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夕暮れが教えてくれた温もりと居場所

淡い夕陽がいつもの帰り道を照らし出した夕方のこと。
大好きなあの人が
少し後ろから走ってきて私に声をかける。
お昼の授業のこと。学校での噂のこと。
気になっている謎のAさんのこと。
それから毎日一緒に帰ることになる未来は
少し先だということを2人はまだ知らないでいる。


小さな頃から空を眺めること大好きだった私。
空を飛ぶ飛行機の行き先と空の向こう側に広がる景色を
いつか見てみたいと密かな憧れを抱いたその数年後に
遠くの地へ行くことを決意することになるのは
この時、既に決まっていたのかもしれない。


夕暮れは断片的に
幼かった私の記憶や思い出を呼び起こす。
小さな頃に父に抱きついた記憶。
泣きながら母に悩みを打ち明けた記憶。
遠く離れた場所にいても感じることのできる温もりを
私の肌と心にそっと差し出す夕暮れ時は
苦しく行き場を失いかけた時に居場所があることを教えてくれる。


消えることのない愛情を受け取った私が
同じように誰かの温もりや居場所になれるのか
今日も夕陽にそっと問いかけてみた。


めろんだいふく

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