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舞田 穂留|小説家|写真家|フリーランス
2020年3月7日 00:43
小説『蝦夷錦』15世紀から16世紀の渡島(北海道)を舞台に生きる人々の物語。和人の視点で物語が進みます。気になったときに改訂しています。序章 一. はるか昔に海が割れ、大陸と土続きだった時代に西から渡ってきた者たち。いつの頃からか”和人” そう呼ばれた者たちは、東へ、さらに東へと進んでいった。都の大将軍・阿倍比羅夫が海を越え”渡島”の地に、足を踏み入れてから八百年。渡島に
2020年3月10日 17:24
前回の話。マキリを巡る諍いで一人の蝦夷が和人に殺された。怒りに燃える蝦夷の大軍が和人地を襲撃。渡島南岸に連なる十二の和人館のうち、十が陥落した。追い詰められた和人は館に籠り、そこへ蝦夷の大軍が迫っていた。序章 二. 花沢館「伝令!比石館、落ちまして御座いまする!館主の厚谷右近将様は討ち死!残りも皆討ち取られた様子!蝦夷共の数、さらに増え、およそ二五〇〇!」雪が解けてすぐに、蝦夷
2020年3月12日 00:52
前回の話。追い詰められた和人。その中から一人の若武者が立ち上がった。義父は策を張り巡らせ、敵の大将コシャマインの首を狙う。蠢き出た男たちの野望。若き大将、武田信広は蝦夷との戦に疑問を持ちつつ、馬を駆けた。序章 三. 渡党俺は、蝦夷になっちまったんだ。俺の親父は商人でさ、陸奥と渡島を行ったり来たりしてたからよ、兄貴が親代わりのようなものだったんだ。渡党に生まれたはやつは、みん
2020年3月20日 20:31
前回の話 蝦夷方には多くの渡党がいた。敵味方に別れた渡党を巻き込んで果てしない殺し合いは続く。勝利を目前にした蝦夷達の背後に、決死の突撃を掛ける和人の兵。因縁の土地、七重浜で蝦夷と和人の大将が邂逅する。序章 四. 七重浜の戦い「遠からん者は音にも聞けっ! 近くば寄って目にも見よっ!」絶叫が海に響き、打ち寄せる波が大きくうねった。花沢館は陥落せず、蝦夷は初めての敗北を喫した。