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枚方市議会議員の立場から考える市役所職員と議員の関係

こんにちは。
枚方市議会議員の松本佑介です。

前回の記事で、
「議員の仕事が分かりやすい」
とのお声を頂いたので、
次は議員の立場から見た
市役所の職員さんとの関係について
お話しさせて頂きます。


市役所職員は行政のプロ

私は市議会議員として、
市役所の職員さん達から、
案件の説明を受ける機会が多々あります。

職員さん達は行政のプロとして
レベルが高く、しかも市民目線です。

案件の説明をお聞きしていても、
「なるほど、確かにそうすべきだ。」と、
納得できるものがほとんどです。

ときどき、一見すると不十分であったり、
合理的でないと思えるものもありますが、
ちょっと考えれば、現時点ではどうしても
完璧を実現できなかったり、
合理性を追求できない理由や背景が
すぐに推測できるものばかりです。

念のため、そういう部分を質問してみても、
大体、予想通りの答えが返ってきて、
枚方市の職員さん達のレベルの高さや
市民目線を改めて実感するとともに、
自分の感覚が正しかったことを
ひそかに安心したりしています。

中には、私が発言した内容を踏まえて、
多少、案件を説明する文章の表現等を
変更してくれる方もいらっしゃいますが、
案件の中身自体が大きく変わることは
まずありません。

市役所職員の“議員説明”

そもそも、職員さん達は、
それぞれの議員がどういう点に反応するかを
事前に把握している
ので、
案件がある程度出来上がって、
議員に説明する段階で、
案件を修正しないといけなくなるような
事態はほぼありません。

職員さんは、自分達が進めないといけない
と考えている案件の中身は守りつつ、
どの議員の意見にも合うような
絶妙な言い回し
で案件説明資料を作り、
巧みに施策を実現させていっています。

わざわざ市役所の職員さん達に
言うことはありませんが、
説明資料の文章は大体似た表現
になっていますし、
私が説明を聞いて質問するときに、
職員さん達が痛いところを突かれた
と思ったときの逃げ文句も
定型文かと思うほど同じ言葉
ですので、
きっと、市役所の中で、
対議員用の攻略ワードが
仕事を進めるノウハウとして
継承されていっているのでしょう。

これを読んで、
「何やってんだ。」と思った方も
いらっしゃるかも知れません。

でも、皆さまの中でも、
自分で企画書を作って、それを通すときに、
上司を含めた様々な関係者の意向に合わせて
表現を修正した経験がある方も多い
と思います。

これは、複数の関係者で仕事を進め、
内容を文章に落とし込む際に、
ほぼ必ず発生する作業です。

むしろ、市役所の中では絶妙な言い回しや
合意形成の手法が日々鍛えられ、
何代にもわたって継承されているので、
一般の職場よりも、スムーズに
仕事を進める能力が高い
と感じます。

そんなことを言うと、
「市役所は誰のために仕事をしているんだ」
「市民の方を向いて仕事をしてくれ。」
という声が聞こえてきそうです。

ですが、間違いなく、
市役所職員は市民のことを第一に考えて、
常に市民の方を向いて仕事をしています。

少なくとも、枚方市役所はそうであると、
議員である私は断言できます。

市民のために仕事をする市役所職員

一例を挙げましょう。

対議員のコツを踏まえた職員さん達ですが、
実は、ときどき、職員さん達の出す案件が、
議員の意見や考え方と合わず、
議員から強めの意見を
受けている場合があります。

その様子を見ていると、職員さん達は、
議員の反発も事前に想像した上で、
案件の説明に臨んでいるように感じます。

議員は市民の代表で、
市民の声を代弁しているはずなのに、
なぜ市役所の職員さんは
議員の意見と合わない案件を
進めるのでしょうか。

市民の声

言うまでもなく、
議員は選挙で選ばれた市民の代表です。

議員が市民の声を行政に伝える役目を担い、
行政が市民のために仕事をするのであれば、
市役所の職員さんが議員の意見と合わない
案件を進めるのはおかしいはずです。

実は、ここで、
市役所職員と議員のどちらが市民の声を
集約しているのかという論点があります。

別の記事でも書きましたが、
現代では行政の活動範囲や
情報収集力が向上し、
今や行政は議員を通さずとも、
相当、市民の声を把握しています。

一方、議員も市民の声を代弁するのですが、
議員は選挙があるという点が違います。

選挙という宿命を背負った議員

ほとんどの議員には、
自分を応援してくれる人たち
(以下、支持母体と記載します)
がいます。

議員は、来るべき選挙に備えて、
自分達の支持母体の意見・要望を
行政に言いこむ姿勢を見せることで、
支持母体に「この議員は役に立つ」
と認めてもらうことが
選挙戦略上、大変有用です。

