マガジン

  • ガン病床からの論稿集

    「ガン患者の徒然日記」を公開していますが、ここでは日本社会の動きを見ながら私が病床で考え綴った文章を、「ガン病床からの論考集」として載せてあります。コメントをいただいてもお返事できませんので、その点はご了承ください。

  • ガン患者の徒然日記

    余命5ヶ月というガン宣告を受けてから、すでに2年になります。この「ガン患者の徒然日記」はこれまで限られた友人たちだけにメールで送っていたものでしたが、友人の勧めもあってここに公開することにしました。私もたくさんのガン闘病記を読んで励まされました。こんな日記ですが、ガン患者やその家族の方のお役に立てば嬉しいです。

最近の記事

あなたは台湾を守るために中国と戦争しますか

ー 敵基地攻撃能力の保持は、戦争を抑止するのでなく、かえって戦争を招く ー     1 はじめに     2 果たして台湾国民は台湾有事をどう観ているだろう       3 台湾有事を望んでいるのは誰なのか     4 アメリカは台湾有事に際して米軍を派兵するだろうか     5 敵基地攻撃能力を持つことが戦争の抑止力になるか     6 今、私たちに問われているのは 1 はじめに   日本では、マスコミが総動員されて「中国=悪の専制国家であり、台湾侵攻がいつ起こ

    • ガン患者の徒然日記 16

      2022.05.28 明後日、久々の海釣りに行ってきます  「廃用症候群」と医者に言われたのが相当ショックだったのか、今朝は朝起きて体操し、朝の散歩に出掛けてきました。やはり朝の空気は清々しい。花壇の紫陽花の花の蕾はまだ硬いですが、開花の雰囲気も漂わせていました。  実は先日、自分に一体どのくらいの体力があるのだろうかと、いつもの散歩コース、およそ800〜900mを休憩なしで歩いてみました。帰ってパルスオキシメーターで測ったところ、血中酸素飽和度が91ぐらい、心拍数が13

      • ガン患者の徒然日記 15

        2022.04.22 はじめの一歩は「歩く」こと、そこからですね  酒井さんも私も、もう無理が効く体ではありませんから、お互い気をつけましょう。酒井さんにとっては私が住んでいる一帯は庭のようなものなんでしょうね。それに昔、自宅から三鷹市役所まで自転車通勤していると言ってましたよね。そんな体なのに、今もいろいろ理事の仕事を続けていらっしゃること、ほんとうに「偉いなぁ」と感服しています。  現状維持、これが本当に容易じゃないですね。今はトイレにも一人で行けますし、入浴も一人でで

        • ガン患者の徒然日記 14

          2022.02.20 陽子さんの愚痴、そして「三鷹のおしん」  陽子さんの腰痛はかなり回復、体の動きも軽くなっているように思います。ただ、胃腸の具合は良くないので、月曜日に医者に診てもらうことになっています。胃腸炎の心配もあります。ほんとうにこの2週間、ヘルパーさんには助けてもらいました。なんと、時間外なのに買い物に行ってくれたり、わざわざ焼き芋を買ってきてくれたりしました。感謝、ほんとうに感謝です。  さて、今日はちょっと内輪の話をしますね。この一週間の中でも起こったこ

        あなたは台湾を守るために中国と戦争しますか

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        • ガン病床からの論稿集
          55本
        • ガン患者の徒然日記
          16本

        記事

          「交渉による解決」以外にウクライナを破滅から防ぐ道はない

           私たちの多くが望むウクライナ戦争終結の最善のシナリオは、ウクライナがロシアに勝ってロシア軍をウクライナから撤退させることだろうが、果たしてこの戦争でそれは可能なのだろうか。それをどう考えるかで、この戦争を終結させるための道が二つに分かれていくように思う。一つは最後まで戦う道、もう一つは交渉で解決する道。それをめぐって、ウクライナ支援をめぐる私たちの議論も分かれることになる。  私の見方からすると、この戦争が長引けば長引くほど、自国の領土が戦場になっているウクライナの方がロ

          「交渉による解決」以外にウクライナを破滅から防ぐ道はない

          途上国の人々にとって、どちらが正義かではなく、自分たちを苦しめるこの戦争こそが最大の悪なのではないだろうか

           「民主主義諸国は専制体制との戦いのために、決起し始めた。平和と安全保障の側に、世界が立っていることは明白である」(バイデン大統領・一般教書演説)この演説から、アメリカがウクライナ戦争をどう位置づけているかがわかる。専制体制との戦い、ロシアの弱体化がこの戦争の目的であり、バイデンにとってクライナは将棋の駒に過ぎない。しかし、途上国の人々は、また新興国の人々は、そして世界はこの戦争をどう見ているのだろうか。  私たちはロシアが国際社会の中で孤立していると思っている。しかし、実

