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私はあまりにも不健康だしピエロだし

昨晩もよく眠れなかった
濃いブラックコーヒーを夜中に飲んだからかもしれないし、精神不安からかもしれないし、体が私を不健康へと追い詰めようとしているからかもしれない

昨晩、友達の誕生日をお祝いしようと、バイト先のケーキ屋さんからケーキをたんまりもらってきました
わくわくしていましたが、友達は風邪をひいちゃったみたいで
パーティーはなしになりました
彼女は食欲はあったようなので、ケーキはいくつかお裾分けしました

帰宅して、私は三つのケーキを前にして、考え込みます
ケーキを一人で食べるのって、苦手です
ケーキは、おいしいねってみんなで顔を見合わせながら食べるもの
一人で食べる際には映画をお供にすることもありますが、昨晩は映画を観る気分ではありませんでした

誰かと電話をしながら食べる?
でも、電話だと私がケーキを食べている様子を見ていてもらえません
見ていてほしいの
ケーキを美味しそうに食べる様子を、見ていてほしいの
幸せが増幅するから

誰かを呼ぶ?
近くで呼べるような友達は風邪をひいているあの子しかいません
どうしよう

インスタライブをすることにしました
もちろん、サブ垢で
フォロワー13人

私は割とインスタライブをする方です
なんせフォロワーが13人で、皆私の酔っ払い姿やすっぴん姿を見せたことがあるような、気心の知れた人たちです
寂しい夜、誰かと話したい夜、何人かと話したいような夜、誰に電話をかけるか決められないような夜に、私はライブを開始します

ケーキを三つ画角に収まるように置き、ディズニーのブタの被り物を被り、ピンク色のサングラスをかけて開始ボタンを押しました
サブ垢はあまり開かない人も多いですし、なんせフォロワーが少ないものですから、数分間は一人でケーキを食べ進めます
おいしい、でもさみしい
誰かきてー

仲良しの友達が二人きてくれました
彼女たちは私のライブの常連なので、特にツッコミを入れることはありません
ケーキの紹介をしながら、喋ります

お、こんばんは〇〇と〇〇 元気かー 今日何してたー 私はバイトしてきたよ 今日〇〇ちゃんのお祝いするつもりでケーキいっぱい持って帰ってきたんだけど風邪ひいちゃったみたいー 残念心配だよねー 見て、これチョコケーキ 私これ好き あとモンブランとフルーツタルト このタルト初めて食べるのー 楽しみ 食べるよー んんおいしい! おいしいねえ もう22時だけどいいかなあ 太っちゃうよねえ 困る でも仕方ないよねえ これ今日食べなきゃだもん おいしい 見てコーヒーブラックにしすぎた どばっと入れちゃったのー 超苦い うわー でも私ケーキにはコーヒーなんだよね 二人ともコーヒーあんま飲まないよね ケーキの時何飲むのー やばいおいしい 太るよー ねえ今日学校だったー? 〇〇は確か明日も学校だよね 私はバイトだー 最近人手足りないみたいで結構バイトしてるのよ 今月金欠だからちょうどいいけどさー 疲れるから程々にしたい でもお金ほしいしなー 〇〇はバイト何曜だっけ あ、明日バイトじゃない?

元気だよ
今日学校だった
おいしそう
いいじゃん食べちゃえ
バイトえらい

今一緒にガストにいるよ

えー今一緒なのなんでいいなー あ、もしかして〇〇と一緒?そういえば今日夜ご飯食べにいくって言ってたけどあなたたちだったかー てことは〇〇も一緒にいるの? 待ってこの姿見られちゃってるじゃん まあいいかー

陽気な格好でケーキをむしゃむしゃ食べながら、とりとめもなく喋り続けます

〇〇と〇〇と〇〇が、一緒にいることがショックだった
私はインスタライブをしちゃうくらい寂しかったのに
あの3人は今一緒にいるんだ

まるりが暇なら誘えばよかったー
なんて言ってくれたけど
誘ってほしかったなあ

ばかみたいな格好で明るく一人で喋り続けているのが、恥ずかしくなりました
あの子たちには私の気持ちなんていつもすぐにわかってしまうし
私が不安定で明るくしていることなんてわかっているのだろうし
私ピエロみたい
恥ずかしいな

それでもケーキを食べ続けたくて
残したくなくて
喋りながらライブを続けます

3人は、ガストで見てくれているのです
コメントのペースがいつもより遅く感じます
そりゃそう、だって皆で話しているんだもん

23時になり、そろそろ甘さで脳みそが破壊されたのと、疲れたので、うまく喋れなくなってきたので、その旨を伝えてライブを終わらせました
あー、私何やってたんだろ
やばいこれ鬱入る

食べ散らかしたケーキを片付け、リップだけ落とします
わかってる、鬱に入ると眠れないって

スマホをいじいじして、マッチングアプリの男の子と電話をすることになりました
こんな時間には、人と話して鬱を麻痺させるのが一番良い

彼は、電話が繋がるなりビールの缶をぷしゅっとあけました
私も、負けじと冷蔵庫からビールを取り出して、ぷしゅっとします
乾杯、と言ってお互いごくごくと飲み始めました

はじめましての彼
ビール好きという共通点があったので、ビールについて語り合います
この銘柄が美味しい、ここのお店が最高だった、と

飲みながら話していると、やっぱり仲が深まる気がしますね
会話が楽しければ楽しいほど、ビールは進みます
私たちはその後も家にある缶をいくつかあけました

彼は私のことを気に入ってくれて、私も彼とは気が合うと感じることも多く、顔もかっこいいと思ったので今度のデートの約束をしました
時計は3時を回っていました

そろそろ眠くなってきた気がする、と伝えて電話をおしまいにしました
ありがとう、またね、おやすみ

ベッドに横になると、胸がざわざわします
やばいやばいやばい、私、これからどうやって生きていけばいい、助けてたすけて助けて
お酒にも会話にも頼れなくなった3時過ぎ、私は一人でベッドの上で鬱と格闘しました
やめて、やめて、眠らせて、眠りたいの、助けて助けて

なんて格闘していたら、5時になっていました
なんて嫌な夜明けなんでしょう
私、だめな時間の過ごし方をしちゃった

ケーキをいっぱい食べたから太るし、お酒も結構飲んじゃったし、眠れないし、私はばかだし
最悪だ
助けてほしい

心も身体も不健康で、今の私はどうしようもないんです
一人で戦うべきなんです
でも、誰かに縋らないとどうしてもやっていけないんです

彼とのデートがどうか素敵なものでありますように
私、それまでに不健康を治してヘルシーで可愛い女の子になりたい


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