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選択の余地が残されているうちに~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.447 2023.1.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第50弾です。

そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「新春スペシャル企画 南極と人類の未来」です。


「南極大陸とグリーンランド(中略)の2つを合わせると地球上にある氷河の99%を占めるほど。そして、どちらも餅のように大陸を完全に覆っているので、河というよりは床に近い。そのため、この2つだけ特別扱いして氷床と呼んでいるんです」

p.9

かつ、「グリーンランド氷床が地球上の氷河の約10%を占めるのに対し、南極氷床は90%近くを占める巨大さ」だそうです。当然、地球最大の氷の塊で、すべて融ければ海水準60m上昇だとか。

まぁそれはありえないとしても、このままだと「21世紀末までに海水準が2m近く上昇する可能性も否定できない」という予測が出ており、「2300年には10mを超える可能性も指摘されて」います。
更に地球全体を海水が巡る海洋大循環を停滞させる可能性もあり……。
今ならまだ「人類に選択の余地が残されている」との杉山慎さんの言葉を真剣に受け止め、自分に出来ることから行動していく必要があると思いました。


他に印象に残った言葉。

近代以降ずっと人間の基本単位となってきた「個人」という概念で現代社会を描こうとすると、どうしてもうまくいかず、「分人」という新たな概念を提唱しました。「会社にいる時の自分は嫌いだけど、大学時代の友達といる時の自分は好き」と、場所や人ごとに変化している自分をとらえれば、自己肯定と自己否定感情をうまく整理できるはずだと考えたんです。

平野啓一郎(p.3)


「分人」って、どこかで聞いたなぁと思ったら、すでに以前の「ビッグイシュー日本版」で平野啓一郎さんが紹介されていました。


持続可能で包摂的な未来を創るためには、みんなが一緒になって未来の姿を想像し、そこに向かってともに行動をおこさなければなりません。(中略)食に向き合う姿勢は、私たちの価値観や文化を反映するものです。

マッシモ・ボットゥーラ(p.13)

マッシモさんは、フードロス削減と貧困問題に同時に挑むコミュニティ食堂であるレフェットリオを世界各地で運営する、イタリアの高級店のオーナーシェフです。


最近、ようやく一般の報道でもPFASの問題が取り上げられるようになってきましたが、PFASの一種PFOAの汚染地である摂津市の森山一正市長の言葉がひどすぎます。

摂津市は、住民への補償のチャンスを棒に振った。森山一正市長は、協定に基づいたダイキンへの申し入れはしないと断言した。理由は「現在も将来も健康被害がないから」。(中略)「事業所だって困る。こんなんいつまでもやってたら」

p.19~20

この問題をすでに取り上げていた「ビッグイシュー日本版」の素早さに、敬意を表します。


百姓というのは、(中略)いつの頃からか農業だけでなく農閑期には手工芸もやれば、お酒もつくるなど、なんでも自分でやってしまう農民の姿を表す言葉として定着してきた。その姿は現代も同じで、自然を見つめる賢人であり、クリエーターでもあり、あらゆる機械や道具を使いこなすエンジニアでもある

p.23

柴田監督は、自らの発見や技術を惜しげもなく公開して周囲に伝える農家の知の在り方には学ぶべきところが多いと話す。
「彼らは、よい技術を公開すれば、また別の技術が自分のところに返ってくるから、そっちの方がプラスになるという考え方なんですね。(中略)知的財産を守れと特許で知を独占して囲い込むようなことでは、貧富の差が広がるだけで、豊かな世の中にはならないんじゃないかと思うんです」

柴田昌平(p.23)

この言葉には頷かされると同時に、そんな農家の惜しげのなさが利用されてしまうケースもあることが、残念です。
ともあれ柴田監督の映画「百姓の百の声」、機会があれば観てみたいです。


今号も、とても学ぶべきことが多かったです。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒に貼られていたシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった方、いつもありがとうございます!



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