詩『闇への入り口に立つ無口』

隠されると

触手しょくしゅ

騒ぐのは

人のつね

あやしげな影の

気配けはい

彷徨さまよ

恋心。

一度

自分のふところ

眠った

貨幣の

行き先。

どんな未来に

身を投じたのか

最盛期さいせいきを迎える

民衆の関心。

恋の

揺らぎも

まつごとへの

不信も

観客席は

赤いままの

サーモグラフィ。

肥大化する

想像。

未確認の

悪行あくぎょう

言葉を

血肉けつにくにした

実体を持たぬまま

肌寒い空気中を

浮遊する

変わることのない

真実。


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