霧夢繕楽《きりゆめぜんら》

詩人。 ほぼ毎日、pm6くらいに更新

霧夢繕楽《きりゆめぜんら》

詩人。 ほぼ毎日、pm6くらいに更新

最近の記事

詩『対ヴィランのつくり方』

魔王から 有能な未来を 奪い返すため 靴紐を 眠りから覚ます 勇者。 行き先未定な風が 通り抜けるついでに 撫でる、 魂を 地上に 繋ぎとめておく糸。 激闘と 混ぜ合わせて 勇者の糸を 緊張から 解放した 魔王の使徒。 怒りを 種火に 燃え盛る 民衆に対し 跪く 復讐。 大衆伝達の 手を借りて 周りの早い 火の手。 億の風を 束ねて 吹き込む、 右も左もわからない 煽動。 消火も 憚るほど 群生した 火の

    • 詩『言葉は音楽に勝てるのか』

      言葉との 縁を切り 季節を 寸分違わず 伝える 旋律。 気持ちの色を 塗り替える グルーブ。 恋愛や 応援への 偏愛。 かたや 心の中を 忠実に再現する 言葉たち。 心とは 無縁のものも この世界に 産み落とせる 多重人格。 どちらを使って 心を覗いても 本音に触れているか 疑問符で溢れ 鬱蒼。 その夜を 映した心が どちらを 愛でるのか。 夜の色を 一層 濃くする 言葉と音楽。

      • 詩『秘密に光を当てるタイムラグ』

        清らかな空欄に ひとつだけ 括り付ける 姓名。 落下音が 反響する 暗闇が詰まった 箱の中。 みんなから 照らされた 充分な光を 浴びて ひらいた 赤い花びら。 数ページ分 捲られた 暦。 闇を被せて 伏せられていた 真実。 純然たる不手際か 純粋な目論見か。 敗者とは どのように 映るものなのか。 我が身が 勝者となっても 鎖で縛れるか。 騒々しい青い海で 引っ越しのときを待つ 無言の 珊瑚。

        • 詩『楽しいのがいちばん』

          繋いだ手の先へと お菓子を ねだるのも 旅と 手を繋いだ訪問者に チップを ねだるのも あどけない声。 精巧につくられた 戦場で 競い合うのも 精巧につくられた 銃で 余命を 奪い合うのも 幼気な ゲームメーカー。 同じ品種でも 種が 腰を下ろした 場所によって 花びらの色は 変わるだろうか。 追跡から 逃れ 積まれゆく 貨幣。 逃げ場所も わからないまま 耳の中を飛ぶ 銃声。

        詩『対ヴィランのつくり方』

          詩『青い空で はしゃぐ白い太陽』

          その日の夜を 捕まえて 木と戯れる炎を囲む 和やかな声。 かたや 緊張感で 時間を 喰いつぶす、 島を囲む 鳥や 魚たち。 龍が 飛び交う街のように ひと吹きで 昇天するもしれない 民主の炎。 ひとつの囲いの中で 起きることを 前にして できることがあるのなら 水を掛け合う囲いの中にも 翼を 広げるのだろうか。 準備が 挑発に 見えれば 挑発の応酬で 水かさの増す 海原。 偶発も 気の緩みで 大火へと 成長。

          詩『青い空で はしゃぐ白い太陽』

          詩『白い土に赤い花を咲かせる方法』

          色づいた葉も 風との 軽い挨拶を 済ませ その生涯を 閉じる。 はじめから 抜けられるように つくられた道なら 望まれる 再整備。 黒塗りの 夜道には 木漏れ日の やわらかな光を。 透明感の欲しい 使い途には ガラスの 展示室。 授かる量は 勤労に 呼応。 多くの貨幣に 囲まれたいなんて 転職への 初期衝動。 平たい感覚を 手放せば 潮時を伝える 茜色の 波音。

          詩『白い土に赤い花を咲かせる方法』

          詩『研究の先端で暗転する魂』

          探索を 制圧して 空と 自由を 謳歌する 翼。 爛々とした目を 盗んでは 標的までの 旅を楽しむ 火の粉。 救命に 身を捧げるのも 絶命に 心血を注ぐのも 愛すべき 人間のため。 光と闇に 片方ずつ 足を置く 研究者。 攻めも 守りも 増えるばかりの 祈り。 異彩を放つ 青い球体。 赤いインクを こぼしたのは 研究者か 権力者か 全人類か。

          詩『研究の先端で暗転する魂』

          詩『私の証明』

          車との 親密な関係。 病院との 逢瀬。 仮の名と 暗号で 花開く 秘密の 幕開け。 私であることの 証明を狙い 闇に浮かぶ いくつもの 眼光。 知らぬ間に 割り振られた 私を証明する 数列。 配るだけで 済むはずの 不可解な 任意。 深い仲へと 誘う 一兆枚の アルミニウム。 列島に 立ち込める 実行者への 不信感。 充満した 沈黙の中 絶え間ない 前進。 善意の香りしか しないなら 素直に 受け入れる

