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今遊ばなきゃいつ遊ぶの?に行きついた話|ある土地での物語#3

購入寸前までいった土地を、迷って手放してから5ヶ月くらい経っていたと思う。

それからもわたしたちは毎日webで土地探し、空き家バンクの情報などを見るのが日課になり、移住者支援しているNPO法人なども訪ねて、気になるところがあればすぐに現地を見に行った。

そうして何十件と見ても、あの土地ほど心惹かれる場所はなかった。

そして、あの土地は誰にも買われることなく、残っていた。

他の購入検討者がいると聞いていたのですぐ売れると思っていたのに、結局誰も買わなかったらしい。市街地にも割と近い立地なのになんで売れないんだろうと不思議に思うほどだった。

「土地に選んでもらおう」と言って手放したのを思い出した。
そして、夫から「やっぱりあの土地が欲しい」と言われた。

夫は、小屋を建てたい願望があった。

「山があって竹林があって沢があって車が来ない立地は遊び場にピッタリで、どうしても”遊び場”として欲しい!!秘密基地にしたい!!」

夫もあの土地に生活する家を建てることは考えていないらしく、そうなると週末セカンドハウス的な扱いになる。
我が家から土地までの距離は車で20分ほどで、遠くはない。

そこで気になることが3点。

1.管理できるの?
2.小屋を建てる計画は?
3.長期的に通う頻度は?

その豊かな土地にはびっしりと草が生い茂っていて、夏は伸びるスピードも速い。自宅敷地ならまだしも、定期的に通ってメンテナンスをすることを怠れば、すぐにまた、ただの荒れ地になってしまい、持て余すのでは??と思った。

というのも、夫は片付けや掃除を自主的にはしない。
どれだけ散らかって汚くなっていても全く気に留めない。我が家で掃除をしたくてするのはわたしだけである。

これまでの夫の傾向を見ていても、土地や小屋が荒れていたり、汚かったりしてイヤだなぁと思うのはわたしだけ。
ただ、家と同じようにメンテナンスはわたしが行うとしたら広すぎる、家族の定期タスクとするか、息子の予定もある中でそれが継続できるか、が短期的には気になる。

夏は背丈の高い草たちも生い茂るジャングルのようになっていた
秋にはこうなってしまって入ることすらできなくなる

次に、会社員をしている夫が、いつその土地に通って小屋を建てるのか?
週末は4歳息子に合わせた休日を過ごしているし、有休を取って作業をすることになる。

そして一番大きなポイントは、
今の仮住まいのアパートから引っ越す先の家が決まっていないこと。

そこまで離れた地域に移り住む予定はないけど、もし広い自宅敷地が入手できればそこに小屋を建てればいい。(熊本の売土地は広い物件が多い)
そうなれば通うことを考えたりする必要もないし、小屋を建てるのにも空いた時間でコツコツやるということができる。

ただ、それが見つからないので今がタイミングじゃないのかなぁ、と待つしかない状態での”遊び場”としての土地の登場。

正直わたしも、あの土地ではやってみたいことがいくつかある。
小屋を建てるというのはわたしもやってみたかったことの一つだ。

上記の気になるポイントについては夫婦でしっかり話し合いをした。

その際、とにかく自分で小屋を建てたい夫と、現実的なことをいちいち指摘するわたしとで意見がぶつかり、お互いに感情的になった日があった。

感情的になる、というのはわたしたちにとっては、本当に珍しいことだった。それでもとことん話し合ったわたしたちは、その土地を一緒に開拓していくという共通認識に差があったことに気付いた。

いろいろ端折って簡略にいうと、
夫はわたしが乗り気じゃないと思ったので一人でやらねばと強情になっていた、わたしは乗り気だけど夫がなんでも一人で決めようとするのであなただけのモノなの?とすねていた、というだけのことだった。

世の中のいざこざの大半は、こんな些細な本心を素直に言わないことでこじれてこじれて絡まった結果なんだと思う。

改めてお互いの考えを理解したわたしたちは、この日購入を決定した。

むしろ、この話し合いをすることこそが、大切なプロセスだったように感じる。

ただ、小屋を建てるというのは、すでに家があって、子育ても落ち着いてから、余暇に遊びでじっくり楽しむものだと思っていた。

冷静に合理的に考えれば、家が決まっていないのに、先に「遊び」を選択するということに全く不安がなかったわけではない。

ただ、あの土地でのこれからのことを話す夫のキラキラした目と、生き生きとした表情を見ていたら、ワクワクが原動力であれば間違いなんてないのかもしれない、と思った。

そのワクワクに賭けたくなった。

今遊ばなきゃ、いつ遊ぶんだ?という気持ちになった。

そういうわけで、2023年3月、その土地を購入した。

そこは「豊間」という地名で、現在わたしのnoteのテーマでもある「豊かさ」にフォーカスし続けているなかでの出逢いだった。

「豊かさの間にある土地」という言葉が浮かんで、これもご縁なんだなと思った。

これからここで、なにから始めよう?

(つづく)



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