マガジンのカバー画像

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説

39
フリムンという言葉は沖縄の方言で、バカ・愚か者という意味で使われる。この物語は、日本最南端の石垣島に生まれ、後に全日本空手道選手権大会を制する田福雄市氏の空手人生、そしてフリムン…
運営しているクリエイター

#エッセイ

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第5話 上京編(3)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第5話 上京編(3)

東京ラブストーリーそれから数ヶ月後、そろそろ労災が切れるとの事でフリムンは東京に引き返す事にした。

もちろん、時間差で彼女も後を追い掛ける約束をしてくれた。

帰省時と違い、東京に戻る時のフリムンはまるで別人だった。

これから始まる「東京ラブストーリー」を想像しながら機上の人となったフリムン。

東京に着くまで、ずっとニタジー(ニヤケ顔)が止まらなくなっていた(笑)

それから更に数ヶ月後、彼

もっとみる
【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第6話 帰省編(1)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第6話 帰省編(1)

巧の技

はじまりnoはじまり今から32年前の1991年。2m100kgクラスの超大型外国人選手も出場する4年に一度の「極真世界大会」で、僅か165cm70kgの日本人選手が見事頂点に立った。

フリムン(当時25歳)が石垣島に帰省して直ぐの事である。東京に住む友人からその報せを受けたフリムンは、体を震わせながらこう呟いた。

「俺はいったい何やってんだ…」

主治医から「過度な運動は一生禁止」

もっとみる
【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(1)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(1)

【死ぬこと以外はかすり傷】傍から見れば、順風満帆に思える空手ライフであったが、入門から僅か1年で引退に追い込まれるなど、先行き不安しか感じていなかったフリムン。

28歳になったばかりの若者に突き付けられた、余りにも酷なこの現実。

既にモチベーションを保つので精一杯だったが、安息の地へ逃亡するという選択肢はフリムンにはなかった。

「ここで逃げたら死ぬまで後悔する」

これまでも、そしてその先も

もっとみる