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親の機嫌に左右される人生

ラジオを聞いているとリスナーから届いたメールをパーソナリティが読んで、「いい話だね~」と頷く場面がある。そういうメールのほとんどは親子のエピソードであることが多い。

例えば「初任給で親に何かあげたいんですけど何か良い物ありますか?」とか「母親が1人暮らしを始める僕と別れて地元に帰る時に駅の改札で泣いているのを見て僕も泣いてしまいました」みたいな感じのメール。

きっとこの手のメールは多くの人の心を揺さぶって「いい話だな~」と言わせるような内容なんだろうけど、僕にはあまり共感できない。

僕は心が汚れている人間だからこういう話を聞くと「親といい関係が築けてよかったですね」と思ってしまう。

なぜなら僕は親に対して嫌悪感を抱いているから。

人と人との距離感があまりにも近くなると訳が分からなくなる。人間関係で悩んだことがある人なら距離感の大切さを感じたことがあるだろう。それは友達だけでなく親子にも言えることだ。

親だからといって子供のプライベートを全て掌握しようとするなんて絶対にあってはならないことだと思っている。

だけど僕の親はその手の人だ。

遊びや泊まりに行くと言えば、「いつ・どこに行って・誰と・何をしたのか」根掘り葉掘り聞きだそうとしてくる。それだけでもかなりめんどくさいのにさらに厄介なことに言わなきゃ機嫌を悪くするのだ。

高校生の頃、同じクラスの友達の家に泊まりに行ったことがある。初めての泊りでワクワクしていたのだけど、次の日のお昼ごろに「いつ帰ってくる?」みたいな連絡が来た。

だけど「高校生が泊まりに行っていつ帰るかなんてわからんだろ」と思った僕はその連絡を無視した。既読さえ付けずに夜8時くらいに家に帰るとそこにいるのはイライラを募らせた母親。顔を見た瞬間に罵詈雑言が浴びせられた。(今思えば既読くらい付けておくべきだった。まあそれでも怒られたんだろうけど)

後にも先にも友達の家に泊まりに行ったのはこれっきり。それにその日あったことを具に話さないといけないなら遊びに行かなければいいんだと考えて、ほとんどの休日を家で過ごした。

もちろん恋人なんているはずもなく、かといって友達と遊んだわけでもない。青春の「せ」の字もないくらい薄い日々を過ごした。

これはあくまで1つ取り上げただけに過ぎない。今思えば親の機嫌で左右されたことなんてたくさんある。

大学生になった今でも、ちょっと連絡を返さなかったらキレられるし、この前就活のことで自分の思ったことを言ったときにもキレられた。

こういう親のとりあえず機嫌を悪くして大声を出しておけば言いなりになるだろうと思っている言動が嫌だ。もっとも本人はそんなことを考えずにただ怒りに任せて怒鳴り散らかしているだけなのだろうけど。

それに50歳手前の人に「いや、それ止めなよ」なんて言ったって変わる見込みはなさそうだし、20年間そのやり方で子供に対して接してきたんだからもうどうしようもないと思う。

やっぱり親子だなと思うことが一度あった。

僕は一度だけ姪っ子に手をあげたことがある。

去年の夏、台風が来るからいとこの家に避難しようということになった。いとこの家に家に泊まるだけでテンションが上がって、ずっとゲームをした。そしたら次の日には睡眠不足で、夜はあんまり意識がはっきりしていなくて判断力がかなり低下していた。

そんな時にわざわざ狭いところを通ろうとする姪っ子に「邪魔」と言われ、その瞬間自分の中で何かが弾けたために当時2歳だった姪っ子を肘を使って強めに払いのけてしまったのだ。この時は自分って最低な人間だなと思った。

こんなことをすればもちろん親から怒られる。いや、これは怒られてしかるべき案件だ。小さな子供に手をあげることは絶対にしてはならないことなのだから。

だけど1つ気になることがある。

うちの親は自分の思い通りにならなければ孫でも普通に頭を叩く。春休みに実家に帰省した時何度かそういう場面を目にした。自分は一度手をあげてしまったから絶対に叩いたりしないと思って姪っ子に接していたけど、親が平気で叩いているのは見ていて怖かった。

人間だから常にいろんな感情があるはずだし、むしろ感情の起伏がないのは人間として怖い。だからいらいらしたりすることもあるのはわかるけど、それを自分の子供にぶつけるのは違うと思ってる。

「蛙の子は蛙」なんて言葉があるけど、蛙にはなりたくない。

だからもし自分が親になる日が来て、いらいらすることがあってもそれを自分の子供にぶつけたりしなくていいようにどうすれば自分の機嫌をとれるか今のうちにしっかり知っておこうと思う。

どうしてもいい話の方が注目されやすいんだろうけど、中には親との関係が上手くいっていない人もいるって知ってほしいな。

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