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目指すべきものを見直す

進むべき道はあっているのか?

もしも、進むべき道を間違って選択してしまっていたのなら、どんなに努力しても、どんなに頑張っても、思い描いた通りに未来はやってきません。

僕自身も、こうなりたいという理想を描いていたのにも関わらず、目指しているものは、全く違うものだということに気が付きました。目指すべきものを誤ってしまうと、進んでも思うような成果は得られないし、逆に、どんどん状況は悪化していまっていたのです。そうしていくうちに僕自身、不安でいっぱいになってしまいました。期待と不安のバランスが大きく傾いてしまっていたのです。

不安でいっぱいになることは、行動に制限を大きくかけてしまうものになりました。何かやろうとしても、本当にこのままでいいのだろうか。そう思うと、全力になることは、到底できません。むしろ、どんどん思いも気持ちを弱くさせてしまうものでした。期待がどんどん増していけば、行動意欲も掻き立てることも出来るのです。

一流とは何か

僕が当時目指したのは、一流の料理人だったのです。長い料理人人生の中で、僕自身も一流と呼ばれる方々には、幾人かお会いすることが出来ました。そうしているうちに気が付いたことがあります。それは、一流と呼ばれる人は、はじめから一流だったということです。このことに気が付くのに、僕は凄く時間がかかってしまいました。

僕は、一流になるためには、何かを成し遂げないといけないと思っていました。何か人に出来ないとことを出来るようになること。凄い技術やスキルを誰も真似できないものを作りだすことなんだと。

だから、僕は、常に新しいものばかりを追い求め続けていました。誰も見たことのない料理を作れるようになるために。しかし、その分、僕が疎かにしてしまっていた部分があったのです。それは、心を鍛錬し、磨き上げることでした。

どの業界も、その道に一歩踏み入れた時は、その基本として、誰にでも出来ることをやらされる訳なのです。料理でいうと、調理場の掃除、鍋磨き、お皿洗い、食材の下処理といったもの。何も出来ない状態で入ったわけですから、それは当然のことなのです。しかし、長く続けているうちに、自分にも料理のレシピや作り方を早く教えて欲しいと思うようになるものです。

それは、頂く給料や職場での仲間意識から、自分も早く戦力になりたいと思うようになること。更には、夢に向かって近づいているという証が欲しい。そういった想いが強くなっていくからでした。それが出来ないジレンマに苦しんで、多くの人がそこで諦めて挫折してしまうのです。

僕自身も、そうした下積みというものを、無下にしていたに違いありません。入社して、すぐに酷いいじめに遭いました。そのことで、僕自身が凄くひがんでいたのです。仕事の上の下積みの仕事といじめは、全く別のことだったのに、ひとつひとつの仕事も、押し付けられただとか、これもいじめだと心の中でねたんでいたのでしから。当時の自分にアドバイスしたところで、気持ちを切り離すことは無理だったのかもしれませんが。

ところが、一流と呼ばれる方々は、そんな誰にでも出来る仕事ほど、誰も真似できないくらい、やり方に差をつけることが出来るのです。こんなエピソードを思いだしました。僕がこの方は一流だと思い、尊敬していた料理人の方に、聞いたことがあります。「どんなことが、得意なんですか?」って。そうしたら、こう答えて頂けたのです。「私は何よりも、鍋を磨くことが得意。鍋磨きなら、誰にも負ける気がしない。」

まさに、この言葉が全てを語ってくれているんじゃないかって思うのです。お皿を洗うことだって、どうやるのか、何処までやるのかに、人間性や性格が出るもの。最初は、馬鹿丁寧にしていても、だんだんと手を抜くようになってしまいます。その一方で、何処までも丁寧にお皿をピカピカにする人もいます。考えてみれば、その仕事ぶりを見れば、その人がどんな人間なのか分かるものです。その人の心意気や、仕事に対する姿勢といったものまで。

何が出来るようになったから一流ではないということです。その心の籠ったやり方から一流だったということなのです。そして、技術なんて、その後で何とでもついてくるものだということです。

そう言ったこと、僕は今も忘れていたのかもしれません。

改めて、僕は自分の目指しているものを見直そうと思いました。

こうして書くことの技術を日々どうするのかだとか、人をどのようにして、僕の書く文章を読んでもらえるのか。タイトルは、こういう風にすれば引き付けられるのか。そう言うことに舵を切っていた自分がいるからでした。

そうじゃない。

僕が、どんな思いをかくのか。毎日、思いを巡らせなきゃいけない。どんな人に伝えたいのか。その人に何を伝えたいのか。そこに思いを集中させるものなんだって。

桜満開のこの時に、そう思い直すことが出来ました。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
メルシー

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