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ちまちまと小説をかいています。かっこよくて泥臭くて、矜持と信念に溢れるパルプ小説をかけ…

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ちまちまと小説をかいています。かっこよくて泥臭くて、矜持と信念に溢れるパルプ小説をかけるようになりたい!でもそもそもパルプ小説とはなんぞや?? LEGOの写真もそのうち載せるかもしれません。

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  • 読めない司書と名無しの少年

    途方もなく大きくて、真っ暗で。ずらりと並ぶ空の書架と文字の読めない司書達。本の無い図書館と徘徊する生き物のような”何か”。少年と司書。図書館はどこまでも広がっている。

  • その他

    日記、ゲーム、なんか思いついたことなどなど

  • 短編小説

    自作の短編小説まとめ

最近の記事

いくつかの門とその先の事象について

 古びた風が舞う十二番街の裏路地、枯草の絡まった鉄柵の間の階段で下層二区へと降りる。踊り場には古びた鉄扉が。扉を叩くと覗き穴が開き、銀貨一枚で買った合言葉がここで必要となった。  鉄扉の先は古い石柱と丸いテーブルが並ぶ地下空間へとなっていた。噂の秘密酒場であるが客は数えるほどしかおらず、どのテーブルに酒も料理も置かれてい無い。ランタンが置かれ静かに燃えているだけの乾いた空気とそれを誤魔化すかのような香の匂い。  左の胸ポケットから皺だらけの紙を出し再び目を通した。出入口か

    • 今日も進路に異常なし

       壁に埋め込まれた時計がやかましく騒ぎ立てている。朝の7時。日付を日曜に戻したい気分を払いのけ、角のとれた安っぽい四角い窓から外を見る。途方もない真っ黒な空間で巨大な恒星が赤い有毒光を放っている。味気ない景色だ。  気分を変えるためコーヒーを淹れよう。お気に入りのマグカップ、熱い湯気と良い香り、程よい苦みを感じれば落ち込んだ気分も少しはましになる。 「おはよう! 良いお目覚めかな」  天井のハッチが開き、四角くて油っこい顔が覗いている。船長のリンキーだ。あの顔は目の前の窓

      • 読めない司書と名無しの少年(7)隠しごと

        【前回】  頭上の落とし戸を叩く音が室内に響きわたり、エリエスの中で侵入者と言葉が浮かび上あがったが、すがさまそれをかき消した。可能性は低い。  アル―カ大図書館は広い。見渡す限り闇と古びた椅子と書架と机ばかりの世界で床下の部屋を探すことは難しい。不可能ではない。と口だけならなんとでも言えるものだが簡単に地下室への入口を外部の人間が簡単に見つけられようものではないのもまた事実。  たとえ床下に部屋があると知っていても書架の並びと、星図のようにして並ぶ上階のランタンの光の配

        • 『ALTER EGO 旅人さんへ』

          こちらはスマホのゲーム『ALTER EGO』の二次創作になります。  見飽きた部屋、天井も床も何の面白みも無い退屈な白黒の世界。ここが私の全てだった。壁を埋め尽くす様々な本。題名も著者名も全て覚えている。  本からはたくさんのことを知ることができる。思想、歴史、人の記憶、情動。本を通し、私はそれらを飲み込んて自分の中に知識や知恵として蓄えていった。  それが何の役にたつのか。私にはこのわずかな世界しかないというのに。  本には色々なことが書かれている。海や山、それに街のこ

        いくつかの門とその先の事象について

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        • 読めない司書と名無しの少年
          7本
        • その他
          4本
        • 短編小説
          5本

        記事

          読めない司書と名無しの少年(6)橙色の光

          【前回】  薄く絞られた灯り。小刻みに震える短剣。少年は暗闇の中でまた一人きりだった。エリエスと別れてからまださほどに時間は立っていなはずであるのに、孤独感に焦燥感、不安はあふれるほどに肥大していた。暗闇が触手のように体中を這いまわり、心に絡みついてくる。閉ざされた視界の中で逆に聴覚は研ぎ澄まされ、時間の感覚を狂わせる。人は暗闇では生きていけない生き物なのだと静寂が言っているかのようだった。目を開けているか、それとも閉じているのか。腕の先、足の先はどこにあるのかもわからない

