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【詩】

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心に浮かんだまま書き殴られたものたち。
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#今こんな気分

【 】沈黙

【 】沈黙

残酷に感じる永劫の夜にも無慈悲に朝はやってくる

開けた夜は真っ暗で
嘲笑う雲裏の朝焼け

北風に乗って心を抉る雨
厄介な沼の畔に汚れた水
このままぶっ壊れちまえ

沈め

沈め

【 】瞬き

【 】瞬き

何度重ねたか知らない瞼は
数回重ねるのみで真を知る

何億秒以上積み上げた時間は
僅か数秒で呆気なく瓦解する

【詩】微睡む恋

【詩】微睡む恋

理想のまま浮かぶが恋

たった一言の優しさが
私の心臓を手荒く掴む
爪が刺さって息苦しい

愛は現実を向けて沈む

ふわふわと海原を泳ぎ
くらくらと貴方に溺れ
だらだらと一日を終え

いつか覚めるから夢という。

【詩】墓なき

【詩】墓なき

湿った熱気が空から涙を落とす

夢を見た
素敵なあなたの夢
痺れる身体をそっと抱き起こして
優しい抱擁をくれた

俺にはまだ入る墓など要らぬ

ゆめを見るのはひとの特権

どんな空想も
理想の妄想も

この世界では全て思うがまま

遠のく意識に見えた光る薬指
何故かそこだけは現実的だね

このひととき、この一瞬が幸せだったからそれでいいや

【詩】雀蜂

【詩】雀蜂

眼前を抜ける一匹の大雀蜂

到着した列車にまたも大雀蜂

二度刺されれば命が刈られる

一瞬脳を過る不吉な知識

身体の麻痺を感じて座る

虫の報せ?

【詩】蒼い満月

【詩】蒼い満月

息苦しい夜に唄う

ブラックホールみたいに闇を吸う月
過換気症候群の肺胞が求めるその瞳
僕は忽ちきみの虜になってしまった

ブルー・ムーン?
君はちっとも青くない
黝いのは腕だけにしておきな

西洋の古人は月光に誑かされたと伝わる

嗚呼、美しきその輪郭よ!
息苦しい世界から連れ出しておくれ
アイスココアじゃまだ眠れないんだ

厭世、此処に極まれり。

誰が為に灯を照らす?
胸に十字を突き立てば

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【詩】苦.69.痛

【詩】苦.69.痛

Life is "Heavy Rock".
始まる終わりへのCount Down.

黄金の稲穂を南風が揺らす
渇いた心に雫を落とす
ぼろぼろに風化した僕のこころ

何千秒が届ける一瞬
滅茶苦茶な血流が届ける静寂
君のまなこは何処を見る?

Life is "lovely Clock".
愛しき呼吸が春風に刺さる

刻む最期への秒針
I feel "de#th".

何の為に生きてきたか
理由を見

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【 】頂き物

【 】頂き物

僕の苦しさは僕だけのもの
だけど
大切な人の痛みも僕のものにしてしまう

今日も肋骨の中にある臓器が苦しい

廻る視界
浸る死海

斬り捨て御免が上手く出来ない
ナイフが刺さるあなたの気持ち
僕の心で勝手に広がるイメージ

御法度を破ってはならない

頑丈だったあの頃が懐かしい
錆び付いた鉄筋は風化を辿る
嗚呼なんと情けないのだろう

凍った焔に飛び込みたい
沈む朝陽に身を委ねたい

脚が砕けよう

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【詩】迷子の青春

【詩】迷子の青春

泳ぎ方を忘れた水鳥を見つけた

バイクのヘッドライトはずっと前を照らしている

生きる世界から外れた迷子のトリ

往来を駆け抜ける重量車

雨の予感がする風が蒼い翼に吹いた

協力的なスーツの男と非協力的制服姿

びっこを引いて焼けたアスファルトをよちよちよち

二人で協力して保護した
切り傷と皮膚荒れを残し

川へと
さようなら
元気でな、もう迷うなよ。

雨の予感がする風が頬を撫でた
バイクの

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【詩】Gravity History.

【詩】Gravity History.

最後の一錠が身体に溶けた
出会ってかれこれ一年ほど
昨日の夜でさようならだね

想いの重さが心に枷と楔を縛り
どうしようもなくなる時がある

「優しいんだね」

その言葉にたまらなく救われている
情けないおまえでもいいんだよって
迷惑かけちゃっても仕方ないよって

今日も車輪のついた長い箱はレールを走る
沢山のひとを乗せて、数多の想いを抱えて

みんな画面ばかり見ているな
似たような重さの液晶端末

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【詩】静脈

【詩】静脈

心臓が脈を動かして全身に血液を送り続ける限り
俺が俺に嘘を吐いたら残った俺はもう俺では無い

羽の無い蝶々はただの芋虫

腕に刻んだクロスは隠せない

深爪で痛む薬指

小手先だけの口八丁なんて要らない

想いを重く溜め込むことはない
たまたま頬を掠める風のように
ふっと蝋燭の灯火を消せばいい

マッチの先端みたいに
勢い良く燃え尽きてさ
燃え殻が残るくらいで
ちょうどいいんだよね

もうガソリン

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【詩】窓

【詩】窓

うだる熱帯夜と
凍てつく暑い朝

外の景色は燻んでしまうが
雨風から僕を守ってくれる

開け放たれたそれは
潤った爽風を贈って
心を渇かしてくれる

安全圏で独り蹲るのは好まない
荒れ狂う嵐の中に身を投げ捨て
ぼろぼろになってから閉めても
別に遅くない、よろしく頼むよ

美しい華をそのまま摘む方法を僕は知らない
その麗しさに手を伸ばしても散らしてしまう

生きていくことの難しさを痛感する瞬間である