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ホクロ・イングリッシュ


実は先日まで洋画が苦手だった。
というのも、私は外国人の顔の見分けがつかないからである。


安直な邦画ばかり観て育ってきた。
しかし少女時代も過ぎれば、
安直な作品にも飽きてくる。
見慣れた俳優や女優の画面の中の芝居や、
起承転結がわかりきったドラマ・アニメに
なんの面白みも感じなくなってしまった。


こうして映画やドラマ、アニメから離れた生活を送っていたわたし。
サブスクは登録していたが、放置。


しかし、私を再び映画の世界に連れ戻してくれた作品がある。
洋画のラブストーリーだ。
「なんてロマンチック…♡」
扱いが難しそうなわたし。実は意外と単純。


『ビフォア・サンライズ』
『世界一キライなあなたに』
そして『セックス・アンド・ザ・シティ』
あっという間に外国ってス・テ・キ状態。


外国人と括れど、人それぞれなことは承知済。
映画やドラマの「創られたお話」だとしても
彼・彼女らが繰り広げる会話はとても面白い。
ジョークに初めて面白さを感じ、心奪われた。


単純思考で行動力の化身のわたしは早速、
「外国人と関わりたい!」と夢を抱く。


今まで外国人を毛嫌いしていた。
なぜだろうと考えてみたよ。
理由は2つ。



①公文地獄

わたしは約10年間公文に通っていた。
主に英語。通わ"されて"いた。
母の「英検2級取るまで辞めさせない。」
という命令のもと、高1まで通わされていた。
キッズたちの中に混じるJK。公文の主。


公文のカバンは健在



そして公文経験者は理解してくれると思う。
進めば進むほど、自分が何を解いているのかわからなくなるのだ。
ABCDEFGHIJKLMNOPQ…
Gからが中学英語。Jからが高校英語(のはず)。
わたしはMだのOだの、
訳わからないところまできていた。
もはや読解不可能。
答えらしいところを探して勘で答えを書く。


並行して高校入学頃から英会話に通わされる。
最初は真面目に取り組もうとしたが、
内容が簡単すぎる故、態度激悪JKへ。
一対一でアメリカ人のおじさんと、ほぼ日本語で話しながら1時間大富豪する時間になっていた。
(それはそれで楽しかった。)


「英語嫌!辞めたい!」
という一心で英検2級に一発合格。
晴れてわたしは17歳のときに英語から離れることが許された。



本来ならば、英語を学べる恵まれた環境を与えてくれたことに感謝しなければならないだろう。
しかし、当時の母の圧は凄まじく、わたしにはかなりのプレッシャーだった。


故に、「英語キライ!私は日本人!海外イヤ!」
となってしまったと推測する。


②Tax Free Monster

高校卒業後は眼鏡屋で働いていた。
なぜ、旅行者の彼らはtax freeで眼鏡を求めるの?
たくさんの外国人を接客した。
学んだ英語は接客に活かすことができた。


しかし、彼らは待つことができない。
旅行中は時間が限られていることは理解できる。
しかし、特別待遇はできない。
待てない外国人から
「I'm angry!!!!」とキレ散らかされたこともある。
「Sorry…」とか言えない。だって無理だもん。
「自国で買ってくれや…」と思いながら働く。
そんな環境下で、わたしは益々外国人嫌いに。




そんな海外嫌いだったわたし。
払拭してくれたのは、洋画や海外ドラマ。海外の服やインテリアのコーディネートは、
観ているだけで心が安らぐ。



そして恋愛についての考え方を今一度考えさせてくれたドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』。
ありがとう、キャリー・ブラッドショー。





………日本の男にも飽きてきたところだ。


経験上、彼らは「エモい」だの「チルだね」だのばかりで気色悪い。エモ、チル、何?



独身のオジサンはわたしと同様に
【謎のこだわり】がある。相容れない。
そして干支一回りしそうな年下の女を狙うオジサンにまともなオジサンはいない。断言しよう。


こうして、わたしは海外の男性に狙いを定めた。
マチアプでドイツ人の男性32歳とマッチ。
2022年の締めに、外国人とデートするという夢を叶えたのだ。



彼とは結構な量のメッセージをやり取りをした。
仕事の話、アニメの話、文化の話など。
たどたどしい日本語でのやり取りはほのぼのしていて心地よい。
そして、急遽きのうデートをすることに。
お互い散歩に行こうと思っていたところなので、
一緒に散歩することにしたのだ。




待ち合わせは15時新宿。
お互い緊張ぎみ。
メッセージの様子から、彼はもっと日本語を話せると思っていた。
しかし彼は日本に来てから1年ほどで、
わたしの会話をあまり理解できていないよう。


(困ったぞ……アセアセ…)


長らく封印されたわたしの英語力が試される。
差詰、ルー大柴のような。出川Englishのような。
とにかく、きのうのわたしは傍からみてさぞ面白かっただろう。


「釣り堀」と伝えたくて
「フィッシングコーナー」と言ったり、
大酒飲みの【ザル】という意味を伝えたくて
全身を使ってザルのことを表現したり。
彼も私も大爆笑だった。


代々木八幡宮には数々の企業の名前が書かれた提灯が飾られている。
一緒に漢字を読みながら通り過ぎる。
「名前ナカッタ…」と言う彼。
おもしろかわいい。ゲラゲラ笑った。

たくさんの企業の見栄


お互い人混みが嫌いな中、原宿に到着。
年越しなので蕎麦を食べることに。



箸の入っていた紙で鶴を折ったり、
壁の模様をみて「like a cat!」と楽しむわたしの様子を彼は微笑ましく眺めてくれていた。
そして一緒になって探してくれる。
チェーンの蕎麦屋に1時間ちょっと居た。
ただの蕎麦屋がアート・ミュージアムになった。
居心地がよかった。
いつもなら【不思議ちゃん】で終わるわたしを彼はとても楽しんでくれたように見えた。


そうして解散。
デートって本来こういうものじゃないか。
お金をかけずとも、お互いの人間性で会話のキャッチボールができ、景色を見て楽しめる。
なんだか、子どもの頃に戻ったようだった。


同じ言語で話せるからこそ、自分の身を削って話しすぎてしまう。(自業自得)
そして自己嫌悪に陥るわたしにとって、
とても良い時間と経験になった。
新しい発見をこれからも見つけていこうね。
ホクの2023年も乞うご期待。



ホクの人生、みさらせや〜。

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