見出し画像

【📰文系×医療🩺】君の膵臓(ってどこ?)をたべたい。

膵臓の機能や膵臓の病気「膵管内乳頭粘液性腫瘍」について学んでいきます!

今回の問題はこちら👇

疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。

a. 多発肝細胞癌 ー 経カテーテル的動脈化学塞栓術〈TACE〉
b. 胆石合併胆嚢癌 ー 腹腔鏡下胆嚢摘出術
c. 特発性門脈圧亢進症 ー 門脈内ステント留置
d. 膵管内乳頭粘液性腫瘍 ー 膵管ステント留置
e. 急性化膿性閉塞性胆管炎 ー 胆管切除術

膵管内乳頭粘液性腫瘍とは、膵臓(すいぞう)に嚢胞(のうほう)性の腫瘍ができる病気です。
そこでまず、膵臓の働き、そして嚢胞性の腫瘍について学んでいきます。

膵臓とは?

そもそも膵臓とはどこにあり、どんな働きがあるのでしょうか?

膵臓とは、胃の後ろに位置し、十二指腸に沿った細長い臓器です。

画像1

主な働きは二つあります。

膵液の分泌

一つ目は、タンパク質や炭水化物、脂肪などを分解する酵素を含んだアルカリ性の膵液(すいえき)を分泌する働きです。

食べ物が胃を過ぎ、十二指腸に到達すると、十二指腸が膵臓にセクレチンコレシストキニンといったホルモンを分泌し、膵液を十二指腸に分泌します。

画像2

タンパク質は胃液に含まれるペプシン、膵液中のトリプシンキモトリプシンなどの作用によりアミノ酸が繋がったペプチドまで分解されます。その後小腸でアミノ酸に分解されてから体内に吸収されて体を構成するために利用されます。

炭水化物(デンプン)は唾液や膵液中に含まれるα-アミラーゼによって小糖類に分解されて小腸に送られます。送られた小糖類はグルコースに分解されてから体内に吸収され、エネルギーとして利用されます。利用されないグルコースは肝臓でグリコーゲンとして蓄えられます。

食物に含まれる脂肪には脂肪酸が結合したトリグリセリドが多く、十二指腸で胆汁に含まれる胆汁酸やレシチンなどによって乳化(脂肪の塊を小さく分解すること)されます。乳化された脂肪は脂肪滴(しぼうてき)と呼ばれ、膵臓から分泌されたリパーゼによって分解されて脂肪酸とグリセリンが結合したモノグリセリドになります。その後小腸で吸収され、体を動かすためのエネルギーとして利用され、一部は皮下脂肪として蓄えられます。

画像3

血糖値の調整

膵臓の二つ目の働きは、血液中の糖分の量を一定に調節することです。
ランゲルハンス島という小さな細胞の塊が散在しており、α細胞β細胞δ細胞といった内分泌細胞が存在します。

画像4

α細胞では「グルカゴン」というホルモンがつくられています。グルカゴンには血液中の糖分を増やし血糖値をあげる働きがあり、血糖値が低下すると分泌されるホルモンです。

β細胞からは「インスリン」が分泌されます。インスリンには血液中の糖分を減少させる働きがあり血糖値が上がり過ぎないよう調整しています。

δ細胞からはホルモンの分泌を微調整する「ソマトスタチン」が分泌されます。グルカゴンやインスリンの分泌を抑制する働きがあり、互いに作用することで、血液中の糖分を正常に保つ役割を担っています。


嚢胞(のうほう)とは?

嚢胞とは

分泌物(液体)が袋状に貯まる病態のことです。多くの場合は治療が必要ないとされています。様々な臓器で生じます。

膵嚢胞性腫瘍

膵臓にできる嚢胞のことです。代表的なものとして、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)などがあります。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

膵臓の嚢胞性腫瘍の中で最も頻度が多く、代表的なものが、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)です。
IPMNは大きく分けて3つのタイプがあります。

分枝型IPMN
膵液を十二指腸へ運ぶ膵管の枝に発生するタイプを分枝型IPMNと呼びます。

主膵管型IPMN
膵管本幹(主膵管という)から発生するものを主膵管型IPMNと呼びます。この場合、主膵管の内側の腫瘍性細胞から産生された粘液により膵液の流れが悪くなり、主膵管が全長にわたって、太くなるのが特徴です。

混合型IPMN
IPMNは一か所だけでなく、膵臓のいたるところに発生することがあるので、分枝型と主膵管型が併存した、混合型IPMNというものもあります。

悪性度

IPMNは、一般的には低悪性度の腫瘍で、経過観察中ほとんど変化しないものも多く見られますが、中には膵管内のポリープ状の腫瘍(腺腫や上皮内癌)が徐々に大きく成長し、さらには膵管外に浸潤し通常の膵がんと同様に転移を来たす場合があります。

治療

IPMNの治療の基本は病変の完全切除です。
手術前の画像検査にて浸潤がんを伴っていることが疑われる場合には、通常の膵がんと同様、腫瘍を周囲のリンパ節や血管、神経と共に切除します。一方、浸潤がんを伴っていない早期のIPMNに対してはできるだけ膵機能を温存し(分節切除、膵中央切除など)、低侵襲な手術(腹腔鏡下脾動静脈温存膵尾側切除など)を選択しています。


ここで問題の選択肢dを確認していきます。

疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。

d. 膵管内乳頭粘液性腫瘍 ー 膵管ステント留置

ステント留置ではなく、切除が基本です。よって誤りとなります。

ステント留置については👇

この記事が参加している募集

#スキしてみて

529,975件

#最近の学び

182,350件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?