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株式会社LIFULLを退職し、教育スタートアップのCTOとして転職します

前書き

こんにちは。都内でWebエンジニアとして働いている名人です。

趣味で将棋をやっていることから、かれこれ8年ほどニックネームで名人と呼んでもらっています。

この度、新卒で入社した株式会社LIFULLを卒業し、EdTechスタートアップNoSchoolのCTOを務めることになりましたので、退職エントリを書かせていただきます!

NoSchoolは勉強Q&Aサイトを運営している企業で、設立は2018年5月、未だに社員は社長のみで僕が正社員初入社というフェーズです。

LIFULLは東証一部上場企業で社員数は連結で1,000人を超えているのですが、そこからたった社員2名のスタートアップ企業に行ってCTOになります、というパターンはあんまりないと思うので、この記事を読んだ方がご自身の今後を決める参考になれば嬉しいです。

また、スタートアップへの転職をどういう観点で決めたのか、決めたあとどのように動いたか、といった部分も書ける範囲で書きます。

LIFULLでの経歴

僕は2016年に奈良高専情報工学科を卒業し、LIFULLにWebエンジニアとして入社しました(このときの経緯はこちら)。

LIFULLは不動産情報サイトHOME'Sの運営を起点としながら、事業領域を次々と広げていくフェーズの企業です。僕はもともと教育×ITでサービス開発がしたくて、HOME'Sの開発でWebサービスの基礎を知りながら、社内で新規事業の立ち上げをやって教育分野に踏み出そうというキャリアプランを描いていました。

LIFULLには新規事業提案制度「SWITCH」があり、社員から事業提案をして、入賞すれば予算がついたりアクセラレーターとなる方がチームに加わって事業化を目指す仕組みがあります。

僕は内定者のときからずっとSWITCHは毎回毎回提出していて、そのたびに落選し続けていました。事業戦略なんて勉強したこともなかったので「奨学金の返済をサポートする事業をやります!」「それ誰からマネタイズするの・・・?」みたいな初歩的なところで落選し続けていました(ひどい)。

それでもめげずに毎回出し続けていたところ、2年ほど経った2017年12月に、「オンラインブレスト事業」でSWITCHに初入賞しました。
以後、1年以上に渡って新規事業責任者として活動することになります。

入賞後は、僕自身がエンジニアであることを活かし、外注はせずに勝手にプロトタイプとなるツールを開発しました。そして社内限定で運用していくことでサービスを育てながら、事業開発に詳しい先輩方に相談し、マネタイズができるポイントを探していく日々を送っていました。

NoSchoolとの出会い

NoSchoolとの出会いはTwitterのDMでした。

ある日突然、NoSchool社長の徃西さんからDMが届きました。情報交換しませんか?とのこと。

当時すでに社内新規事業をやっていて火の車でしたので、この手のリクルーティング感あふれるお誘いはだいたい断っていたのですが、このときはNoSchoolのサービスを見て教育系だったので、ちょっと話聞いてみようかなと思いました。

この数日後、飯田橋のエクセルシオールカフェで徃西さんと仕事終わりに会いまして、NoSchoolの説明を受けました。

このサイトを見せられたとき、思わず僕は徃西さんにこう言いました。

「えっ...このサイトで起業しているんですか?」

HOME'Sでエンジニアをしていると、完璧なデザイン、完璧な仕様じゃないとリリースできないというのが前提です。リリース一つにまで細心の注意を払う事で、クオリティを保って多くのユーザーに使ってもらえるわけです。

しかし、営業出身の社長がWordPressで独学で作ったというNoSchoolのサイトは(今もまだまだですが)お世辞にもデザインが整っているとは言い難いものです。リリース一つすら気を遣うのに、増してや起業なんて・・・

初対面のエンジニアにめちゃめちゃ失礼なことを言われた徃西さんは、返す言葉で「デザインがまだまだでも、毎日のように質問も回答も投稿されて使われている。ニーズに刺さるとはそういうことだ」と言いました。

