マガジンのカバー画像

旅行記#2

11
日本に帰ってきて、それからの日々。
運営しているクリエイター

記事一覧

1/8Japan 現実

1/8Japan 現実

帰国後気温差に体調を崩していたことや、現実に戻ったことで余計にシンガポールでの一件が辛く大きく自分にのしかかってきていた。鬱屈した気分が続き、仕事始めの日からろくに働くことができていない。

スマホで「死にたい」とか「鬱」とか「強いストレス」というワードでの検索を繰り返していた。おそらく自分が双極性障害や適応障害のような症状になっていることに気がつく。これは本当にやばいかもしれないと思い、近くの精

もっとみる
1/9 別れ

1/9 別れ

彼と別れた。

毎週土曜にやっている一緒に経営している会社の定例は彼と私ともう一名の共同代表でやっている。彼らはもともと学生時代からの友人だ。定例が始まる時間に彼らは来なくて10分程度遅れると言われた。ああ多分私と別れるつもりという話をしているんだろうなと思った。

定例の中に彼がいるという現実がとても辛かった。今すぐ逃げ出したかった。別の話の延長線上で「精神状態が仕事に影響しない女はいいよね」と

もっとみる
1/14 家族

1/14 家族

共同経営の会社のメンバーに、辞めることを伝えた。自分の中で何度も反復して話す練習をし、メモにまとめた内容だったが、やはり辞めることが悲しくて泣きそうになってしまった。

議論は冷静だった。辞めることに関しては私の気持ちを尊重すると言うこと、事業を存続させるかどうかも含めて決めなければならないのと業務の引き継ぎもあるので、今後のスケジュール感の確認などを話した。

話をすればすっきりするかもしれない

もっとみる
1/14 許すこと

1/14 許すこと

大学の時に弟子入りをしていた唯一私が師匠と呼んでいる人がきてくれて、経営者の視点からも会社を辞めることを相談したかったので、ことの顛末を話した上でどう思うかを聞いた。迷うことなく「絶対に辞めた方がいい」と言われた。

ビジネスとプライベートを切り分けるとしても結局人は感情で動く生き物だから、人として信用信頼できない人とはビジネスはできないと言われた。プライベートの中で恋愛関係がたとえ終わったとして

もっとみる
1/26 虚像と自信

1/26 虚像と自信

色々な事柄の整理を自分の中で何度も行った。考えたことを感情を揺らさずに人に話すことができるようになってから、実態のない何かに苦しめられたり、悲しい気持ちになることがなくなった。日常は今まで通りどころか、前よりも少しずつ良くなっている。

彼と付き合っていた時によくうちに遊びにきてくれていた友達から「彼は理想と現実のギャップで揺れていてシンガポールの一件はその八つ当たりを受けたということなんだろうね

もっとみる
1/30 ナポリタン

1/30 ナポリタン

京都に住んでいる時によく通っていた家の近くの喫茶店があった。そこで食べる鉄板ナポリタンが好きで隔週ぐらいで食べに行っていた。

そこには大きな雀卓があり、常連の方々が集ってタバコを吸いながら麻雀を打っていた。娘さんらしき人がいつも忙しなく働き、母親らしき人は常連とカウンター越しに談笑していて、父親らしき人はたまに現れずっと新聞を読んでいた。

学生の客はもっぱら私1人だった。そんな環境も含めてなん

もっとみる
1/30 人の頼り方

1/30 人の頼り方

「あなたがもっと頑張らなきゃいけない」

当時の担任に準備室に呼び出され一時間近く同じことを言われ続けた日のことを今でも鮮明に覚えている。何に悩んでいるのかを問い詰められ、それでも私は一言も何も話すことができなかった。どう言葉にしたらいいかがわからなかったのだ。彼女はわたしの左手首の傷をゴミを見るような目で一瞥した後「気分悪いから見せないで、それ」と吐き捨てた。

「悩んでいることをもっと言って欲

もっとみる
2/4 父

2/4 父

家族のことについて書くのは私にとって気が乗らないことのひとつだ。どこから話すべきなのかも分からないし何を切り取って書くべきなのかも分からない。

別れてから唯一号泣してしまったのは両親と話した時だ。昔会社を倒産させて、数千万の借金を背負った父親から「結婚のお祝い金を用意していた」という話をされて、どんな想いでこのお金を貯めてくれたのかと考えたら胸が張り裂けそうな気持ちになった。

私の父は幼い頃か

もっとみる
2/4 人生

2/4 人生

中学の授業が終われば地下鉄に乗って栄に向かい、NHKのビルの中で稽古や撮影をして、それが終わったらオアシス21のマックで友達と喋っていた。

中学一年生の時に中学生日記というNHKの名古屋支局が制作している番組のオーディションに受かり、気付いたら割と主要メンバーとして色々な回に出演させて貰っていた。主役をしたのは出会い系カフェにハマりそうになる中学生の役だった。実際に出演者にアンケートが取られ、そ

もっとみる
2/8 愛するということ

2/8 愛するということ

別れた直後、今まで見たことがない彼の姿に衝撃を受けて、彼のどこが好きだったのかも思い出せなくなってしまった。別れてしまったことよりもその事実の方が辛くて苦しかった。「この人以上にいい人はいない」そう信じていたのに、いざ崩れてしまうとその想いが何に立脚していたのかが自分でもよくわからなくなってしまった。ずっと混乱していた。

シンガポールから追い出された翌日にこんな言葉をnoteに書いていた。愛する

もっとみる
あとがき

あとがき

一連の物語はここで終わりにします。私の中で彼と過ごした日々を素敵な過去の思い出として捉えられるようになったから。

現実では一緒に運営するシーシャ屋をどうするのかとか、同棲しているマンションは彼の帰国までに出て行かなければならないのでその後どこに住むのかとか、沢山の問題がまだ山積していてひとつひとつの事象に向き合おうとすると憂鬱な気持ちになるけれど、少なくとも彼との恋愛関係は私の中で綺麗に整理がで

もっとみる