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押見修造『惡の華』|絶対に忘れられない漫画が、そこにはある

ボードレールを愛する、文学少年・春日高男(かすが・たかお)。ある日、彼は、放課後の教室に落ちていた大好きな佐伯奈々子(さえき・ななこ)の体操着を、思わず盗ってしまう。それを、嫌われ者の少女・仲村佐和(なかむら・さわ)に見られていたことが発覚!!バラされたくない春日に、彼女が求めた “契約” とは……!?

好き嫌いが別れる青春時代の黒く深い闇。読み手をかなり選ぶだろう。仲村佐和に出会えたことは、春日高男にとっては幸運だったと思う。ずっと鬱屈してそれを誰にも吐露できなくて、自分で消化して大人になっていくしかない。仲村佐和のおかげで恥ずかしくもぐちゃぐちゃに他人に向けて吐き出せたことは、本当に貴重な体験で、読んでいて羨ましくもある。大人、親はこれを恥ずかしいと考え、子を責める。それは何故なのだろうか。それは後悔で、子には同じ思いをしてほしくないという心からなのだろうか。少なくとも私はそれは教育の結果だと思う。それも含めて認めてあげようという大人たちの包容力がないから、こうして子は闇に陥るのではないのだろうか。

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