只今、読書中。「ダリの告白できない告白」 サルバドル・ダリ (著) 6

※この記事は、私が今、読んでいる本を読んだところまで適当にまとめていきます。

スペインの画家、サルバドール・ダリによる1973年、69歳の時の自伝。
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パリのアート界に颯爽と登場したサルバドール・ダリ……しかし、次のページをめくると、その頃私は童貞だった、と急に語り始める現在のダリ……え? あの「アンダルシアの犬」の頃に? これにはちょっとびっくりしたが、さらに続けて、パリで娼館に行ったが結局女は買わなかった、とか、ナンパしようとしたが勇気が出なかった、とか、道行く女たちをじろじろ見ていた、妄想の中で女を犯した、ホテルでオナニーして泣いた、とか、ひたすらくどくどと語り続けるダリ……何だ? この話?

次第に有名となり、パリの社交界に入っていくダリ。洒落た会話を身に着け、顧客を増やし、批評家に叩かれれば、さらに悪辣な作品を出してスキャンダラスに名前を売る……うまく立ち回ったぜ……と言っている現在のダリだが、当時のダリはパリの地下鉄の中で、騒音と人ごみのため、現在でいうパニック障害の発作を起こしてしまう。

アンドレ・ブルトン率いるいわゆるシュルレアリスム運動からも距離を取っていくダリ……この本はダリの自伝なので、当たり前だが、すべてがダリの視点で語られている。
シュールレアリストたちの議論に対して、退屈、二流、無用、となかなかキツイ言葉が並ぶ。グループのリーダーの座は取ろうと思えば取れたのだがブルトンに譲ってやった。こんな連中は俺にはいらなかった、と語る現在のダリ……なぜなら「シュルレアリスム、それはわたしだったからだ」……おおっ、凄い言葉だ。

刺激的だが、やはり大変な日々でもあったのだろう、徐々に精神のバランスを崩していくダリ。
そこに救いの女神が現れる。詩人、ポール・エリュアールの妻、ガラ。そしてその後、ダリの妻となる。

スペインのカダケスに滞在しているダリの所に、詩人のポール・エリュアールが夫婦で訪れる。ダリは後ろ向きに座ったエリュアールの妻、ガラの背中、その肉体に母性を見る。ガラの方は瞬時にダリの本質、その繊細さを見抜く。事の詳細はこの本では語られないがともかく、エリュアールは妻のガラを残してパリに戻った。

そして、ダリとガラは互いに惹かれあい、結ばれる。ダリにとってはこれが初体験だった。そして二人だけの愛の日々が続いていく……と、一応、起きた事実だけを取り合えずまとめてみたが、実はこの一連の箇所は、我らがダリ先生が、いかに自分たちの恋愛が、「特別」で、「絶対的」で、「崇高」なものであるかを、そしてガラの肉体がいかに「官能的」であるのかを、己の言語能力の全てを注ぎ込んで、神話の神々の名前やら、さらに例えに例えを重ねて、物凄い圧力!で語ってくるので読むのがなかなか大変だ。

やがて、金が無くなってきた。そんな時に懇意にしていた画廊が破産する。そして再びルイス・ブニュエルと共同で書いた映画の脚本「黄金時代」を、ブニュエルが一人で勝手に撮影し始めたことを知るダリ……何だか悪い流れになってきた。

今回はここまで。

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