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ロブ・ハルフォード: ヘヴィ・メタルは人生になるんだ

僕はこれまで、人生をかけてヘヴィ・メタルの包容力について語り続けてきた。

人生をかけてヘヴィ・メタルの包容力について語り続ける人というのはあまり他に類を見ないし、なかなかに怪しいし、自分の上司だったら即退職するだろうけど、とても大事なことなので語らざるを得ないのだ。

では、ヘヴィ・メタルの包容力ってなんだろう?僕はね、基本的にヘヴィ・メタルの世界では "ありのままの自分" でいられることだと思う。

生まれた国、性別、宗教、言語、抑圧、喪失、悲しみ、苦しい現実…そうした "鎖" から解き放たれて、ただ "メタルが好き" な自分でいられる場所。

もちろん、今だにジャンルの "門番" のような人もいるけれど、ここにいる多くの人たちはメタルを愛する同胞にとても優しく、そして寛容だ。なぜなら、ヘヴィ・メタルには "卒業" がないからね。一度ここに入ったら、メタルは "人生" になる。それを知っているから優しい。これは様々な音楽ジャンルの中でも、特別なことだよ。

僕はそもそも、大事なことってそんなに多くはないと思っていて。ただ、大事なことは繰り返して何度も何度も伝えていかないと、すぐに虚空に消えてしまう。

モダン・メタル=多様性。メタルの生命力、感染力、包容力。ファンタジックで寛容なメタルの回復力と現実からの逃避場所。そして "リディキュラス" なメタルの全能感。

だからこそこんなふうに、メタルの中にある長所を言語化していくのも僕の使命だと感じているんだよね。

そんなことを思っていた矢先、文字通りメタル世界の歴史であり象徴であるロブ・ハルフォードがインタビューでこんなことを話してくれたんだ。

「ライブでファンとつながるのはいつだって大事なことだ。というのも、JUDAS PRIESTは最も古いメタル・バンドの一つだからね。だから、好きなバンド、JUDAS PRIEST を観に来るのは、ひとつのイベントなんだ。
何度も言っていることだけど、私たちはファンなしでは何もできないんだ。どんなバンドでも、ファンなしには何もないという事実を忘れてはならない。PRIESTは50年以上もの間、そのつながりを作り続けてきたんだ。

そして完全な包容力というのは、私たちメタル・コミュニティの中でも大好きなところだ。どんなバンドにハマろうが、どんな外見だろうが、誰を愛していようが、何だろうが、どれだけお金を持っていようが、そんなことは関係ない。ここでは皆がメタルを愛しているのだから。

その重要性は、音楽よりもずっと先まで及んでいる。もし君がメタル・ヘッズなら、メタル・ファンなら、より良い精神状態になるためのすべての特性を持っている。人生のあらゆる場面において、アーティキュレーションがより強く働くようになる。メタルは、私たちが人間であるための、とてもとてもパワフルな要素なんだ。

私がメタル・マニアを愛していると言うとき、それは本当に心から純粋に言っているんだ。なぜなら...... "ファミリー" という言葉を使うのは大げさだけど、それこそが私たちが作り出しているもので、ヘヴィ・メタル・コミュニティというファミリーを作り出しているんだ。バンドに関係なく、ファンひとりひとりと特別な関係があるんだよ。

何千人もの群衆を眺めるとき、私は君たち一人一人を見ている。なぜなら、君たちがこのバンドの音楽を自分の人生に取り込んでいることを知っているからだ。多くの PRIEST ファンにとって、自分の人生の物語は音楽と共にある。

うまく言えないけど、私が何を言いたいかわかる?このバンドと長く一緒にいて、私たちが "Breaking The Law" を演奏したら、突然80年代に戻り、"Painkiller" を演奏したら、突然90年代に戻る。こんなタイムマシンのような感動が共にあるんだ。そしてまた、そのことを私は忘れてはいない。だから、ファンを大切にし、ファンを見守るという責任は、どんなバンドに所属していても、本当に重要なことなんだよ」

一番の大御所がこんな話をしてくれるメタル世界。素晴らしいよね…ロブの話の中にもうすべてが詰まっていると思うよ。そう、ヘヴィ・メタルは人生。だからこそ、人に優しくなれる、寛容になれる、すべてを包容できる。今日はここだけ覚えて帰ってください。



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