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心のケアとカウンセリングで本当に必要とされるシステムと環境は?

日本では、海外に比べてカウンセリング制度がまだまだ整っていません。加えて、カウンセリングへの理解についても、ともに発展途上にいます。

日本人は「思いやり」「気遣い」「おもてなし」の精神が強いと言われていますが、心の状態については、日本人の多くはどこか無頓着のように感じるし、とにもかくにも精神疾患についての理解に乏しい環境だなぁ、と私は思っています。

2017年9月に日本初の心理職における国家資格「公認心理師」が誕生しました。

今回制定された国家資格が、今後のカウンセリング制度普及の一助となり、カウンセリングを受けることが日常生活の一部と認識されるようになってほしいです。

心理カウンセラーに必要とされる資格

心理カウンセラーの国家資格は現在、上記の「公認心理師」の資格のみ。その他の資格は全て民間資格であり、「臨床心理士」も実は民間資格です。心理カウンセラーという業務に従事するのに必要となる資格は、民間資格がほぼ大半を占めています。

また、国家資格である「精神保健福祉士」の資格があれば、医療機関等でも外来相談を行うことは可能であり、精神科や心のクリニックはもちろん、企業でも心の相談業務に関わることが出来ますが、「精神保健福祉士」は日常の支援をすることと、一般的には定義付けられています。

一方、心理カウンセラーの一般的定義は、個々と深く接していき、心の問題を解決していくこととなっています。 

近年の日本のカウンセリング事情

自己啓発やスピリチュアルを融合したカウンセリングが出てきている他、心理学や脳科学等の知識、独自のカウンセリング技法とも言えるワークのノウハウが書かれた書籍が多く出版され、カウンセリングだけでなく、著名人によるセミナーや講座が開催されています。

様々な分野から知識を得て、独自の心理学を構築し、それぞれの手法で情報発信をしている人も多く、SNSや動画配信等のオンラインシステム技術が発展している昨今では、心理学の知識人に自身の心のうちを発信できるコミュニティも存在します。

ここ数ヶ月のコロナの影響で、「おうちに居ながらできること」が求められる今の状況下では、
カウンセリングを含め、さらに一層、オンラインでの需要が増えていくのではないかと思います。

心のケアやカウンセリングはビジネス化してるの?!

とある話になりますが、

不安に感じていること、悩んでいること、愚痴でも、ひとりで溜め込まずに、誰かと共有しましょう

という趣旨のコミュニティがありました。

作成者のみ、コミュニティに参加している人からの発信を確認でき、作成者の発信はコミュニティに参加している人全員が確認できます。

「ひとりで抱え込んでいる方が少しでも心がラクになるように」という願いを込めて、コミュニティが作られたのだろうと、コミュニティ発足の経緯を私は勝手に想像しましたが、

ある日、その想像からは考えがたい「発信の注意点」が作成者から発信されていたのです。

「絶対に返信ください」という発信はやめてください。発信された情報は読んでいるし、あなたのお気持ちに共感もします。たまに返信もすることもあるかもしれませんが、必ず返信できるわけではありません。
私は奉仕の人ではありません。相談が必要なら有料での個別相談のお申込をお願いします。
また、作成者もひとりの人間であることをわきまえて発信をお願いします。
(原文のままではありませんが、内容は変えていません)

作成者が、どのような情報発信を受け取っていたのか、なにがあったのか、どのような意図でこの発信をしたのか、詳細は分かり兼ねますが、

私がこの発信で感じたことは、「人の心よりお金が優先」ということ。
(上述は私が感じたことであり、作成者を否定するものではありません。ただ私が率直に感じたことを述べています)

余談ですが、カウンセラー類の仕事をされている人が、このような対応を行なっている事象を他でも何件か見てきました。

もし、カウンセリングのみで、生計を立てているのであれば、生計を立てるという目線では、このような対応になってしまうことも仕方のないことなのかな…と、泣く泣く納得します。