          詩『同じ国民のそれぞれの二択』

          バスを待つ 母子。 その国の 外国人。 似つかわしくない 刃物。 その国の 国民。 間に入った その国の 国民。 受け止めた 鋭利と 狂気。 刃物は どんな空を 映しただろうか。 母子を 救いし 魂。 せめて 雲の上で 最上の 贅沢を。

          詩『同じ国民のそれぞれの二択』

          詩『咲き誇る資本主義』

          体から 芽を出す 豊かさへの 探求。 有限なら 最大限。 無限なら 幻かの 確認。 前年を上回る 朽ちることのない 向上心。 効率と 生産性に 水をやれば 成長する ネット記事。 表から 逃げ出した貨幣に 助けられる 模範となるべき スーツ姿。 心と頭を 包み込む からだ。 病名を もらうまでは 正常。 高波が 来ても 乗り越える 前のめり。 爪も 牙も 常に 野性的。 花は 少しずつ 咲く場所を増や

          詩『咲き誇る資本主義』

          詩『始まりと終わりの校庭』

          記憶を 再生する 頭脳。 小学生と 首輪のない犬。 惹かれ合った 初対面。 地面と 離れ離れの 靴底。 空に 近づく からだ。 日記を 埋めること 数日分。 ともだちが 連れてきた 別れ。 風に 撫でられた 毛並。 子供を いいことに 許される 無知。 食べものにも なり得た 自分。 友として 見てくれて 感謝。 空腹が 連れてった 空の上。 今も どこかの 日常。

          詩『始まりと終わりの校庭』

          詩『終結の美酒』

          空や 瓦礫に 生きていた 炎。 すべて 老いて 今では 白煙。 戦いの火蓋なら 深い 水の中。 始まりは いつも 絢爛な 業火。 憎しみ合うには 充分な 体力と 大義。 何メートルかも 聞かされないまま 走り出す 民衆。 自分の弾が 弾く 相手の頭。 置き去りのままの 仲間。 半信と 半疑の中を 泳ぐ 号令。 脳の中を 飛ばす間もなく 服従する 両足。 敵と 呼び出したのは いつから。 嫌になるほど

          詩『闇への入り口に立つ無口』

          隠されると 触手が 騒ぐのは 人の常。 妖しげな影の 気配に 彷徨う 恋心。 一度 自分の懐で 眠った 貨幣の 行き先。 どんな未来に 身を投じたのか 最盛期を迎える 民衆の関心。 恋の 揺らぎも 祭り事への 不信も 観客席は 赤いままの サーモグラフィ。 肥大化する 想像。 未確認の 悪行。 言葉を 血肉にした 実体を持たぬまま 肌寒い空気中を 浮遊する 変わることのない 真実。

          詩『闇への入り口に立つ無口』

          詩『意味ある長期化』

          争いなら 仲裁より 支援。 削ぐに注力して 未来への 貢献。 思考なら 開店から 残りの展開まで フル回転。 同じフロアで踊る民衆からの 非難を 回避する 微調整。 潤うなら 平和を願う曲でも 息の根を止める果実でも 同じこと。 票の行方に 触れて 擬態する 意見。 どんな絵が 飾られて 終わりを 迎えるのか 迎えないのか。 青と黄が 生い茂る キャンバスを 赤で染める 友達の体。

          詩『暗い未来 洗い流す 手がかり』

          年輪を 重ねても 空気を 薄紅に 塗り替える 花びら。 折り重なる 年月の中で 繰り返し 浴びた 陽光や 雨音。 未来からの風が 運んでくる 変わる余地のある 暗雲。 若い根から 青空へと伸びる 鮮やかな 希望。 自由を 尊重しつつ 若いときに 斜面に植える 苗木。 生まれた季節の花に 再会すること 20回ほど。 自分たちも 支えてくれる 成木となる夢も 生きた画材で 描ける 現実世界。

          詩『暗い未来 洗い流す 手がかり』

          詩『救いを求める救いの手』

          「平穏」を 過去形で 飾られた 友達。 惨状も 毎日なら 日常。 国境をまたぐ 貨幣。 戦場を 更新しても 戦場。 薄氷の上の 平和の国。 深々と 降り積もる 送金。 疲労の 蓄積する 支援。 自分の生活に 群がる 焦点。 環境の 病状など 後回し。 また 疎かになる 未来。 花が告げる 不整脈な 季節。 大病を 手招く 「今がよければ」。

          詩『救いを求める救いの手』