したがって、議員にとって、
市役所職員が提案する全体最適と
自分の支持母体の声に差があったときに、
自分の支持母体の声を伝えないという
選択肢を取るのは非常に苦しい
です。

全体最適 vs. 一部の市民の声

市役所の職員さん達が
より幅広い市民の要望
実現しようとしているとき、
議員が自分の支持母体である
一部の市民の声を主張すると、
市役所の職員さん達が
議員の意見に合わない案件を進める
という事態になります。

こういうときの職員さん達は、
議員の強い意見に耐えつつも、
本当に市民のことを考え、
信念をもって仕事をしている人の
顔をしておられます。

しかし、
選挙対策の観点が拭えないとはいえ、
議員が、全体最適よりも、
自分の支持母体の声を優先して
発言することも否定してはいけません。

なぜなら、それぞれの議員が、
それぞれの議員が集めた声を
行政に届けることこそが、
民主政治の基本だからです。

それぞれの議員も、
自分を応援してくれる市民の付託を得て、
それぞれの市民の声を代弁する役目を
ちゃんと果たしているのです。

こういうときの議員は、
行政の案件が今回の意見で
変更になることはないと分かりつつも、
自分を応援してくれる市民の代表として、
使命感を持って意見を伝えています。

こう考えると、
より様々な集団の意見を集めるべく、
議員の人数は多い方が
民主政治の在り方としては好ましい
はずなのですが、
どうも、今のご時世を見ていると
そのような潮流では無さそうです。

専門性という観点

議員定数削減を推進する意見はこうです。

「議員がこんなに大勢いなくても、
仕事は進められる。」

では、
そもそも議員の仕事とは何でしょうか。

それは、行政が提案する施策に対して、
イエス・ノーを表明することです。

ところが、先ほど述べたように、
行政マンはプロですから、
議員が行政の提案を否決せざるを
得なくなることは、まずありません。

「どうせ否決しないんだから、
議員が大勢いる必要は無い。」

議員定数削減を推進する意見には、
こんな意見まで出てきます。

どうも、議員に存在価値を感じていない
かのような意見に思えます。

議員には、
そんなに存在価値が無いのでしょうか。

議員ごとの得意分野

実は議員には、
それぞれ得意分野というものがあります。

他の議員がご自身の得意分野の案件について
発言されているとき、
私自身、大変勉強になりますし、
この方が居て下さって良かったと感じます。

おそらく市役所の職員さん達も同じように
感じることもあるのではないでしょうか。

今の時代の議員の付加価値

既に市役所の職員さん達がある程度
市民の声を集約することが出来ている今、
この得意分野、すなわち、専門性こそが、
行政の案件に対して意見を述べる際の
議員の“付加価値”になると考えます。

勿論、市役所の職員さん達も仕事なので、
案件を進める際には事前に勉強しますし、
中には何年も同じ仕事に携わっている方も
いらっしゃいます。

議員に得意分野があるといっても、
市役所の職員さん達が簡単に
獲得できる分野・レベルの知見ですと、
なかなかその議員は付加価値を発揮する
という状況にはなりません。

「議員が大勢いても意味がない」
という意見が成り立つのであれば、
その議会の議員の得意分野は、
市役所の職員さん達が
簡単に獲得できるレベルの知見を
上回っていない
ということなのでしょう。

行政のプロである
市役所の職員さん達に対して、
議員が付加価値を発揮したい、
すなわち、
「居る意味がある」と思って欲しいなら、
議員は専門性を発揮せねばなりません。

おわりに

如何でしたでしょうか。

議員の仕事は、
市民の声を行政に伝えることである一方、
行政が直接市民の声を
集約できるようになった現代においては、
議員はこれまでとは別のポイントで
付加価値を発揮していかねばなりません。

「皆が望んでるはずなのに、
なぜ行政は対応してくれないんだろう。」

そのような意見がある場合は、
議員から意見を伝えたとしても、
既に行政は市民の要望を把握していて、
それを「実現したいけど出来ない」
そんな状況なのかも知れません。

それでも、何か動かしたいものがあるなら、
声を伝えるだけではなく、
案件を動かせる知見やアイデアが必要です。

皆さまも議員の仕事をご覧になる際には、
その議員がどんな専門性を持っているか
声を届けるだけでなく、
どんな知見やアイデアで
案件を動かそうとしているかという観点で、
ご覧になっても面白いかも知れません。

私自身も、
皆さまに存在意義を感じて頂けるよう
自分自身の専門性を磨いていこうと思います。

私の考え方に賛同して頂ける方は
是非、スキをお願いします。

松本 佑介 @ 枚方を動かす新しいチカラ


最後まで読んでいただいて
ありがとうございます。

次に書く記事に生かしますので、
ご感想をお待ちしております。

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