【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その2 ChatGPTに訊いてみた

  論文作成に生成AIがどこまで役に立つのか、興味がある方は多いでしょう。実際に利用されている方もいると思います。「どこまで」という疑問に対して言えば、今後2−3年の間にできる範囲は想像以上に広がりそうです。頼めばなんでもやってくれそうなところに近づいていくでしょう。AIがどこまでできるかではなく、「どこからどこまで人間がやるのか」を決めるのか決めないのかということになりそうです。
 システマティックレビューでいえば、1. クリニカルクエスチョンを決める、2. 網羅的検索、データ処理、3. 文献の読解、評価、ディスカッション、と大雑把に3つに分けると、少なくとも2は、AIに任せたら作業が楽になりそうです。
 でもどうせなので、今のオープンAIに全部丸投げしてみたらどうなるか、試してみましょう。 「1.クリニカルクエスチョン」について、以下の質問をChatGPTに投げてみました。
「What clinical questions would be hot if we conduct a systematic review research in a clinical science now?」
結果をここに再掲載するのは避けますが、ご興味があるのならこの質問をコピーして入れてみてください。笑うほどあっさり10のテーマが提示されました。確かにこれは面白いかも、と思われるものもありましたが、多くはちょっと一般的すぎなのでは?と思われる、つまり誰でも思いつきそうなものと感じられました。
システマティックレビューやメタアナリシスだけを書いて仕事としている人たちも世界にはたくさんいるようなので、逆に言えばここで提示されたテーマは誰もがやろうとしているか、既にやっていることだとも言えます。
 システマティックレビューに限らず医学の論文とは、臨床から得られたクリニカルクエスチョンに答えを与えるためのもの、と個人的には考えています。人によって考え方は違うと思いますが、ご自身の専門分野で独自のクエスチョンを見つけていただけたら嬉しいと思います。

 ではテーマが決まっている場合、ChatGPTはどう助けてくれるでしょう?先の質問で提示されたクエスチョンの一つを使って、このテーマでシステマティックレビューを書くときのsearch startegyを教えて、と訊いてみました。
<テーマ>Impact of Lifestyle Interventions on Type 2 Diabetes

  • Question: How effective are lifestyle interventions (diet, exercise, behavioral therapy) in preventing and managing type 2 diabetes compared to pharmacological treatments?

  • Rationale: With the increasing prevalence of type 2 diabetes, identifying the most effective management strategies is essential.

示されたsearch strategyは以下のものです。
("type 2 diabetes" OR "T2DM" OR "diabetes mellitus type 2") AND ("lifestyle intervention" OR "diet" OR "exercise" OR "behavioral therapy" OR "lifestyle modification") AND ("pharmacological treatment" OR "medication" OR "drug therapy") AND ("effectiveness" OR "prevention" OR "management" OR "HbA1c" OR "glycemic control" OR "diabetes incidence")

これをPubMEDに入れて、英語とhumanでフィルターをかけると、3395件のヒットがありました。10年以内に期間を絞ることで1593件となりました。
 続きは次回です。