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プラハ

 チェコから日本に届くはずの物が届いていなくて、大変なことになってきた。その事で緊急会議が設けられた。もちろん私が頼んでいる業者だから私の責任でもある。
 こちらの厄介な点は、何と言っても仕事なのにまるで他人事。敢えて言うと東欧のメンタリティは未だ古風で、男尊女卑?社会主義の名残りみたいなのがあっていろいろなコンプレックスがある。

 少し前、パリのプロジェクトで同じ業者にガラスを頼んで、請求書がうまく届かなくて支払いに時間がかかってしまった事があった。彼女は今だ!と言わんばかりにずっと私に攻撃してきた。彼女もそうやられてきているからだと思う。その時はクライエントがマテリアル代を直接チェコに払うようにしたから、この場合も私の責任。なのでその間、彼女に私のお金を預けておいた。それなのにイライラされた。 私にはその怒りの意味が分からない。彼が払わないのには何かの理由があるはずで、直ぐに払えない時もある。でもやっと支払いの完了後に今回の事件が起きた。

 約束の四月末の出荷のはずが、もう五月十日を過ぎている。私は月曜日に仕上がると聞いて、水曜日のお披露目に間に合うように飛行機で持って行くことにした。絶対に木曜日には戻りたいので、日本の滞在は二十六時間だけ。必死に航空券を探した。
 私は彼女にプラハの空港で待つと伝えた。土日を挟んでも返信無し。どうするか迷ったが、とりあえずプラハに向かった。飛行機に乗る直前に連絡が入った。午後に空港で!って。そして飛行機は順調に着いたが彼女は待てど来ない。結局、私は全てをキャンセルしてパリに戻った。
 彼女はとても悔しそうに何度も謝ってきた。仕方ない、怒ってもしょうがない。深呼吸をしてもしっくりこないけど、仕方ない。頑張ったのに。

 そんな急な帰国なのに、心友達に知らせたら空港まで会いに来てくれるって言ってくれた。結局会えなかったけど、嬉しくて胸が一杯になった。
 
 

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