なるほど。

さらにそこに徃西さんは続けてこんなことを言いました。

「Q&Aの回答者にプロの家庭教師や塾講師を入れて、質の高い回答をしてくれるようにしたい。それを通して、生徒が教えるのが上手な本当に自分に合った先生とマッチングできる仕組みにする。つまり、Q&Aに見せかけた家庭教師マッチングサイトに育てていきたい」

なるほど。家庭教師検索サイトって東大卒イケメンみたいなのが並ぶことが多いし、実力主義にするっていうアプローチは面白い。

「NoSchoolは自分の貯金を全部突っ込んで起業したんだけど、今のペースだと12月に資金がなくなる。それまでに家庭教師マッチングを完成させ、投資家を回って資金調達を受けなければいけない。逆算すると8月くらいには家庭教師検索ができるようにしたい。作ってくれるエンジニアを探している」

・・・・・・?
えっやばいやばい、どういうこと?
メインとなるマネタイズの部分が完成する前に起業して、起業してからエンジニアを探しているの?
リスクの張り方のレベルが違いすぎる。

社内新規事業という起業の形しか知らなかった自分にとってその状況はかなり衝撃的でした。とりあえずそれは手伝ったほうが良いなと思い、毎週1日土日のどちらかを使って副業としてNoSchoolの開発をやることにしました。

半年間の副業の日々

さっそくその週の週末から副業を開始しました。当時すでに僕以外にも副業エンジニアが3名いて、4名体制で家庭教師検索機能の開発を進めていきました。

オフィスなんて無いので、社長の自宅に朝から押しかけて開発するという極限状態です。徃西さんは築50年超えの一軒家を家賃6万円程度で借りるという荒業に出ていて、その1階をオフィスとして働いていました。

こちらは徃西さんが自宅の壁に書いた、NoSchoolの計画図です。口頭で補足がありながら説明を受けるので意味はわかったのですが、この図だけだとなんのこっちゃですねw

なにからなにまで、新卒1年目からずっとLIFULLでしっかりとしたレールに乗った開発をしてきた僕にとって斬新な経験ばかりでした。

6月に副業を開始して2ヶ月、家庭教師登録機能をリリースしました。家庭教師に関連する機能はWordPressで実装することが難しく、別のサイトを新しく構築してWordPressと同じサーバー内に設置するという荒業に出ました。これらの判断はとにかく資金調達することが重要で、それができなければいかにエンジニアが満足するような環境を築いても意味がない、という割り切りをして実行していたのも斬新な経験でした。

それ以降も、営業活動をしている社長からタスクを言い渡されては実装していく週末が続きました。
また、ほとんど毎週のように社長と副業メンバーで飲みに行っては、お互いのこれまでやってきたことの話やこれからの話を交わしました。

人生初の「法人営業」

副業を始めて3ヶ月ほど経った2018年9月ごろから、僕は社内新規事業で取り組んでいる「オンラインブレスト事業」で、本来はエンジニアである僕自身が、自分で作っているプロトタイプを片手に法人営業をしました。

詳細は割愛しますが、営業の先輩に教えていただきながら営業メールの作成、アポ取り、訪問、クロージングまで一通り経験しました。

エンジニアの枠組みを超えて活動するのは非常にしんどい日々でした。本業のエンジニアも続けていたので、毎日朝から営業メールを送って、本業のエンジニアの仕事に戻り、その後アポが取れたらスケジュールに落とし込んでいくという、脳内がいつも並行で行ったり来たりする毎日でした。

一時期精神的に危なくなったこともあって、具体的には朝起きた瞬間に、このまま一生タスクに追われ続けて生きていくのか・・・と絶望し金縛りにあったように動けなくなったことがありました。

そんな日々を乗り切っていく中で、自分の考え方が変わっていくのを感じました。

【いくら良いものを作っても使われなければ意味がない。営業を通して多くのユーザーに使ってもらうことで、作ったものに魂を吹き込む】

【世の中の人は自分の想像の100倍くらい自分の事業に興味が無い】

【全然新規事業はキラキラしてない。泥臭いことのほうが遥かに多い】

自分で思いついたアイデアを休日返上でプロトタイピングして、さらには自ら法人営業もやってユーザーを増やしていく日々を送れたことで、徐々に起業家の考え方に対する理解が深まっていく気がしました。