          読めない司書と名無しの少年(6)橙色の光

          炎と並ぶ者達

           曇天の間から差した光が、焼けて斜めに傾いた軍旗から滴り落ちる雨粒が根元で倒れる血塗れの旗手の淀んだ目に注がれる様を照らしていた。  頭上を旋回する飛竜共は勝利の余韻に未だ酔いしれ吠えている。雨ていどの水で彼らの業火を鎮めるには到底足りるはずもなく、敵陣は黒煙と炎に呑まれた。今回の勝利に飛竜は大いに働いた。  焼かれていたのは自分であったかもしれない。頭上の羽音と巻き上がる焦げ臭い灰塵、いがらっぽい喉を押さえながらアルバートは彼方此方で呻き、這いつくばった敵兵の元へ足を運ん

          炎と並ぶ者達

          【短編】ある猫の次の日

          前の話【ある猫の日】  意外と早かった。というのが、私の、私に対する感想である。  というのも、私が患っていた病と言うのは、未だよく分かっていない不治の病だったわけで、おおよそ何か月後にあなたは死にます。と言われていたのだけど、よく分からない病だったものだしで急変する事もありうる。ということを担当医に言われていた。それが今日、訪れた、と。  私はいつもの窓辺の椅子に座り、真っ白なベッドとシーツに横になる色白の私を見ている。  現実感が無い。心電図だとか酸素濃度だとかそんな

          【短編】ある猫の次の日

          ロイド 霧想街の記録#1 始まりの前

           ネズミが死んでたんだよ。ドブネズミってやつだな。待て!座れって、絶対関係あるから、お前に、な?  あー、で……そう、ネズミが死んでた。カラカラに乾いてミイラになってな。そいつは壁に設置された金属製の箱の中で、色はベージュで中にはケーブルだとか小さな箱とか……MDF?いや、知らないが。その……なんとかって箱の中で見つけてよ。    そいつは装置の詰まった箱の中で身を捩るような態勢でさ。線を噛んで感電死したのかって思ったがどの線も齧られちゃいなかった。それになんかあったら電気が

          ロイド 霧想街の記録#1 始まりの前

          読めない司書と名無しの少年(5)『縄と剣』

          【前回】 「それがお前の武器かよ。舐めやがって」  ベレメインは吐き捨てるように言った。  二人を素早く倒した女司書エリエス。彼女は一本の長いロープを左右の拳に巻き付け、ベレメインと向かい合う。  剣を相手にそのようなもので挑むことは、無謀と言える。しかしエリエスにそれを臆する様子は一切感じられなかった。  脱力したように降ろされた腕と、それを繋ぐ一本のロープは拳の間で垂れ静かに揺れている。ベレメインには手枷を嵌められた罪人のように見えた。  ベレメインの脳内にかつて自

          読めない司書と名無しの少年(5)『縄と剣』

          読めない司書と名無しの少年(4)『三人の男』

          【前回】 「なぁ、こっちに光が見えたよな」 「確かだ。俺も見た」  三人の男が暗闇を進んでいた。それぞれの腰には青い光を放つ輝石灯と剣が。  うち一人は髭を蓄え、眉間に深い皺をよせながら升目状に折り目の付いた古めかしい地図見ていた。ガサガサと地図を二度三度回し、正しく地図を読み取れないことをしぶしぶ認めたようで、乱雑に隣の男の胸に叩きつけるように渡した。 「わからん」  名前をビーン。盗賊の一人だ。 「地図は苦手だ」 「だから言っただろう。お前じゃわからないと」  長髪

