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ビッグ・フォー(幸福の4要素)について考える~『残酷すぎる成功法則』読書記録②~


前回の、続き。

前記事では、

自分にとっての成功を定義すること

が幸福への必須ステップであり、そのためには、

自分を知り、自分の特性と周囲の世界を最適な関係に調整する

ことの重要性に気づいた。そのうえで、本書にならい、私自信の特性を分析し、ふさわしい環境についても継続してリサーチを続けようと決めた。

忘れてはならない重要な調整(アラインメント)は、

自分が望むような人になっていくのを助けてくれる友人たちや愛する人とつながること

だ。これを疎かにして、本書のいうところ(そそして私が思い描く)「成功」はない。もちろん、ライフステージによって絶えず変化してゆくワークライフバランスなども、これを無視しては崩壊してしまうだろう。今、このタイミングで一生心に留め置くべきことを再確認出来たこと、学び直せたことに感謝しつつ、今日はもう少し階層を下げて、卑近な具体例を挙げて「成功と幸福」ということについて記録しておきたい。


幸福の測定基準とは?


結局のところ、人生が順調かどうかを1つの測定基準だけで測ることは難しい、ということだ。そして、そうしようとすれば常にリスクが伴う。実際本書では、成功を1つの基準で測る望ましくない戦略を「崩壊(コラプシング)戦略」と呼び、避けるように警告する。それでは、崩壊戦略を採らないとすれば、一体どんな戦略をとるのがベターなのか?

それが、

ビッグ・フォー(幸福の4要素)

について考え、知り、それらのバランスを取ることである。ビッグ・フォーは、「幸福の測定基準の4つの必須要素」とされている。

1  幸福感 :人生から喜びと満足感を得ていること

達成感  :何らかの業績でほかに抜きん出ていること

存在意義:身近な人びとに、ポジティブな影響を及ぼしていること

育成        :自分の価値観や業績によって、誰かの未来の成功を助けていること


1~4の各項目の行動を挙げれば、

1 = 楽しむ

2 = 目標を達成する

3 = 他者の役に立つ

4 = 伝える

である。この4つのニーズに定期的に貢献すること。ひとつでも軽視すれば、崩壊戦略を採用して進むことになる。どれかを長期間ないがしろにすれば、人生の重要な要素にシークエンシング(優先順位づけ)していることになる。(シークエンシングがうまく機能しないことは、前記事で述べた通り)

わすれないように、何度も繰り返す。これらのバランスが大事なのだ。

「どんなバランスで達成したら、わたしの人生に必要なものが得られるか?」

恥ずかしながら、この問いをこれまで、自分自身に向けたことはなかったかも知れない。結婚や出産を機に、「仕事:私生活」とか「仕事:育児家事:自由時間」的な感じで、とてもざっくりと考えたことはあったかも知れないが、それは多くの場合「時間の量的配分」についてだった。

これで上手くいかなくなるパターンを繰り返し、この本を読んでようやく気づいたのは、もっと自分の価値観をベースにして、ひとつの領域に偏らず、時間以外の他の要素についてもじっくり思いを寄せてみるべきだった、ということだ。「どんな要素」が、どのくらいのバランスと「質」を確保出来ていれば、幸福度が高い状態を保てるのか。

状況や具体的内容は変化する(例:ライフステージや健康状態、仕事や家族や人間関係の変化にまつわるあれこれ)が、根本的な価値観はそんなに変わらない。もっと早くに、ビッグ・フォーについてよくよく考えてみる必要があった。


私のビッグ・フォー考察


1 私が楽しんでいることは?

→家族で過ごす時間、娘の成長、夫との語らい、数少ない気の置けない友人とのおしゃべり、尊敬する人たちとたまに人生の深淵な部分について語り合うこと、読書で先人の知や知恵に触れる、自然の中を散歩してその恩恵を感じることなど


2 得意なこと、達成感を得られることは?

→プレゼンテーション、ファシリテーション、文章執筆、分析、人と協力関係を築く、これまでに取得した資格、語学(だいぶ間があいてしまったけど…フランス語)、人材育成(コーチングを少し)など。


3 他者の役に立っている(きた)こと、これから立ちたいこと

→家族の一員として人生を共に歩む、親友として寄り添い笑い合う、地域のメンバーとして協力する、介護や教育現場で人と関わる、家庭教師、ボランティア、農業で出会った人たち、仕事で関わる人と良い関係を築く、など。


4 価値観や業績が誰かの未来に役立っている(きた)こと、これから伝えられること

→家族、友人、家庭教師で出会った子との関わり、介護や教育現場で出会った人や同僚、職場で出会った人たち、noteでのアウトプット、ライター業で書く記事による地域貢献


