コラム】 学会発表からのケースレポート論文 その1

          【MeWSS論文コラム】 学会発表した内容を論文にしたら二重投稿になるか?

           とある学会に参加していたとき、学会発表したものと同じ内容の論文は二重投稿と見做されるというご講演がありました。 私の知らない間にジャーナルのポリシーがそんなに大きく変わったのかとショックを受け、早速まずはChatGPTに聞いてみたところ、確かにそういうジャーナルは増えているとの回答! many reputable medical journals adhere to the principle that presenting data at a scientific mee

          【MeWSS論文コラム】 学会発表した内容を論文にしたら二重投稿になるか?

          【MeWSS論文コラム】 英文ケースレポートについて

           随分前ですが、ちょっと変わったシステマティックレビューを書いたことがあります。とある治療薬が世界で使われるようになって2−3年経ったころで、その薬に伴う副作用が報告されたケースレポートを網羅的に集めてレビューしました。英語で書かれた文献を対象としてその数は100を超えましたが、残念なことに日本からの報告が一つも入らなかったのです。  論文の書き方セミナーで質問を受けていると、日本の臨床医の先生方はケースレポートをあまり好んでいないのかな、と感じる場合があります。これは私の個

          【MeWSS論文コラム】 英文ケースレポートについて

          【MeWSS論文コラム】 学会英文誌投稿のすすめ

           投稿雑誌について考えるのは、結果が出てからでいいと思っていますか?間違っているとはいいませんが、なるべく早くから考え始めることをお勧めします。研究デザインも、投稿雑誌によってどこまで頑張るかが違ってきますので、研究のプロトコールを策定している段階から考えるのがベストです。  投稿誌を決める因子としてよく言われるのはインパクトファクターIFですが、初めての投稿からこれにこだわりすぎるのは、いいこととは言えません。雑誌を選ぶのにはいくつかのポイントがあります。 (1)商業誌か学

          【MeWSS論文コラム】 学会英文誌投稿のすすめ

          【MeWSS論文コラム】 総説論文について

           前回はシステマティックレビューを取り上げ、これが多くの場合原著論文として扱われると述べました。原著論文が未発表のオリジナルな研究結果だけを発表するものであるのに対し、総説論文は公表された研究結果のみを扱うものであり、その位置付けは全く異なります。  過去一般的に「総説」と言われてきたものは、ナラティブレビュー(narrative review article)と言われるカテゴリーに分類され、主に研究者個人の意見を述べるために書かれるもので、そのベースとなる文献を引用しつつ論

          【MeWSS論文コラム】 総説論文について