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好きな島をバーチャル旅してみました。 小笠原諸島、青ヶ島編

 イギリスはここでまさかのロックダウン再びという事で、ロンドンはクリスマス前のあの活気ある生活に戻りつつあったのに、初春の巣篭もり生活にデジャブーしております。初春の爽やかな始まりを匂わせる雰囲気とは違い、木々は紅葉し地に落ちて一段と寂しさが増しています。
 やたらとエンタメ性の高かったアメリカ大統領選が終わった今、私の心は伽藍としてしまった。そして直ぐにもやもやとしたフラストレーションでいっぱいになったのでありました。
 これは旅に出なければいけない。そこで日本の南に広がる太平洋という神秘の海に浮かぶ島々に旅立つことにしました。グーグルマップで衛星写真ビューに切り替えると海が透けて見える事に気が付いたのは、さあどのくらい前でしょうか。太平洋プレートの端っこがフィリピンプレートにぶつかるところが深くのめり込み、海溝を作っています。その刺激で火山が爆発してできた島々や環礁は相模湾沖の大島から三宅島、八丈島、青ヶ島、鳥島、硫黄島に続き、進み過ぎると地球で最も深いマリアナ海溝へと転落します。並行して連なる南太平洋のマリアナ諸島は南国の楽園、グアムへと続いています。ため息がでるような完璧な環礁をよく眺めておったのですが、この度日本近郊に発見してしまった。
 東京都青ヶ島村は東京駅から乗り継ぎ乗り継ぎで新幹線だと2時間弱くらいかかるのかしら(!?)直線距離で400kmほど南に位置しておる、日本で一番人口の少ない島だそうな。人口170人ほどだったと思います。(北方領土をのぞいて)分かりやすいようにグーグルアースさまとの協力で、勝手ににビデヲを作成させていただきました。

 これを見ると「ああ、地球は丸いんだ」と思います。どっかのカルト集団Qア◯ン等が信じている「地球は平面だ」がまるで嘘のようですね。ちなみに私の周りにも「トランプ大統領は子供を儀式で捧げる悪のエリート軍団(しかも宇宙人)の横暴を成敗している」というQア◯ンの思想を信じている人がいるので、世界は一体どこに向かっているのだろうかと、なおさら美しい南の島に憧れるのでした。

 初めて見るこの地形はダブルカルデラというらしく、火山の噴火でできたカルデラの中にもうひとつ小さな火山が爆発したのですね。この小さいカルデラは1785年の天明の大噴火で形成された標高223mの内輪山らしく、この時島民の327人のうち八丈島への避難が間に合わなかった130人余りが死亡したらしい。八丈島まで60km。避難活動は子供や女子が優先されたのかもしれませぬね。この噴火は1ヶ月ほど続いたようで、以降40年間無人島となったようです。
 切立った崖の壁がぐるりと一周してあり、50mから200mあるそうで、非常に上陸が困難だろうと思うのですが、逞しい先人ってどこにでも入植できてしまうんですね。カルデラの中に集落を構えるロジックはよく分かる。壁に守られて絶大な安心感があったに違いない。21世紀の青ヶ島はインターネットもあるし、ヘリポートや港もある。トンネルもあるので切り立った崖を超える必要もない。何より日本なので言葉の壁もない。何と行きやすい孤島だろうか!!

 

日程
11月29日 約12万円
空路:ロンドンヒースロー空港 19:00発 ー 羽田空港 15:50+1着(30日)
移動時間: 11時間 50分

12月1日 約3万円
空路:羽田空港 7:30 発 ー 八丈島空港 8:25 着
移動時間: 55分
タクシー:八丈島空港 8:35発 ー 八丈島、底土港8:45着 1000円弱
航路:八丈島、底土港 9:30発 ー 青ヶ島、三宝港12:30着 
2520円
移動時間:3時間余

何と、ロンドンから1日半で着いちゃった!我ながらいい日程組めた。このルートがわりと最短かもしれない、最安値は東京から船で八丈島まで行くと気持ち安いくらいかしら。航路は運行していない日があるので、そのあたりも注意することと、八丈島からヘリで渡るという空路もあるが、運行激レアです。途中の伊豆諸島の島々を巡りながらゆっくり青ヶ島を目指してもいい!楽しいなぁ。

