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つらくないわけないだろう
久しぶりに実家に寄ったら、母親の愚痴を散々聞かされた。どれだけ今まで苦労をしたか、どれだけ報われない人生を送って来たのか。
父親は他の女性と一緒に暮らしている。妹も弟も実家には寄り付かない。仕方がないから、私は母親の愚痴を、とりあえず頷きながら聞く役をやっている。
母親はあたしの無表情のリアクションの悪さに、大きなため息をついた。
「あんたみたいな冷たい娘、産まなきゃ良かった」
挙句
こんなとき、どうする?
「ねえ、みんなに聞きたいことがあるんだけど」
と切り出されたのは、会社帰りのショットバーだった。ビール1杯でも気軽に寄れるこの店。いつも1人で通ううちに顔見知りになって、言葉を交わすようになったメンバーがそこにはいた。
私を含め女性3人、男性1人。話を切り出したのは、そのうちの1人の女性だった。
「夜、道を歩いていたら、すれ違ったおじさんに声をかけられたの。田舎から出てきて仕事を探して1日中歩