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明るくなるために絵を描きたい

「憧憬の地 ブルターニュ」「ブルターニュの光と風」を観て感じたこと。

西洋美術館で開催された「憧憬の地 ブルターニュ」23年3/25~6/11
SOMPO美術館で開催された「ブルターニュの光と風」23年3/18~6/11
同じ時期に2つの美術館でブルターニュをテーマにした企画展が開かれたことは意図的だったのかは分からないが、せっかくの機会なのでどちらの企画展にも足を運んだ。

端的に感想をまず述べるのであれば、どちらも最高レベルの企画展だった。何をもって最高というかは人それぞれだとは思うが、展示のクオリティはもちろんのこと、個人的に観ていて感動する絵画が多かった。ブルターニュを舞台にした風景画を中心とした展示は、その風景の空気感と迫力を存分に体感することができた。特に西洋美術館のほうはここ数年でいちばん素晴らしいと思えるものだった。

「ブルターニュ」というのは地方の名称で、フランス北西部の突き出た半島をブルターニュ地方と呼ぶ。
古くからケルト人が住んだブルターニュ半島は10世紀にはブルターニュ公国として統一され、フランス革命後にフランスに併合されてからも長らく自治州の地位を守り続けた。
産業革命を経験した欧州で、手つかずの自然が残され、またケルトの文化を保持し続けたブルターニュに、画家たちは憧憬の地としてこぞって足を運んだ。(両方の企画展の解説をざっくり抜粋するとこんな感じ)

SOMPO美術館のほうは展示一覧の資料と一緒に地図まで資料として配布していた。

欧州では18世紀から19世紀にかけてフランス革命や産業革命が起こった。それは歴史の大転換期であり、西欧社会は近世から近代へ、君主制から市民社会へ移った。この転換期は歴史という大枠だけでなく、美術においても同様のことが言える。チューブ絵具が発明されたことで戸外制作が可能になり、風景を生き生きと描写した印象派が生まれた。これまでの写真の代替としての絵画、権威の象徴としての絵画ではなく、自身が観たもの感じたものをあるがままに描写する時代に突入した。

私は19世紀の絵画、いわゆる印象派とその前後の絵画が特に好きだ。ルーヴル展の投稿でも印象派について触れたように、観たものを素直に描いた絵画はときめきを感じる。明るくてやさしくて、きらきらしている。そんな絵が好きだ。
今回の2つの企画展はそれらを存分に感じることが出来た。
やはり絵というのは鑑賞者が明るくなるために、優しい気持ちになれるために、そして自身の心を開放するためにあるものだと企画展を通じて再確認した。戦争の風刺、写真の代替、いろいろな絵画があるが、自身が感じたありのままの風景、感情をいきいきと描いた絵画がいちばん感動するし、人の心を動かせると思った。

ブーダンの絵が観れて嬉しかった。(SOMPO美術館)

絵画というのはたとえ直接的なイメージでなくとも、描いたモチーフからさまざまなイメージを膨らますことが出来る。それが鑑賞者に対して、優しいにしろ、明るいにしろポジティブな感情を与えられたらいいなあと私自身、絵を描く人間として思うのである。




おわり
最後まで読んでくれてありがとうございました。

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