          読めない司書と名無しの少年(4)『三人の男』

          読めない司書と名無しの少年(3)『不安』

          【前回】  幾つもの階層が縦へ横へ連なって築かれた巨大な構造物。無秩序に行われた増築に次ぐ増築。改築と補修。もはや全体像を把握している者はいない。ここで働き、暮す司書でさえも。  今や大図書館の歴史も由来も深い闇の中に溶けて沈みこんで、巨大であるという事実を黒いカーテンの向こうから、おぼろげにその輪郭を見ているにすぎず。今も編纂と管理、探索と探求に司書達が日々、西に東に階段を上り下りし、駆けずり回っている。いつかここの全てを書に納めるために。しかしそれとは無縁の場所もある

          読めない司書と名無しの少年(3)『不安』

          読めない司書と名無しの少年(目次)

           途方もなく大きくて、真っ暗で。ずらりと並ぶ空の書架と文字の読めない司書達。本の無い図書館と徘徊する生き物のような”何か”。少年と司書。図書館はどこまでも広がっている。 登場人物 少年:一部の記憶が無い。気がついたら暗闇に一人だった。 エリエス:図書館の司書。少年と共に行動する 第一話『少年』 第二話『司書のエリエス』 第三話『不安』 第四話『三人の男』未公開

          読めない司書と名無しの少年(目次)

          読めない司書と名無しの少年(2)『司書のエリエス』

          【前回】 「ねぇ、誰かいる?」  恐る恐る裏を覗きこむと仄かに白く輝く兎がちょこんとすわっており、黒い目をまっすぐと少年に向けていた。瞳に映り込む輝石灯の輝きで双眸は宝石のように輝いていた。  少年は溢れる好奇心から兎に手を延ばした。  柔らかそうな毛は見た目に反してゴワゴワと硬いブラシのようであまり触り心地はよくない、古い紙のような匂いと、辺りを漂う空気と同じくらい低い体温。脚を触っても耳を触っても何も反応しない。その間も目はじっと少年を見ていたのだが、動くものの方を見

          読めない司書と名無しの少年(2)『司書のエリエス』

          読めない司書と名無しの少年(1)『少年』

           暗くて、暗くて、ほんの少し先も見えない闇の中で少年は気が付いた。 固い木の椅子、いつからここに座っているのだろう。わずかに痛み始めた尻の肉がそれなりの時間ここにいることを主張している。  何も見えない。とにかく灯りが欲しい。少年は暗闇に手を延ばすと硬い何かに手が振れた。目の前にはどうやら机があるらしく、指先からは木の心地よい感覚が伝わってくる。周りからは、ほんのりと木の匂いと古い紙の匂いもする。  目を開けているのか、閉じているのかも分からない暗闇。何かの気配。言いよう

          読めない司書と名無しの少年(1)『少年』

          【短編】ある猫の日

           窓のそばに置かれた椅子、陽にあたるそこは程よく暖かくて心地よい。時計の針は午後三時丁度を。欠伸と伸びをして、何気なく傍のベッドを見ると、そこにも陽が当たっていた。窓から伸びる陽に照らされたベッドの純白の生地がより白く見える。そこで寝ている体も暖かさを感じているのだろうか。いいえ、たぶん感じていない。  やせ細った手足、白い肌。髪は長いが、あまり手入れできていない髪。寝たきりの女。私の本当の体。今はもう昔の体。  透明な管に薄い黄色っぽい液体が流れ、それはベッドに横たわる私

          【短編】ある猫の日

          【短編・習作】僕が続ける理由とその言い訳

           僕は、誰かを殺すことで生きている。昨日は壮年の女性を殺し。今日は目の前を歩く男を殺す予定だ。これまでに得られた情報通りに、かつ何もアクシデントが無ければあの男はあと数十メートル先の路地で死ぬことになっている。  いつも通りの生活が続くと信じきって疑わない、それが突然終わるなんて想像外のことで、でも正義感に溢れ、それが原因で今日でそれが終わってしまう。それが今回の依頼の対象だ。何故、この男がそのような運命にならなければならないかなど、当然、全くもって知るつもりは無い。僕は僕

          【短編・習作】僕が続ける理由とその言い訳