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Youtube動画に映り込んじゃった話

Youtube動画に映り込んじゃった話

この日、私は男の子と新宿のホテルで一晩を過ごしました
飲みすぎて終電をなくし、酔った勢いでした

目覚めると、太陽が照り照り
二日酔いで火照る体と痛む頭、落としていなくてぼろぼろのメイク
お酒がないとうまく会話ができない私たち

ホテルのチェックアウトの時間が迫っていたので、会話もそこそこにホテルを飛び出した昼下がり

新宿は前夜の怪しげなネオンは影を潜めましたが、怪しさはそのままに
けばけばしい安売りの昼の色に変わっていました
夜の仕事の人たちのものから、昼を生きる人たちのものへと変わった歌舞伎町を私たちは歩いていました

こんな姿、知っている人には見られたくない
東京だからできること
恥ずかしい姿を私はしている

そんな思いでふらふらと歩いていきました

歌舞伎町の入口の前の交差点に人だかりができていました
ぼうっと歩く私たちはぼうっとそれらを眺めました
そして、ゆっくりと歩き出しました

数歩歩いた彼が後ろを振り返り、
「あれYoutuberじゃね」
と言いました

おや、と思って振り返ってみると、確かにYoutuberでした
私はYoutuberには疎いのですが、そんな私でも知っているレベルの人でした

やばいね、多分ガッツリ映っちゃったよ
なんて言いながら、私たちは新宿駅へと向かいました
しばらく動画チェックしてみるか、なんて言いながら

彼との連絡はその数日後に途絶えました
きっとそんなもんなのです

私はあの日から数日おきに、あのYoutuberの動画をチェックしていました
映りを確認したかった
多くの人が見ているはずのチャンネル、私であると誰かに分かりはしないかと心配だった


先日、その動画が上がりました



がっつり映っていました


彼と歌舞伎町を闊歩し、メイクが落ちた顔でカメラに映り込む私の姿が


ぎゃー!

叫びましたよ


ビジュ悪っ

隣の彼はかっこいい


いや、この人恋人じゃないのに一緒に映ってしまった
動画っておそらく消えません

私は少し楽しくなって、何枚かスクショしました
友達に見せて楽しんでもらおう


彼とは一晩だけだと思います
そんな一晩が、我々のインターネットに永久に刻まれることになりました

これは、おもしろいことなのかもしれません


知り合いが気づかないことを祈りながら人生を過ごしていきます
おーい、彼もチェックしたかー

送りつけてやろうか

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