スタートアップ編-人々の熱狂を影で支える

こちらのnoteは「mameka記」シリーズになります。


「mameka君ね。面接のときに聞いていると思うけど、"君"は、1年間インターンとして、結果出さないと"次のステージ"には進めないよ」
「とりあえず、あそこの段ボールを動かしといて、これから力仕事がメインだから、あと、明日から、動きやすいTシャツでいいよ」

早口すぎて意識を集中させないと聞き逃してしまう。この人は、Kさん。
頭の回転が恐ろしいほど速い。この場での一番の古株だ。

既に、数名私と同じような立場の人たちがいるようだ。
3人のM。彼らは、日本よりも海外生活が長い帰国子女組だ。
そして、TとS。彼らは、起業を経験している。全員同世代だ。

私には、彼らのような華々しい経歴はない。

ここは、(当時)時価総額数兆円の世界中で誰もが注目する
スタートアップの日本法人だ。いわゆるユニコーン企業と呼ばれる。その中でもOperation部門はサポートを担当する。

社員は全員で20名に満たない。MBAホルダーや元起業家ばかりだ。

既に海外で知名度の高いプロダクトを愛している人、面白いことをやってみたい人

いろんな動機で様々なバックグラウンドの人たちが集まってきている。

この場はまるで異世界だ。個人が放っている熱気が違う。
「世の中に何か新しいことをもたらしたい」というパワーで、
今まで感じたことのない場の空気で溢れている。

とてもワクワクする。

スタートアップは常に人手不足だ。
(といっても、この規模でスタートアップというと業界関係者に怒られてしまう)

現場は、私たちに一任されている。リーダーはM。

「mameka、ここではパフォームしないとすぐ振り落とされるよ(笑)」

確かに、ついていけずに辞めていった人たちもたくさんいる。

大手企業で活躍している人でも、スタートアップに合わない人もいる。
能力の問題ではなく、適性の問題であることはこのときわかった。
"自己分析"の重要性を身にしみて体感させられた。

しかし、ここで、感じたのは、ドライな雰囲気ではなく、1つの目標に向かう集団として、いいチームワークが機能している。できないことはお互いで支え合う。そして、お互いに妥協はしない。

強烈なモチベーションをもつ人たちにとっては、「主体的にやる」ことが当たり前の世界だ。

早速、業務に取り掛かる。とはいっても、ほとんどが力仕事だ。
真夏の暑い日に力仕事はしんどいと思ったが、不思議とこのメンバーで
楽しくやっていたので苦ではなかった。

「mameka、こっちもお願いしてもいい?」

オペレーティングシステムを触らせてもらった。これはすごい。
あらゆる情報がデジタル化されている。これで、データドリブンなオペレーションを回しているのか。非常に勉強になる。

こんな高い生産性で、強いモチベーションの人たちが日夜問わず働いているのだ。日系企業は実際どうなのだろうか?とても気になった。

このスタートアップは、市場規模数兆円を狙うパイオニア的な存在だ。日本では、既得権益がうごめいている中、未開拓の市場に対して、政府がどう仕組みづくりをしていくのか人々は注目していた。そこに”黒船”として変化をもたらそうとしている。

「・・・日本の新産業創出を少しでも前に進めるきっかけになれば」

「こうして、未来をつくっていく立場に俺たちがいるのってすごいワクワクしない?」

もう一人のMが言った。私たちは、自然と1つのものに向かっている過程で、更にお互いの仲を深めていった。それが、スタートアップの過酷な状況を乗り越える原動力になっている。

サービスローンチは1ヶ月後に迫っている。
日々新たな問題が出ては、それを潰してを繰り返していた。

ある日転機が訪れた。

「このままのリソースでは捌き切れない。数日後に、僕たちはパンクするよ」

今まであまり話したことのない、Aさんが出てきた。Aさんは、海外の理系の大学を出ており、数字にめっぽう強い。事前に知らせてくれてとても助かった。これから、人を採用して教育するのをお願いするのは手遅れだ。

メンバーで打ち合わせたところ、動画onbording*がいいということに決まった。だったら、話が早い。今すぐ作ろう。構成を練り、撮影、編集と1日で仕上げた。 (onbarding* 採用方法)

結果的に、リソースを今までの半分にすることができた。

「mameka、1人でやり切るのはやるね」

ローンチ1週間前に、Global MTGがある。そこで、私たちのβ版の顧客満足度が出てくる。

「Tokyo ・・・Bottom」

何と私たちの施策が裏目に出たのだ。ローンチまで1週間、このままではマズイ。日に日に精神がすり減っていく。細かい改善を積み重ねていくしかない。

日々のオペレーションに追われ、考える時間がない。「これが、スタートアップの試練か」周りのメンバーも疲弊してきている。

その中でも、Aさん、Kさんは寝る間も惜しんで、サービスに磨きをかけている。こういった人達が、華々しいスタートアップにおける人々の熱狂を裏で支えている。

ついに、心身の疲労のピークを迎え、休日一息ついたところで、身体が痙攣して動かなくなった。一瞬、何が何だかわからなくなっていた。休んでいる暇はない。

ローンチまで、あと3日。

東京でのサービスリリース日では、十分なサプライを提供する必要がある。
最後の打ち手として、パートナー会を開いた方がいいと私から提案した。

「よし、やろう」

すぐに、準備が始められた。スタートアップでは、費用対効果を気にする必要があるが、今回に関しては、念には念を入れた方がいいという理由で案が通った。

リリース直後の動き方が非常に重要であることは、このとき学んだ。

課題は山積みだけれども、後は見届けるだけだ。これで、"次のステージ"に進めるかな。

サービスローンチ前夜、目の前の業務をおえて、前々から準備されていたローンチパーティーにスタッフとして赴いた。

これだけ人が集まるのも、世の中からの期待と、社長への人望だろう。
会う人々は、記者や編集者、経営者やVC、渡される名刺は華々しい経歴ばかりだった。

人々の熱狂の裏には必ず立役者がいる。Operationという仕事をしてみて、
それを改めて感じた。

今回の仕事は私でなくてもできたかも知れない、しかし、その中でも
しっかりとローンチを見届けるために、やれることはやったつもりだ。

「それでは、サービスの説明に移ります・・」

人々の視線が壇上へ向き直った。皆、新しいものをみれる期待でとてもワクワクしている。

これから、このサービスをきっかけに世の中は大きく変わっていくだろう。
人々の心を動かす新規事業はとても面白い。こうやって、何もないところに熱気を作れるのだから。

もっと、新規事業に携わってみたい。そのためには、自分の強みを明確にしないとな。

いつか、人々の心を躍らせるようなサービスを提供できる日が自分にもくるのかな?これから、そんな仲間達と出会えるのだろうか?目標に向けてやるべきことを考えないと。

後日、そのサービスのローンチは日経の一面を飾ったと聞かされた。

(おわり)


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