 さあ青ヶ島の三宝港に着いたので、まずは内輪山の丸山の肩にあるふれあいサウナを目指して歩きます。青宝トンネルを抜けるとカルデラの器の中に到着。前方には丸山が見える。これから傾斜しながら130mまで登って行くので40分弱だけれども結構いい運動になるね。トンネルを出て、右に回るルートで行くことにしました。途中大杉をすぎて、いよいよ山らしくなってきました。ひんぎゃと呼ばれる地熱から発生する水蒸気が山肌からゆらゆらとのぼっています。地球の壮大さを感じさせるー。途中フライングしておにぎりと魚肉ソーセージを船内で頂いたので、お待ちかねのランチタイムは遅めで1時間後の予定です。ふれあいサウナは地元の人も使う地熱を使ったサウナですが、このへりに釜があり、地熱を使って食材を蒸してもらえるということで、遊歩道の散歩の前に、この季節芳しのさつまいもと卵をセッティングー。30分ほどでいい具合に蒸しあがるそうな。

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 お散歩はぐるっと丸山を一周するコースなのですが、丸山は小さなカルデラですから、中心部分は断崖絶壁の壁に隔たれておる。神々が宿る神聖な土地なのですね。「神々の遊び」というモンスターエンジンのコントを思い出しました。「私だ」「お前か」「また騙されたな」「全く気付かなかったぞ」 「暇を持て余した」 「神々の」 「遊び」 とかゆうやりとりがあの窪みで繰り広げられているんですね。とか思っていたらもう一周してしまった。釜のホクホクさつまいもと、温泉卵になっているであろう卵君を取り出して、近くのキャンプ場のピクニックベンチを拝借。本土から持ってきたのはロンドンでは頂けないきんぴらごぼうとほうれん草の胡麻和え、大根サラダなどを広げました。ヴィーガンの相方の為、お魚も控えた今回の献立です。卵がまあまあ食べにくかったですが、いい陽気でピクニックサイコーでございました。

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満腹になると旅の疲れもドットコム、名物の地熱のお風呂をいただくことにしました。地熱サウナとお風呂が300円で楽しめます。無人の場合もあるので、その時はお代は正直に灰皿の中へ置いていきます。サウナの温度は熱すぎずいい感じでしたが湯の温度は多少熱めでした。相方は普段風呂に浸からないので熱すぎたのではないかしら。ちなみに地熱を使っているので、温度がまちまちらしく、50度を超える日もあるようです。
 さて今夜のお宿である市街地の民宿へキャブりつきましょう。島北部の高台に青ヶ島の市街地があります。小中学校や郵便局、役場などもあり極小米つぶタウンの初ステイに胸踊ります。この街の人たちの名前を覚えようと思えば皆覚えられるほどの人口ですから、シノラーこと篠原ともえさんの母方の故郷だそうで、おばあちゃんにも会おうと思えば会えそうですね。おばあちゃんは焼酎を作られておるようです。相方は無アルコール、私もあまりやらないので、芋焼酎は家の土産にでもしようか、でも父さん飲まないし、母さんと私くらいかぁ…そんなことをタクシーの中でつらつらと考えておりました。
 民宿にはご無理を言って、お肉やお魚を使わない精進料理をリクエストしました。私はこのあたりの名物の島寿司をいただかなければいけません。島寿司は魚の切り身を醤油に付けたものを寿司ネタに、酢飯は甘めで、わさびの代わりにからしを使っているらしい。お魚は新鮮なものが取れるでしょうからここだけは目をつむっていただきたい!ありがたくお命ちょうだいいたします。
 田舎の素晴らしさと言えば自然の美しさです。都市では夜空も灯によって汚されておる。せっかく晴れているのに星を見ようと思っても眩しくて見れるもんじゃない。満点の星を見るのはモロッコでサハラ砂漠の旅の途中に泊まった山小屋以来かしら。今夜は晴れ。今の季節はそうね、ペガススとアンドロメダの秋の四辺形がまだ見える。オリオン座に伸びるエリダヌスもしっかり見えるじゃない。こいぬ座とギリギリ私の獅子座も見えるかしら。天体にかざすと星座を教えてくれるアプリがついに役に立つ日が来ようとは。ロンドンの小さなバルコニーから家の隙間に見える小さな夜空を無理やり写し込んでは、星を想像した日々。神々の遊びに混ぜてくれ、ペルセウス殿。

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 明日は鳥好きの相方とバードウォッチングへ出かける予定です。お目当ては固有種のアカコッコとイイジマムシクイです。静かな道路の無い島南東部をゆっくり散策してみたいと思います。崖っぺりに大千代神社という数個の石と紙垂だけが祀られたところがあります。ブラックアウトしそうなほどの断崖絶壁ですが、そちらにお参りをして今回のご縁を感謝して帰宅したく思います。

2020年12月1日

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