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#短編小説
つらくないわけないだろう
久しぶりに実家に寄ったら、母親の愚痴を散々聞かされた。どれだけ今まで苦労をしたか、どれだけ報われない人生を送って来たのか。
父親は他の女性と一緒に暮らしている。妹も弟も実家には寄り付かない。仕方がないから、私は母親の愚痴を、とりあえず頷きながら聞く役をやっている。
母親はあたしの無表情のリアクションの悪さに、大きなため息をついた。
「あんたみたいな冷たい娘、産まなきゃ良かった」
挙句
こんなとき、どうする?
「ねえ、みんなに聞きたいことがあるんだけど」
と切り出されたのは、会社帰りのショットバーだった。ビール1杯でも気軽に寄れるこの店。いつも1人で通ううちに顔見知りになって、言葉を交わすようになったメンバーがそこにはいた。
私を含め女性3人、男性1人。話を切り出したのは、そのうちの1人の女性だった。
「夜、道を歩いていたら、すれ違ったおじさんに声をかけられたの。田舎から出てきて仕事を探して1日中歩
common sense?(そんなのジョーシキ)
エリートで完全主義者の元彼は私のやることなすことに文句を言った。元彼に振られた後、私はしばらくの間、すっかり自信を失っていた。
自分の感覚がおかしいから好かれなかったのだと。
でも何がどうおかしくて、何を直したらいいのかもわからず途方に暮れていた時に知り合ったのが今の彼だ。
彼はオレ流の美学を持っているようで、それが私には魅力的に感じられた。この人の感覚にならついていけるかもしれない。