しかし、「人の心」を扱っているという目線では、このような対応について、私は理解しがたいです。

今回、たった数行の情報発信で、私は「これ以上近づきたくない」と思い、このコミュニティに参加するのをすぐにやめました。

私はコミュニティをたまにのぞいて、作成者の発信を見る程度でしたが、
コミュニティを拠り所としていた人、捌け口がこのコミュニティしかなかった人、追い込まれて本当に助けを求めていた人…苦境に立ち、必死にもがいているなかで、不安な胸の内を吐露する人もいたと思います。

心の不調で困っている人が求める心のケアとカウンセリングとは

本当に苦しい時に、受け止めてくれるはずと思っていた人から、受け止めてもらえなかったり、拒絶されてしまったりすることは、このうえなく悲しいことで、とても言葉では言い表せないほどの気持ちになります。

本当に追い込まれて、どうしようもなく不安になっているなかで、さらに強い不安感に襲われたら、

誰かに救ってほしい!助けて!

という思いが心理的に強まることは、心理学を学んでいる人なら、十分承知のことであるかと思います。

苦しいときは、誰かに寄り添ってもらいながら、優しく気持ちを受け止めてほしいのです。

だからこそ、「気持ちを吐き出す場」を作ること、「ひとりで抱え込まずに誰かと共有しよう」と発信することには、大きな責任と使命感が伴っていると、私は考えています。

例えば、追い込まれた気持ちの人を救う体制がままならならず、加えて、あまりにも多くの人に助けを求められてしまうと作成者の精神的キャパを超えてしまうような、土台が不安定な状況下で作られたコミュニティがあるとするならば、

結局、そのコミュニティは、作成者も参加者も「共倒れ」となり得るでしょう。

最悪の場合は、コミュニティでの出来事で、さらに傷つき追い込まれ「裏切られた」と強く感じる人も多く出てしまう可能性も考えられます。

もちろん、参加者だけでなく作成者も心を痛めてしまう出来事も一緒に起きてしまうかもしれません。

相談者が安心して伝えられる環境と、相談者の苦しい気持ちを受け止められる受け皿がしっかりと備わっているところに「気持ちを吐き出す場」が構築されてほしいです。

身体あっての心、心あっての身体

心の状態は、十人十色。

風邪をひいた心は、発症の起因も異なれば、風邪が引き起こす症状ももちろん異なります。そのため、心の風邪をこじらせてしまうと、生い立ちやこれまで経験してきたこと、記憶のあるなし関係なしに、これまで秘めてきた心の傷がうずき、まるで芋ずる方式のように、心は乱れては、心はどんどん元気をなくしてしまうのです。

心が弱ると、これまで気にしなかったようなことで傷つき気分が落ち込みやすくなります。

不安が不安を呼び、急にとてつもない不安に襲われることもあります。不安から気持ちが駆り立てられやすくなるため、真面目で几帳面な要素が強いタイプの人は、無意識に頑張ろうと自分で自分を追い込みやすくなりがちです。

心が疲弊すればするほど、心は休むことを求めます。心は顕在意識に「お願い!休ませて」訴えかけているのに、実際は休むどころか、「自分は大丈夫」と言い聞かせては、さらに働き続けるような真逆の行動をとってしまう傾向が強くなりやすいとも言われています。

また、これまで秘めてきた心の傷が「トラウマ」となっている場合は特に、ふとした瞬間に「トラウマ」がよみがえる要因が引き出されやすくなります。

どの場所にいようと、早朝であろうと真夜中であろうと、場所や時間は関係ありません。不安は急にやってきます。

とにかく、気分が落ち込んだり、不安でたまらなくなりひとりではどうしようもなく、いてもたってもいられなくなるような症状は、24時間365日どのタイミングであっても起こりうるのです

今の私にできることから始めよう!

心の不調を安心して伝えることができて、回復に向けて、相談者とカウンセラーが二人三脚で歩んでいくことには、どのようなシステムと環境が求められ必要とされるのか。

まずは、ここから。

今ある知識からではありますが、少しずつ考えていければと思います。

そして、微力ながら少しずつ少しずつ模索し、日本のカウンセリング制度の充実に何かしらの形で貢献できたらなと考えています。



自身の経験を踏まえて、心が軽やかになる言葉や文章を発信できたらと思います。 ホッとひと息つける、憩いのページとなりますように😊 ほんの少しであっても、皆様の温かいお気持ちは大きな励みになります。