自慢の類でもなく、「この程度のことが貢献と言えるのか…?」という疑問もさしはさまず、ひとまず挙げていくのがコツかもしれない。フィルターをなるべく排除して思い当たることに、過去や現在や未来に一貫している価値観が見つかるかもしれない。


ここまで書いてみて、私自身のビッグ・フォーの中でもう少し比重をかけてみたいのが、「4 育成」だということに気づく。1~3に関して言えば、私自身が限界を設定して、「もうこれで充分です」と言えるラインさえ見つかれば、これまでのように時間も労力もかけて追求しなければならない、ということはない気がしてきた。

限界を設定する

ということの重要性についても、前記事で述べた通りだ。制約は、今日のボーダレスな世界において、自分で決定しなければならない。さもなければ、無謀な「努力」を果てしなく続けた結果、いつしかバランスを欠き、費やした時間とエネルギーとトレードオフしたものたちへの代償の大きさを嘆き、自分の選択を後悔することになりかねない…


「これで充分です」と言える生き方


空気を読んでしまうと、家族での時間、子どもと関わる時間、仕事での社会的つながりや経済的不安の解消、リフレッシュや自己研鑽の時間、食事や運動などの生活習慣を健全に保つことなど、今の私にとって「全部大事」と思われる要素を満たそうとすることは、ワガママと思われてしまうかも知れない。

実際私自身、ワーママになって適応障害と診断されるまでは、「育児が増えたといえども、職場では皆平等なのだから、これまで同様働いて迷惑をかけてはならない」と肩肘張っていたし、メディアで取り上げられるようなスーパーウーマン的存在の女性を見て、「私もああならねばならない」と無思慮に張りきっていたのだと思う。

ワーママでフルタイムで働いて、仕事だけではなく家事も育児もバランスを取って…というのは、目指したい理想像ではあるにしても、自分のこれまでの現状や、ライフステージの変化に伴って発生した、具体的な環境の変化を考慮に入れて、棚卸しして、改めて私専用に作り替える必要があったのだ。「これまで(独身時代/妊娠前/出産前など)と同様」というのは、まるで思考停止していたし、そもそも「これまであったはずの限界が取り払われてしまった」のと同様だった。無謀過ぎる…

一見ポジティブに見える環境変化も、生き物にとってはストレスであるに違いないのだから、①自分の価値観を再確認し、②変化と現状を把握、③計画を立て、④4つの要素の調整を行うのが適切な行動と言える。振り返ってみると、結婚、出産、転職という、私にとってはポジティブな側面があった変化の後に、心身の健康を損ねるパターンが出ていたのは、限界が取り払われてしまっていることや、ビッグ・フォーのバランスを欠きつつあることが、気分の高揚に隠されて見えにくくなっていたからかも知れない。

(おそらく「スーパーウーマン」に見える人たちにしても、もともと“正解”があってその通りにしてきたのではなく、何かある度に葛藤したり、その都度調整し、それぞれが大切にしている要素に絶えず目も気も配ってきたからこそ今があるのだと想像する)


話が少し逸れてしまった。

「あれも、これも」望むことが問題だとか不謹慎なのではなく(実際、1つの基準だけでなく、4つの要素が必要なのだ)、限界を設けないまま、極端なバランスになることが問題なのだ。

いっそ、世間的な空気を読まないまま、結論を迎えてみたい(空気を読んでしまえば、この地方のこの街では、まだまだ「自分勝手」だとか「母親なのに」「仕事続かなくて」「ワガママ言って」「気持ちが弱い」などとラベリングされるに違いないから…)。


あれも、これも、大事にしようとして良い。むしろ、人間関係は超重要で忘れることなかれ。これが様々な領域で「成功」を連れてきてくれる。私にとって大切なあれも、これもが定まったら、最適な環境を妥協せず選ぶ。そのうえで、限界を設定する。これは、精神論的にネガティブな言説でも何でもなく、「more(もっと、もっと)」の際限ない欲求を退けるためだ。グローバルな消費社会で、いつでも誰とでもつながれるいまだからこそ、この限界値が、私を絶え間ない選択と後悔から身を守ってくれる砦になる。逆説的だけれど、限界があることで、ビッグ・フォーのバランスが取りやすくなる。(限界は、時間的なものかも知れないし、エネルギーや金銭的な側面を持つかもしれない)  それは、自分の人生を世界に委ねない、「コントロール感」につながる。自分の人生の手綱は自分で握っているという心の安定が、穏やかで楽しくて刺激的な人間関係を保ってくれる。そしてそれが、私の人生の幸福度を長期的に保ってくれるのだ。

「もう、これで充分です」

は、決して敗者の言葉などではない。

穏やかな笑みを湛え、近い将来、私も心から言えるようになるだろうか。

そうなりたいものだ。

探求は、続く。

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