一方で、このときの法人営業は結局失敗に終わり方針転換に踏み切りました。この経験からやり抜く力を持っている人の偉大さと、事業には点を線にしていく戦略性が求められていることを理解しました。

また、営業の大事さが身にしみてわかったので、家庭教師に営業をしている徃西さんは起業家として頼もしいなと実感しました。

運命の資金調達、そしてオファー

一方NoSchoolでは、2018年9月ごろから徃西さんが投資家行脚を始めていました。経過は順調ではなく、毎週末に投資を受けれなさそうだという結果報告と、順調に残高が減っており予定通り年末または年明けに資金ショートするという宣言を聞いていました。その期間は約3ヶ月にも及びました。

社内新規事業という、失敗しても後戻りができる環境でチャレンジさせて頂いている僕は、起業のリアルを見るたびに、色々と考えさせられていました。日々TechCrunchなどのメディアを賑わせている資金調達のニュースの裏に、こんな苦労があるのかと思いました。ここまで人生賭けてやっていて、ちゃんとユーザーに使われているサイトがあるというのに、資金調達を受けることができないのです。

しかし11月頃から風向きが変わり、資金ショートを間近に迎えた2018年末のある日、とあるVC(ベンチャーキャピタル)から資金調達できることが決定したとSlackで連絡を受けました。

そして、徃西さんから僕に「NoSchoolにCTOとして来てほしい」とオファーをいただきました。
(※正確には、調達する少し前から、もし調達したらウチに来てほしいと言われていました)

CTOのオファーを貰った理由

副業エンジニアが4人いる中から僕に白羽の矢が立った理由は主に2つあります(たぶん)。

・技術力が最も高いこと
・教育事業に取り組みたい想いがあること

前者は僕が最も実務経験が長い(残りの3人は実務経験1年程度と、大学生2人です)ため、後者は前述したように学生時代から教育事業をやりたかったことを徃西さんも知っていたからです。

転職を決意するまでに思ったこと

オファーを貰ったとはいえ、徃西さんも僕がLIFULLに思い入れがあるし、社内新規事業もやらせてもらっていることを知っていましたので、「名人が今やっている事業の事業化と、NoSchoolの可能性どちらに賭けれるかなど考えて決めてほしい」ということを言いました。

僕も「自分がフルタイムで入らないとNoSchoolは危ないのではないか」というような温情は一切観点に入れないようにしました。

調達が決まったニュースをもらってから数日間はめちゃめちゃ揺れていた記憶があります。後に、当時食事で会った友人から「めちゃめちゃ悩んでいた」と教えてもらいましたw

でも、教育×ITの事業のCEOまたはCTOになる、というのは僕がLIFULLに入社したときからキャリアデザインシートとしてまとめ、上司に都度都度シェアしてきたことです。その前提に立って技術力はフルスタック寄りで幅広く身に着け、教育関連のイベントに足を運んだり、起業家の人脈を増やすなど行動してきました。

目の前にその機会をもらった今、僕の心はすでに決まっていることに気づきました。その上でNoSchoolとは給与面や株の付与などすり合わせたり、逆にLIFULLの方でどのように話を進めていくか決めることを考えようと思いました。

転職を決意してからやったこと

転職先の社長と雇用条件や給与、株/SOの付与について話し合いました

一部上場企業からスタートアップに転職する場合、想定される反論として「そんな会社大丈夫なのか」があると思います。

いかに僕が徃西さんを信用していようとも、予め雇用条件や給与は話し合って固めておくことが重要だと思いました。実際に書面に認め、内定通知書まで準備してもらいました。

ちなみに当然ですが、給与は下がります。それこそLIFULLの水準からしたらめっっちゃめちゃ下がるのですが、全然食べていける程度のお金は出るので、普通のスタートアップ創業期に比べたら恵まれた状態でチャレンジできるという感覚です。むしろそこに甘えないようにしたい。

また、株やSOについても数日間かけてお互いに勉強してその内容を共有し、このタイミングでこの割合で付与しようということを話し合いました。詳細は割愛しますが、入社前にできる限りこちらも固めておくべきだと思います。

ちなみにこの記事が非常に勉強になります。畑さんありがとうございます!

