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生活の中の小説

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日々、心を通り過ぎていく一瞬の風景を切り取って、小説にしていきます。小さな物語を日々楽しんでいっていただければと思います。
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#短編

小説 時計技師

 円城は、いつも時計を直していた。来る日も来る日も。その店には、毎日多くの客がやってきて、壊れた時計を円城に預けていった。よくもまあ、これほどまでに時計が壊れるものだ。

 俺は自分の時計を壊したことなんて一度もない。いや、壊れるほどに物事に執着したことはないのかもしれない。

 電気を時計に応用したのはイタリア人のツァンボニだという。それが定かではないが、以来様々な技術発展が時計を支えてきた。

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小説 渦

 巻き込まれた。その渦に。
 不意に襲ってきた、その激情。恋なんて、捨てたのだ。
 燃えるゴミに紛らせて。なのに。

 蟻地獄だよ。底であなたが待っている。泡沫、春の夜の夢。
 体も麻痺しちゃってさ。
 私を特区にして、他人を介さないでほしい。
 
 夜のポエマーかよ。指先で、温もりを探る。
 海の底で、息もできないまま、口づけを交わした。
 
 乾いた唇を、言い訳で濡らす。吸い込まれてはいけない

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