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ダンゴムシ
2021年9月22日 22:07
野球はやめた。何年前だ?かれこれ10年近く前になるな。それでも夜の8時になると、自然とバットを持って近くの公園にでかける。なにかの力に引き寄せられるように、無意味だと知っていながら私はバットを振りに行く。立つべきバッターボックスも、対戦するピッチャーもいないのに、その前段階の準備作業を何度も何度も繰り返す。バットを振る。体重移動を確認する。腰の動きを繰り返して、体全体を連動させ
2021年9月20日 20:55
「あなたは私の構成物質」突然、彼女のフウコが語りかけてきた。「こうせいぶっしつ?あの、細菌の繁殖を抑えたりできる万能薬のこと?」「細菌?あ、それは抗生物質ね。同音異義よ。私が言ってるのは、構成物質!あなたが私を構成している一部だってこと」「僕がフウコの構成物質?それはそれで、どういうことなのさ?」僕は少し嫌な予感がした。フウコがこういった突拍子のないことを言い出すときは、決まって何
2021年9月14日 22:00
「カンヅメ」その一言がとてもふさわしい。朝起きて夜寝るまで、自宅の一室でほとんどすべてが完結している。午前は論文作成、午後も論文作成、夕食後も論文作成。そんな日々に、Bは満足しつつも、退屈していた。研究の繰り返しの繰り返し。たとえ好きなことであっても、習慣化されていくと「自分の意志とは違うところ」で日々の行動が行わていくように感じられる。人はいう、「好きなことでも仕事にしたとた
2021年9月15日 22:31
「当然のことだが、わたしを削っていくと、段々とすり減りへっていくのだよ」そうかつおぶしが言った。「芳しい香りと共に、わたしはだんだんと細くなっていくんだ」「かつおぶしさん、どうかしたんですか?」彼の隣に座っていた猫が尋ねた。「なんだか、声が弱気になっているようだけど?」「猫のあんたも、わたしみたいに細くなっていけばわかるさね。わたしみたいに寿命を可視化できるようになったら、猫でも犬