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アート

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企画展の感想や自分の創作活動について
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普遍への導き23/24

普遍への導き23/24

2023年の振り返りと2024年の展望。筆が遅くて2月になってしまった。
(文章中の「今年」というのは章の西暦に対応します。)

2023

年の瀬にクラシックが聴きたくなるのは、年末年始に掛けてテレビでクラシック音楽の放送が多いためだろう。大晦日はN響の第九、年越しはジルヴェスター、元日にはウィーンフィルのニューイヤーコンサートが放送され、それらを観ることが毎年恒例だ。私の中で年末年始はクラシッ

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移ろいを遺す│モネ展

移ろいを遺す│モネ展

上野の森美術館で開催されている「モネ 連作の情景」展に行ったのでその感想とか。

遡ること10ヶ月くらい前、シーレ展(東京都美術館)に行った。そのとき今回のモネ展のパンフレットを手にした覚えがある。そこには「100%モネ」なるフレーズが書かれていたのが印象的で、展示作品全てモネなんて注目度の高い企画展になりそうだと思っていた。

実際かなり人気なようで、美術館の前には列が伸びていたし、平日とは思え

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確立された世界観を目指して|マティス展

確立された世界観を目指して|マティス展

先日、東京都美術館で開催されたマティス展(2023/4/27~8/20)に行ったのでその感想とかをつらつらと。

フランスの画家、アンリ・マティスはフォービスム(野獣派)を主導した一人であり、色彩豊かな作風が特徴だ。企画展でもその原色が大胆に使われた画面が目を引いた。
大抵の企画展は展示に合わせて壁紙の色を章ごとに変えることが多いが、マティス展の壁紙が白一色だったのは、マティスのその強い色彩に配慮

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明るくなるために絵を描きたい

明るくなるために絵を描きたい

「憧憬の地 ブルターニュ」「ブルターニュの光と風」を観て感じたこと。

西洋美術館で開催された「憧憬の地 ブルターニュ」23年3/25~6/11
SOMPO美術館で開催された「ブルターニュの光と風」23年3/18~6/11
同じ時期に2つの美術館でブルターニュをテーマにした企画展が開かれたことは意図的だったのかは分からないが、せっかくの機会なのでどちらの企画展にも足を運んだ。

端的に感想をまず

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愛を描くことへの理解

愛を描くことへの理解

国立新美術館で開催されている「ルーヴル美術館展 愛を描く」を3月の上旬に観に行ったので、忘れないうちに感想を記す。
あのルーヴルの絵画たちが日本に来るということで、個人的には前々からかなり期待していた。
だが結論から言うと、絵画はもちろんすばらしかったが、違和感を覚えた企画展だった。その「違和感」の原因は「愛」というテーマにあったと思う。
単純に絵画から「愛」を読み取ることができなかった。
という

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寡作と見栄

寡作と見栄

絵を描くときに最近感じていること。

―――
オランダのアムステルダム国立美術館で史上最大級のフェルメール展が始まっているらしい。
フェルメールの現存する絵画は37点しかなく、そのうちの28展が展示されているそうだ。

フェルメールといえば2018年に上野の森美術館で開催されたフェルメール展を思い出す。
コロナ前だったので大勢の人が押し寄せて、殆ど人を観ていたような記憶がある。フェルメールの絵画を

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