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ウェブメディアの成長には、3つのステップがある

今回もTwitter経由でご質問いただきました!いやーありがとうございます。今回のテーマは「ウェブメディアのたどる3つの成長ステップ」についてです。

立ち上げ当初のwebメディアがライターを募集するものの本当は編集者的な人を求めているケースがあるといったツイートを拝見しました。
この場合、ライターと編集者の違いはどんなところでしょうか。例えばライター:取材・原稿作成のみ、編集者:企画出しやディレクションまでという感じでしょうか。

以前つぶやかせていただきました。こちらのツイートですね。ありがとうございます。

私自身、これまで企業のオウンドメディアや一般的なメディアサイトを複数回立ち上げてきた中で、ゼロから編集体制を構築する機会が何度かありました。

そうした中で試行錯誤してたどり着いた現時点での考えを、ご紹介したいと思います。

ウェブメディアがたどる、3つのステップ

個人的に、ウェブ媒体の運営には大きく3つのフェーズがあると思っており、順を追って説明します。

①立ち上げ黎明期
②質をとにかく高めていく時期
③成熟期

①立ち上げ黎明期

まず、黎明期について。

これがツイートでもご紹介した「新規でメディアを立ち上げたとき」あるいは「編集部門をゼロから立ち上げるとき」に当たります。

この時期、ウェブ媒体を立ち上げた立場としては、「そもそも媒体を存続させること」、要するに「定常的にコンテンツが出続けていて、媒体にとって必要なコンテンツが充足している状態をいかにつくるか」が、至上命題となってきます。

当然ながら、サイトがあっても中身がスカスカでは意味がないですし、初動でたくさんのコンテンツを作った方が、その後のレバレッジは◎。

あと、そもそも最初のうちはどういうコンテンツが当たるのかがわからなかったりもするので、頭を抱えて1本ずつ記事をつくるというよりは、まずは球数を揃えてどんどんコンテンツを出し、反応を見るのが重要ですし、そもそも制作の地盤を整えていかないと、今後の戦略進行がつらくなってきます。
私自身は管理職として、このフェーズにあるメディアの主要KPIを「記事の本数」や、「優秀なライター・編集者のリクルート数」など、アクション面に全振りし、「ページビューやユーザー数といった指標面については二の次」というスタンスをとることが多いです。

※というか、コンテンツがスカスカなこの時期は、コンテンツを増やせばそれに比例してPV やUUが増えやすいので、本数を追いかけていれば数値面はおのずとついてくる傾向にある、というのもあります。

さて、ここで早速冒頭の質問の回答にはなるのですが、こういう時期に必要な編集人材とはどういう形でしょうか?

個人的にはライターとして自分の時間を使って1本1本記事を書ける人材というよりは、たくさんのライターをディレクションしてたくさん記事を作れる人材、あるいはいろんな人から企画を吸い上げて、制作の進行管理ができる人材になるんではないかというふうに考えています。
※なおご質問いただいた通り、ここでは、「ライター=自分で取材して記事をつくる人」、「編集者=企画・ディレクションをする人材」と定義しています

個人的にも過去、編集部門を立ち上げるのだからと正社員ライターを複数名雇用した結果、「ライターの稼働日数×生産可能本数」しか記事が増えず、本数不足がゆえにあまり上手にpdca が回せなかった、という失敗もあります。。このように、ウェブメディアの黎明期には、コンテンツを量産し、かつそれを分析して質の高い企画を作り上げていくかがポイントになってくるのではないか、というのが僕の見立てです。

②質を上げる時期

コンテンツの生産体制が整い、ある程度継続的に記事が量産できるようになってくると、次のような問題が起こります。

・企画が一巡しちゃう問題
・記事がSNSやメルマガなどのチャネルで紹介しきれなくなってくる問題
・(上記に関連して)記事本数を増やしても、思いのほか全体のPV・UUが伸びない問題

こうなってくると「コンテンツの質をどう上げるか」の方に、目を向けていく必要性が高まっていくと考えています。

こういった時期になると重宝するのが、質の高いライター人材。
それまでのPDCAにおいてどのようなコンテンツがヒットしたのかを分析しつつ、コンテンツの質の底上げをしていくことがが媒体としての次のフェーズに進んでいくためのポイントなのではないかと思っています。

ちなみに管理職として、この時期の媒体としての主要KPIはページビューやUUなど、ようやくウェブメディアっぽい(?)数値的な内容を盛り込むことが個人的には多いです。

もちろん本数についてもサブKPIとして設定しますが、それ以上に1本あたりの生産性を加味したKPIを組み立てることが媒体の成長に繋がりやすいと考えています。

③成熟期

最後に成熟期についてです。

コンテンツの数も充足している上、1本あたりのpvなりUUについても平均的な水準が押しあがってくると、いよいよ「成熟期」なのかなという判断をしています。

このころ取るべき戦略は、メディアによって大きく異なるでしょう。
一定程度媒体にもファンが根付いていて、戦略をピボットしたら、固定ファンが逃れてしまう可能性があるような状態なので、それを覚悟でさらに新規を取りにいくのか。あるいは既存ファンのライフタイムバリューを高めていくのか、など。正解はありません。

コンバージョンをどう伸ばしていくかを考えたり、あるいは自社の他のサービスにどのように読者を流入させていくかを考えていったりなどなど、媒体を立ち上げた当初の気持ちに立ち返って、戦略を見つめなおすのが大事なのかなと。

ちなみにこのフェーズが管理職としてはつらいことも多くて、目に見える成長曲線を描きづらいため、経営層とのやり取りも難航しがちですし、読者のマンネリ化を防ぐのも難しくもなってきます。

なお僕の場合は、成熟期に至ったらその媒体は運用フェーズで回し続け、他の媒体をまたゼロから立ち上げて、新規の読者層を取りに行く、という動きを取ることが多いです。編集長業務は次の人に任せてイノベーションを起こしてもらい、自分は新しい方に向かう、みたいな。。

以上が現時点で僕の考えるウェブ媒体の3ステップです。

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お話したように、よく僕の元には編集部門を立ち上げたい、あるいは媒体が行き詰まっているから先週者の採用を考えているが、どういう人材が必要だと思うかといった質問をいただくことがたまにあります。そういうときには媒体の状況を聞かせていただきながら、

・こういう場合ライター、あるいは編集者がいいのではないか
・KPIをこういうふうに変えたらいいのではないか


といった辺りをお話しさせていただいています。もしそういったご相談だったり、個人のライターとして活躍の現場をいろいろ知りたいという方がいらっしゃれば、ぜひお声掛けください。

今回もお読みいただいてありがとうございました。

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