転職エージェントに相談しました

KeyPlayersという転職エージェントの高野さんにLINE@で相談しました

ここのサイトに記載の通り、LINE@で相談すると本当に回答が来ます。僕は給与や株の面でどんな待遇、決定が妥当でしょうかというのが最初の相談だったのですが、そのスタンスに対してまずは一喝を受け、その後もNoSchoolの事業について色々と見解を述べてくださいました。
(詳細な内容は書かないことにします。しかし、ここで教えていただいた内容で相当自分の中の考え方が変わりました。無料でしたので、せめてものお礼でまずはここのブログにて共有させていただきます)

親に報告しました

年末年始に帰省したついでに母親に転職の話をしたのですが、後からLINEで鬼かっこいい激励が飛んできました。
貧乏の中、高専卒で上場企業に長男を送り込むという恐ろしいROIを達成した母親なだけにどう思われるかなとは気にしてたのですが、かっこよすぎてそんな不安はなくなりました。神様仏様お母様。

LIFULLの社長(井上さん)と面談をしました

LIFULLの社長、井上さんはこの規模の企業になってもめちゃめちゃ社員との距離が近い方で、月に一回社員が誰でも来ても良いランチ会を開いていたり、社員主体で開いているイベントに顔を出しています。

僕自身は内定者の頃からSWITCHに出していたり、その手のイベントによく顔を出していたことから事業のアドバイスなどをしょっちゅう受けており、今回転職にあたって「活動中の新規事業をどうするか」の議論および「なぜ転職を決意したか」の報告が必須かと思い面談を申し込みました。

予定では30分だったのですが、貴重な時間を割いて時間オーバーの45分ほどかけて話に付き合っていただきました。

こちらもあまり詳細を書かないようにしますが、新規事業に関しては落とし所を見つけ、転職の件については激励をいただきました。

特に「決して借金だけはするな。借金するのは社長の仕事だから」という言葉は心に残りました。もし徃西さんが心が折れて「名人...お金を貸してくれ...」と言い始めたら「じゃあ俺が社長になる」と言い放てという意味です。リスクを取ってお金を投資して貰う代わりにリターンも大きいのが株式会社の社長ということ。本当に全てはトレードオフですね。

僕は随分我儘な社員だと思いますが、こうやってアドバイスをくれる度量の大きさに感服しました。

「ビジネス・テクノロジー・クリエイティビティの3つがこれから必要だと言われているが、3つとも備えている人材が最も強いので、自分の限界を決めないでいってほしい」という言葉も受け取りました。CTOだからといってテクノロジーに収まらず、これまで通りビジネス視点、さらにはクリエイティビティも持っていきたいと気合が入りました。

最後に

ここまで読んでいただいてありがとうございました!
2019年3月25日入社で、NoSchoolのCTOとして働きます。

何から何まで違った環境になりますが、とにかく楽しんで、内省を忘れず、自分で決断することを恐れず、一歩一歩丁寧に、体に気を付けて、借金だけはせずに笑、進んでいきます!

教育、勉強、EdTechに関心のある方や、同業種の方などぜひ交流していきたいので、水道橋のオフィスに遊びに来てください。

連絡はこちらのTwitterにでもお願いします!

https://twitter.com/Meijin_garden



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中吉です。ラッキー音楽はアカシック「邪魔」です
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趣味の将棋にちなんでニックネームは「名人」/ 某高専を卒業後LIFULLに入社。不動産サイトHOME’Sを開発・運用する傍ら、新規事業責任者として自身でツール開発から戦略立案、法人営業までこなす / 2019年3月からEdTechベンチャーNoSchoolのCTOに転職
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