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分人主義の勧め~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.409 2021.6.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第12弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、斎藤環さんをゲスト編集長に迎えての「ひきこもりアップデート」です。


まず衝撃的だったのは、ひきこもりになるのは基本的に若者で、うまくいかないと、そのまま中年・老年になっていくと思っていたのですが、そうではないということ。引きこもりになった人の7割以上が、30歳以上で初めてひきこもりになっているのです。40代で初めてひきこもりになる人が21.3%いるので、私自身だってもしかしたら、ひきこもりになるかもしれないわけです。


印象に残ったのは、斎藤さんの以下の言葉。

「全体の2割は働かないとされる”働きアリの法則”のように、2割くらいの人がひきこもっていても、別にいいじゃないと思える社会になるといいですよね。疲れたらひきこもって、元気になったら、また社会参加する。ひきこもりを”ひと休み”とか”休養”と言い換えてもいいですし。そういうことがカジュアルにできる社会が理想です」

問題は、ひきこもりの後元気になって社会参加する際の、ハードルが高いことですよね。例えば会社員が1年くらい引きこもった後、元の職場に何事もなく復帰し、疲れたらまた1年くらい引きこもる、というのは事実上不可能でしょう。でも、それが可能なような社会に出来れば、と斎藤さんは言いたいのだと思いますが。


あと初めて知ったのが、分人主義という言葉。作家の平野啓一郎さんが勧めている概念だそうで、記事の中では以下のように説明されていました。

自分のすべてを愛することは難しくても、「猫と接している自分が好き」とか「マンガを読んでいると落ち着く」とか、拒否せずに済む心地よい自分があれば、その領域を広げていく。

他者を一面だけで判断してはいけないように、自分のことも、一面だけで捉えてはいけないということでしょうか。


ある意味、分人主義の概念に通じるのが、「鷹とともに若者を支援『ロドニーズ・ラプターズ』」の中の、黒人鷹匠ロドニー・ストッツを評した以下の言葉。

「彼のエピソードからわかるのは、社会には豊かな能力の持ち主がいるのに誰もそれに気づいていないということです。機会さえつくれば、すばらしい働きをしてくれる人たちが地域には大勢いるのです」

ストッツは薬物に依存し、密売人をしていましたが、ひょんなきっかけから鷹匠としての能力を開花させます。もし彼が猛禽類と出会わなかったら、今頃彼は犯罪者として服役していたか、ひょっとしたら何かのトラブルに巻き込まれて死んでいたかもしれません。薬物依存者でも密売人でもない、彼の潜在的な鷹匠としての才能を目覚めさせてくれる人がいたから、今の彼がいるのでしょう。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。ただし次の7月1日号が出るまでは、この号は街角の販売者さんからお買い求めください。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間の定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。



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