ゆっきー 流浪の小児科医

ゆっきー 流浪の小児科医

記事一覧

医者はいかにして医者になるのか 1

医者はいかにして医者になるのか。禅問答のようだが、よく聞かれる事でもある。 特殊な職業では間違いなくある。人を針で刺したり、メスで切ったりする事は、一般の人がや…

患者さんたちから学んだ日々

仕事を始めるというのは、あまた訪れる人生の困難のうちの一つだと思う。僕は24歳で研修医になった。高校の同級生の多くは仕事にも慣れバリバリとこなし、彼らが新入社員と…

僕は小児科医 救急編

プルルルル・・・PHSが鳴る。だいたい、PHSが鳴っていいことは一度もない。 「●●救急隊ですけど、搬送の依頼です。1歳男児でけいれんです・・・」 はーい、どうぞー。 …

僕が新生児科医だったころのこと3 離島編

僕が新生児科医として働いたのは小児科医としてのスタートの1年間だけだった。新生児科医には「新生児専門医」という標ぼうがあるように小児科の中でも独立した一分野とし…

小児科医としての実力

実は、小児科医にしかできない事というのは決して多くはない。 例えば、循環器の専門の先生は心臓カテーテル検査をできる(もちろん、全員ではないだろうけど)。消化器の専…

僕が新生児科医だったころのこと 2

ドラマのコウノドリなどで取り上げられて一般の方々にも少しずつ認知されるようになってきたが、新生児科医はNICU(新生児集中治療室)で働く。 ICU(集中治療室)というのは…

僕が新生児科医だったころのこと 1

僕が小児科医であることは前回の記事で書かせて頂いた。 小児科と一言で言っても、実はかなり奥が深く中で細分化されている。 心疾患の診療を行う小児循環器、ホルモン関…

僕は小児科医

お仕事は?と聞かれると、必ず僕はこう答える。 「小児科医です。」 返ってくる返事はだいたい同じだ。 「子供が好きなんですね。」 「今、小児科の先生って少ないんで…

医者はいかにして医者になるのか 1

医者はいかにして医者になるのか。禅問答のようだが、よく聞かれる事でもある。

特殊な職業では間違いなくある。人を針で刺したり、メスで切ったりする事は、一般の人がやれば間違いなく傷害罪である。それが、医師免許と、患者の同意があれば許され、感謝さえされるのだ。

立場的なことで言えば、医師免許を得た瞬間がそれにあたる。

医師免許を得た瞬間、医療行為が許され、患者には医者として見られる。

ただ、免許

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患者さんたちから学んだ日々

仕事を始めるというのは、あまた訪れる人生の困難のうちの一つだと思う。僕は24歳で研修医になった。高校の同級生の多くは仕事にも慣れバリバリとこなし、彼らが新入社員として社会にでて困難に直面する中、僕はひたすら机に座り、社会に背を向け国家試験勉強というひたすら内向きな作業を繰り返していた。

訳も分からず焦っていた気がする、何者にもまだなれていない自分に。この勉強の先に必ず未来があると信じて親の仇でも

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僕は小児科医 救急編

プルルルル・・・PHSが鳴る。だいたい、PHSが鳴っていいことは一度もない。

「●●救急隊ですけど、搬送の依頼です。1歳男児でけいれんです・・・」

はーい、どうぞー。

統計を取ったわけではないが、体感としては小児の救急搬送で最も多い原因はけいれんだ。

到着した両親の表情は硬くなっている。

「今朝から熱を出してて、ふと見たらけいれんしてて・・。けいれんは2-3分で止まったんですけど、突然白

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僕が新生児科医だったころのこと3 離島編

僕が新生児科医として働いたのは小児科医としてのスタートの1年間だけだった。新生児科医には「新生児専門医」という標ぼうがあるように小児科の中でも独立した一分野としての地位を気づいている。大きな病院では、小児科と新生児科と、完全に独立している場合もある。しかし、地方などのマンパワーの限られた中で働く場合は小児科医としての仕事と新生児科医としての仕事を簡単に線引きはできない。

私が以前働いていた離島で

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小児科医としての実力

実は、小児科医にしかできない事というのは決して多くはない。

例えば、循環器の専門の先生は心臓カテーテル検査をできる(もちろん、全員ではないだろうけど)。消化器の専門の先生であれば、内視鏡検査は得意中の得意だろう。外科の先生の行う手術は、他科であれば間違いなく行うことはできない伝統芸能だ。

そんな風に考えたときに小児科医にしかできないことというのは、例えば、点滴くらい?点滴も、上手でトレーニング

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僕が新生児科医だったころのこと 2

ドラマのコウノドリなどで取り上げられて一般の方々にも少しずつ認知されるようになってきたが、新生児科医はNICU(新生児集中治療室)で働く。

ICU(集中治療室)というのはよくテレビでも取り上げられるが、それの新生児版と考えてもらうと分かりやすい。

違うのは、患者の大きさが全く違うことと、それぞれがクベースという小さな空間の中に入れられていることである。生まれたばかりの新生児は体温調整がうまくで

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僕が新生児科医だったころのこと 1

僕が小児科医であることは前回の記事で書かせて頂いた。

小児科と一言で言っても、実はかなり奥が深く中で細分化されている。

心疾患の診療を行う小児循環器、ホルモン関連の診療を行う小児内分泌、てんかんなどの神経疾患を扱う小児神経、ネフローゼ症候群や腎不全などを診療する小児腎疾患科・・・、などなど本当に数えきれないくらい細分化されている。

各地方にあるようなこども病院なんかは、いわゆる小児の総合病院

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僕は小児科医

お仕事は?と聞かれると、必ず僕はこう答える。

「小児科医です。」

返ってくる返事はだいたい同じだ。

「子供が好きなんですね。」

「今、小児科の先生って少ないんですよね。偉いですね。」

うーん、こども・・、好きでもないし嫌いでもない。

小児科医って少ないのか・・・でも、小児科学会なんてかなり医者が集まるし、そもそも他との比較ができないからよく分からない・・・。

まあ、でもだいたいこんな

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