目には見えないものに目を向ける

分かりやすいからこそ囚われてしまう

自分の過ちというものは、気付きにくいものです。僕は自分が挫折をするまで、お金に囚われていたことなんて気付きもしませんでした。決して、多額のお金を手にしていた訳ではありません。お金の為に、悪いことをした訳でもありません。ですが、自分の人生を振り返ってみれば、確かにお金に囚われていたのです。

その理由のひとつとして、仕事との向き合い方です。言えるのは、仕事に捧げたような人生だからです。どんな時も、仕事を最優先させてきました。その為に自分の喜びも我慢していました。嫌なことや虐げられたことも我慢してきました。それは、自分が仕事を失えば、お金を稼ぐことが出来なくなるから生きていくことが出来ないという不安を強く感じていたことです。それと、お金さえ手にすれば幸せになれるという考えがあったからでした。

ですので、自分の収入が少ないことに凄く劣等感を抱いていました。人の暮らしぶりや持ち物を見ては自分と比べていました。あの人は裕福だとかそうでないという評価をしていました。そこで、裕福そうな人に対しては、色々と批判していたんです。そうしていくうちに、きっとお金に対してネガティブな感情を抱いてしまっていたんだと思います。常にお金のない自分を否定的に考えてしまうからでした。

誰もがお金が欲しいと思うことはあると思うのです。それ自体は決して悪くないと思うのです。ですが、そのことで心が激しく揺さぶられてしまうのは、囚われてしまうのだと思います。

こうした、ことはお金に関することだけではありません。僕らはあらゆるものにとらわれてしまい、執着したり、嫉妬したりしてしまうものです。そうでなくても、内心心穏やかではいられないことがよくあることにように思えます。例えば、人の態度や行動、あるいは物に対してでもあり、言葉もそうだと思います。

それらは、はっきりと分かりやすいものであるからだということです。はっきりと、自分で認識できるからこそ、囚われやすいという見方も出来るのです。

目には見えないものに目を向ける

心を穏やかに生きることを目標としたときに、これを大事にする必要があるのではないかと思う浮かぶことがあります。

それは、目には見えないものに目を向けることだと思うのです。

目には見えないものだから、普段の僕らは見落としやすいものでもあるし、見逃しやすいものでもあります。ですが、そこに目を向けると、自然と心が穏やかになれるのです。

それは、恥ずかしいかもしれませんが「愛」です。

「愛」があるからこそ、思いが生まれるのです。

人の行動や感情の表れには思いが見え隠れしているものです。お金だって、思いが乗っているのです。物にだって、思いが含まれているのです。

誰かが怒ったりするのも、そこには悲しみや寂しさがあるからだとされています。それも、ひとえにその人の「愛」からくるものであるという見方が出来ます。

「愛」というだけで、敬遠されたり馬鹿にされてしまうものかもしれません。それは、ひとえに分からないものとしての認識があるからなのかもしれません。大切な存在なのに「愛している」と伝えられない人は多いものです。

ですが、人は「愛」に気が付くことが出来たときに、心穏やかになれます。

僕の母はとても厳しい人でした。いつも口うるさく、細かいことまで指摘されていたんです。大人になっても続くものだから、何度も母とは言い合いになり衝突しました。母のことになると、僕は激高していたんです。ですが、自分が親となり、行き過ぎたものだったのかもしれませんが、僕に色々と口出しをしていたのは、母なりの愛だったのです。我が子に、幸せになって欲しいから、きちんとした大人になってほしいからといった、「愛」から生まれた行動だったのです。

そのことに気が付いた時、僕の心は穏やかになれました。

自分のこともそうです。僕は自分が嫌いでした。すぐに甘えてしまう自分に厳しくし過ぎたんだと思います。そんなことではダメだと言っては自分を罵っていたのです。いつしか、自分のことを意気地なしだとか弱い人間だと思うようになってしまい、勇気を挫いていたんです。そんな自分がたまらなく嫌でした。

でも、自分に厳しくしていたことが、余計に自分の勇気を挫くものだったとし知った時に、自分のことを恨むかのように思いました。ですが、それも自分のことを思っていたからこそ厳しくしていたことだといいうことに気づけたときに、心が穏やかになって許せたのです。ダメな部分も自分として受け入れられたのも、自分の中の「愛」に気付くことが出来たからだということでした。

目には見えないもの。それは、ひとまとめに「愛」ということを伝えましたが、細かくみれば、「感謝」や「優しさ」「命」といった様々なことが言えます。どれも、はかることの出来ないものです。そこに目を向けることで、自分の豊かさを知るきっかけにもなるのです。

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