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ガン病床からの論稿集

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「ガン患者の徒然日記」を公開していますが、ここでは日本社会の動きを見ながら私が病床で考え綴った文章を、「ガン病床からの論考集」として載せてあります。コメントをいただいてもお返事で… もっと読む
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記事一覧

あなたは台湾を守るために中国と戦争しますか

ー 敵基地攻撃能力の保持は、戦争を抑止するのでなく、かえって戦争を招く ー

    1 はじめに
    2 果たして台湾国民は台湾有事をどう観ているだろう  
    3 台湾有事を望んでいるのは誰なのか
    4 アメリカは台湾有事に際して米軍を派兵するだろうか
    5 敵基地攻撃能力を持つことが戦争の抑止力になるか
    6 今、私たちに問われているのは

1 はじめに 

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「交渉による解決」以外にウクライナを破滅から防ぐ道はない

 私たちの多くが望むウクライナ戦争終結の最善のシナリオは、ウクライナがロシアに勝ってロシア軍をウクライナから撤退させることだろうが、果たしてこの戦争でそれは可能なのだろうか。それをどう考えるかで、この戦争を終結させるための道が二つに分かれていくように思う。一つは最後まで戦う道、もう一つは交渉で解決する道。それをめぐって、ウクライナ支援をめぐる私たちの議論も分かれることになる。

 私の見方からする

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途上国の人々にとって、どちらが正義かではなく、自分たちを苦しめるこの戦争こそが最大の悪なのではないだろうか

 「民主主義諸国は専制体制との戦いのために、決起し始めた。平和と安全保障の側に、世界が立っていることは明白である」(バイデン大統領・一般教書演説)この演説から、アメリカがウクライナ戦争をどう位置づけているかがわかる。専制体制との戦い、ロシアの弱体化がこの戦争の目的であり、バイデンにとってクライナは将棋の駒に過ぎない。しかし、途上国の人々は、また新興国の人々は、そして世界はこの戦争をどう見ているのだ

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ウクライナ戦争に寄せて

<返信> 
おはようございます。昨夜は疲れていて、返事が書けませんでした。重要な議論だと思いますので、私の意見を述べます。

 ロシアの兵がドンバス地域を超えた瞬間から、ロシアの言う自衛という「大義」は失われ、自衛を口実にした侵略戦争に転化したと私は考えています。ですから、私もウクライナ人だったら、セレンスキー政権に批判的だったとしても、銃をとって侵略者であるロシア兵と戦っただろうと述べたのです。

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「民主」vs「専制」の背景には、先進国と途上国の対立の構図がある

        目黒真実(元日本語教師/肺洗顔ステージ4bにて在宅療養中)

 これまで「豊かな脱成長社会」について考えてきていたわけですが、「脱成長」とはつまるところ「脱GDP神話」ということであり、「経済よりも環境を」(持続可能性)、「GDP成長よりも安心を」(格差なき世界)という大きな歴史の流れの中で起こっているものと考えるようになっています。
 問題なのはその時の社会システムで、いわゆる代

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敢えて言おう「専制は悪ではない」とー民主の中に専制が潜み、専制の中に民主が潜むとー

       目黒真実(元日本語教師/肺洗顔ステージ4bにて在宅療養中)

 「民主か専制か」というけれど、少し考えてもらいたいことがある。民主と専制は、人類の歴史を見ると、ギリシアの昔から交互に入れ替わり立ち代りしながら、同じ社会の中で起こってきた。民主が衆愚政治に堕した時、賢人政治や英雄待望が生まれ、そして専制が生まれた。逆に専制が行き過ぎると、そこに民主への揺り戻しが起こりと、民主と専制は互

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ウクライナ停戦への道があるとすれば、それは・・・・

      目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 ウクライナ報道も落ち着きを見せ、やっとウクライナ戦争の原因に遡った議論ができるようになったように思います。原因に戻って考えなければ、解決の道も見えてこないわけです。
 ロシアとウクライナの歴史、ウクライナの東西の対立の歴史を振り返って考えった時、解決の道は一つしかないと思い始めています。それはウクライナの軍事的非同盟(中立

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ウクライナのNATO加盟は、ほんとうに民意だったのか?

       目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 「台湾を第二のウクライナにしないために」という問題を考えながら、台湾について調べていたとき、重大なことに気づきました。それは、ゼレンスキー大統領が言うところのNATO加盟が、ほんとうに国民多数の民意だったのかと言うことです。より正確に言えば、国民の多くが「ロシアと戦争となったとしてもNATOに加盟したい」と考えていたかと

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台湾を第二のウクライナにしないために、今、問われているのは?

      目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 ゼレンスキー大統領の演説、なんだか熱の入っていない、中身も平坦な演説に思えましたね。チェルノブイリに触れながら、福島にも、広島・長崎にも触れないとは、少しがっかりの演説でした。戦争当事者のどちらか一方だけに国会での演説を認めることが正しいことだとは思っていませんが、そのこと以上に、演説後のインタビューで、与野党の党首が口を

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「戦わない自由」も 「逃げる自由」もあるのではないだろうか

       目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 ウクライナ戦争について調べていた時、ジャーナリスト鮫島浩さんの、こんな一文が目に止まった。

 「個人に命の犠牲を強いることを避けるために、政府があり、外交がある。個人から『戦わない自由』を奪って戦場に送り出す状況を招いた時点で、その政府はもう政府として失格なのだ。戦争の勃発は外交の失敗なのである。」

 この言葉は胸に

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「非ナチ化」は、ロシアのプロパガンダではありません

     目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 ウクライナ戦争に関しては、双方のプロパガンダが飛び交う中、情報の虚実をしっかり把握しておく必要があると思い、以下の投稿をいたします。もちろん、だからと言って、ロシアのウクライナ軍事侵攻が許されるわけではありませんが、ウクライナ停戦交渉になぜ「非ナチ化」が取り上げられているかがわかると思います。

 プーチンが、「ウクライナを

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そもそも「固有の領土」って何なの?

       目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 「あの時、沖縄が独立したいと言っていたら、私たち日本人はどうしたんでしょうね」というあなたのメール、極めて本質をついた指摘ですね。確かに、当時アメリカ統治下の沖縄には独立という選択肢もありました。しかし、沖縄の人々の大勢は平和憲法の国日本への復帰、本土復帰を選択しました。独立の旗を掲げたとしたら、アメリカと日本の二つを敵

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日本には軍事的非同盟という選択もあります

        目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 今回のウクライナ問題から導かれるもう一つの教訓があるとすれば、それはNATOや日米軍事同盟に代わる「軍事的非同盟」という選択肢もあるということではないでしょうか。その際、参考になるのがフィンランドの非同盟・中立外交だと思います。日米同盟か軍事的非同盟か、どちらが東アジアにおける平和を守る道か、真剣な議論が必要ではないで

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北京オリンピックに対する外交ボイコットに思う

        目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)

 外交ボイコット(北京オリンピック)を巡って次のような記事を目にした。
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 岸田氏はそこで「民主主義や人権をはじめとする普遍的価値を重視している」と前置きした上で、民主主義の発展には一定の時間がかかるとし、「歴史的な経緯の積み重ねのなかでの各国の取り組みを尊重する」と述べた。 民主のあり方について、歴史的背景など各

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