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作者A

まとわりつくように
全身に絡みつく熱さが私を呼んだ。


窓の隙間から微かに漏れる風の音
絶えず刻み続ける秒針。
私の意識が遠のいてる瞬間も
止むことのないものたちの鼓動が
静かに響いている。

カーテン越しに入り込む
午前2:00の月明かりが反射し淡く天井に触れていて
白く照らされた天井と私は
にらめっこをしている。
あと数時間で夜が明ける。

たまに呼ばれて目が覚めるこの瞬間は
決まっていつも過去の出来事や感情が
私に押し寄せる。


昔好きだったあの人の声や仕草。
初めて見て泣いた空の景色。
愛のない快楽に溺れた日のこと。


何よりも正確で
決して変わることのない出来事や感情たちを
呼び起こす孤独な作者Aは
まるで私という存在や
感情の記録が綴られた本を片手に取り
定期的に読み聞かせをしにやってくるのだ。


[愛]、[悲しみ]、[偽り]、[喜び]など
たくさん並んでいる記録の本を
手に取っては再び記し、
そしてまたいつかの夜に呼び出しては
記した記録を読み聞かせてくるだろう。
夜が明けるその時まで。

作者Aは孤独である。
私のことを誰よりも知っている。
私以外に語ることは決してしない。
作者Aは紛れもなく私なのだから。



めろんだいふく



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