【MeWSS論文コラム】 システマティックレビューの作成 実践編その1

 システマティックレビューは文献検索から始まります。ベースとなるデータは、バイアスを可能な限り排除することが基本であり、システマティックという名前の示すように、できる限り「網羅的」でなくてはなりません。そのためには、三つ以上のデータベースから情報を収集した方が望ましいという論文が出ています(Lemeshow AR, et al. Searching one or two databases was insufficient for meta-analysis of observational studies. J Clin Epidemiol. 2005 Sep;58(9):867-73. )。Cochranが推奨するのは以下の3つです。
MedLine

Embase

CENTRAL

Medlineはみなさんが一番よく使っているデータベースで、私も文献検索といえばまずはPubMEDです。EmbaseはElsevierが有料で提供しています。施設で契約していれば使えますが、契約していない場合は別のデータベースを考える必要があるかもしれません(後述)。CENTRAL(The Cochrane Central Register of Controlled Trials)はCochranが提供している、トライアル専門のデータベースです。
 目的によってはtrial registrationを検索する場合がありますので、ClinicalTrials.govやUMIN CTRを使う場合もあります。

 この他よく使われているデータベースには以下のものがあります。
Web of Science
https://clarivate.com/products/scientific-and-academic-research/research-discovery-and-workflow-solutions/webofscience-platform/web-of-science-core-collection/science-citation-index-expanded/

SCOPUS 

ご自身の施設図書館が契約しているデータベースと、MEDLINEとで3つ以上のデータベースを使うようにしましょう。
 検索式はなるべく広くカバーできるものを作ります。恐れずに数百、数千の元データ集を作成してください。複数のデータベースを使っても、大多数は重複した結果になります。後で選択抽出する方法もありますので、ご心配なく。
 検索式を作る上では、論文になったシステマティックレビューやPROSPEROに登録されたsearch strategyが参考になります。論文の場合はAppendixなどに実際の検索式がそのまま公開されていることが多いので、参考にしてください。さらに、ポジティブコントロールを持っておくと便利です。実際に検索してみて、コントロールの文献がかかってきているかどうか、確認します。もし漏れがあるようなら、これが出てくるように検索式を見直しましょう。レビュー作成段階で、たとえば共著者や指導者の先生から、「この文献が入ってない」と指摘されることがあります。その場合は、それをただ追加するのではなく、それがヒットされてくるような検索式を作り直す必要があります。制作の後期にこれが発生するとかなりしんどいので、そういうご指摘をされそうな先生には初期段階でご相談されることをお勧めします。