只今、読書中。「ダリの告白できない告白」 サルバドル・ダリ (著) 8

※この記事は、私が今、読んでいる本を読んだところまで適当にまとめていきます。

スペインの画家、サルバドール・ダリによる1973年、69歳の時の自伝。
これまでの記事はこちら (1)~(6) (7)

歴史の流れは一先ず置いておいて、ここから現在のダリ先生による「妄想錯乱状態」的、そしてダリ的「偏執狂的批評的」芸術論が展開される。
私は夢、白日夢、心象風景などの「非理性的なもの」から、そこに「具象的な形」を与え、作品にすることが出来るのだ。そして、それは決して適当にやっているわけではなく、ダリ流のつまり俺様の比類なき時間、空間的な最も高度な数学的思索による完璧な定義に基づいて作品を作っているのだ。そして、俺の天才は宇宙の魂と結びついているのである、と語るダリ……この後、宇宙は我々の偏執病の投影にすぎない、とか、ガラは全女性の総体である、私の非理性的諸能力が宇宙への扉を開くのだ、とか、延々とダリの哲学語りが続く……正直、読み続けるのがかなりつらい。

死んでしまったロルカとともに、昔、ガウディのサグラダ・ファミリアを訪れた時の思い出。読んでるこちらも少しホロリとしたところで、また、幼年期のうんこの話を持ち出す現在のダリ……何回目だ? またこれなのか……もう、うんこの話は省略して、その後、ダリのうんこへの執着は成長するにつれ、黄金、そして金銭への執着になっていく。

「先生は現金よりもこちらの方がお好きだと聞きまして…」と出版社の男が差し出したトランク。それを開けるとそこには8個の金塊が! ダリの原稿を現金ではなく、金塊で買い取ろうというのだ。「おおっ…」とダリ。しかし、ダリの付き人が言う。「ちゃんと重さを計った方がいいですよ」果たして、金塊は軽いものだった。約束の報酬を金塊にすることで金額をちょろまかそうとしていたのだ。「ばかもの!」と、金塊を出版社の男に投げつけてやった、とダリ……何だ? このエピソード……。

このあと時系列を無視して、ひたすら金(かね)についての語りが止まらなくなる現在のダリ。
海辺の町にやって来たダリ。地元の金持ちから「先生の作品なら喜んで買いますよ」と言われたダリ。よし、と海岸に転がっていた生きたウニを持ち帰り、そのトゲトゲに絵具を塗りたくり、紙の上で転がすダリ。そして出来上がった染みのついた紙を作品と称してその男に20万ドルで売りつけるダリ。
そしてニューヨークでは俺が少しゴネてやったら報酬が2倍になったぜ、とか、ローマで儲けたとか、ついには、俺が金持ちになればなるほど俺の精神は高みに昇るのだ、などとホザくダリ……さっきまで宇宙の秘密がどうのこうのと言ってたくせに、いきなりのこのゲスさ。

今回はここまで。

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