          途上国の人々にとって、どちらが正義かではなく、自分たちを苦しめるこの戦争こそが最大の悪なのではないだろうか

          ウクライナ戦争に寄せて

          <返信>  おはようございます。昨夜は疲れていて、返事が書けませんでした。重要な議論だと思いますので、私の意見を述べます。  ロシアの兵がドンバス地域を超えた瞬間から、ロシアの言う自衛という「大義」は失われ、自衛を口実にした侵略戦争に転化したと私は考えています。ですから、私もウクライナ人だったら、セレンスキー政権に批判的だったとしても、銃をとって侵略者であるロシア兵と戦っただろうと述べたのです。これが私の基本的な立場です。  さて、私が「ウクライナ戦争の前にウクライナ内戦

          ウクライナ戦争に寄せて

          ウイグル人権問題の背景には “東トルキスタンイスラム運動”の問題があります

                  目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)  ウクライナ人権問題がマスコミでも取り上げられていますが、この中で報道されていないことがあります。そのため、多くの国民は知らないのですが、ウイグル問題の背景には “東トルキスタンイスラム運動(ETIM)”の問題、いわゆるイスラム過激派の「テロ」問題があって状況は極めて複雑です。それなのに、ジェノサイドとか人権侵害とか西側の論理だけが一方的に流され、なぜこのような人権侵害、つまり同化(=漢化)政策が行

          ウイグル人権問題の背景には “東トルキスタンイスラム運動”の問題があります

          「民主」vs「専制」の背景には、先進国と途上国の対立の構図がある

                  目黒真実(元日本語教師/肺洗顔ステージ4bにて在宅療養中)  これまで「豊かな脱成長社会」について考えてきていたわけですが、「脱成長」とはつまるところ「脱GDP神話」ということであり、「経済よりも環境を」(持続可能性)、「GDP成長よりも安心を」(格差なき世界)という大きな歴史の流れの中で起こっているものと考えるようになっています。  問題なのはその時の社会システムで、いわゆる代議制民主主義は残るでしょうが、自治体や地域レベルでの参加民主主義が重要な役割を果

          「民主」vs「専制」の背景には、先進国と途上国の対立の構図がある

          「成長が先か、分配が先か」だって?成長神話から抜け出せない日本の与野党

                 目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)  考えてみれば、私たち団塊の世代は、「豊かな時代」を生きてきました。経済は 成長し、春闘をすれば大幅な賃上げがあり、生活が豊かになるのを実感しながら生 きてきました。別の言い方をすれば、「努力が報われる」時代だったような気がし ます。  しかし、バブル崩壊の後、ほぼゼロ成長の時代に入り、給料は実質的な目減りを し、その失われた30年の間に、格差は拡大し、非正規雇用労働者が40%を超え、雇用者の5人に

          「成長が先か、分配が先か」だって?成長神話から抜け出せない日本の与野党

          敢えて言おう「専制は悪ではない」とー民主の中に専制が潜み、専制の中に民主が潜むとー

                 目黒真実(元日本語教師/肺洗顔ステージ4bにて在宅療養中)  「民主か専制か」というけれど、少し考えてもらいたいことがある。民主と専制は、人類の歴史を見ると、ギリシアの昔から交互に入れ替わり立ち代りしながら、同じ社会の中で起こってきた。民主が衆愚政治に堕した時、賢人政治や英雄待望が生まれ、そして専制が生まれた。逆に専制が行き過ぎると、そこに民主への揺り戻しが起こりと、民主と専制は互いに交替しながら社会は変遷し、進歩してきたと言えるからだ。  例えば、フランス

          敢えて言おう「専制は悪ではない」とー民主の中に専制が潜み、専制の中に民主が潜むとー

          ウクライナ停戦への道があるとすれば、それは・・・・

                目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)  ウクライナ報道も落ち着きを見せ、やっとウクライナ戦争の原因に遡った議論ができるようになったように思います。原因に戻って考えなければ、解決の道も見えてこないわけです。  ロシアとウクライナの歴史、ウクライナの東西の対立の歴史を振り返って考えった時、解決の道は一つしかないと思い始めています。それはウクライナの軍事的非同盟(中立化)と、クリミアと東部ドンバス地域に高度の自治権を与えた上でのウクライナ連邦とい

          ウクライナ停戦への道があるとすれば、それは・・・・

          ウクライナのNATO加盟は、ほんとうに民意だったのか?

                 目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)  「台湾を第二のウクライナにしないために」という問題を考えながら、台湾について調べていたとき、重大なことに気づきました。それは、ゼレンスキー大統領が言うところのNATO加盟が、ほんとうに国民多数の民意だったのかと言うことです。より正確に言えば、国民の多くが「ロシアと戦争となったとしてもNATOに加盟したい」と考えていたかということです。と言うのも、台湾の独立問題に関連して、次のような世論調査の結果が出

          ウクライナのNATO加盟は、ほんとうに民意だったのか?

          「戦わない自由」も 「逃げる自由」もあるのではないだろうか

                 目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)  ウクライナ戦争について調べていた時、ジャーナリスト鮫島浩さんの、こんな一文が目に止まった。  「個人に命の犠牲を強いることを避けるために、政府があり、外交がある。個人から『戦わない自由』を奪って戦場に送り出す状況を招いた時点で、その政府はもう政府として失格なのだ。戦争の勃発は外交の失敗なのである。」  この言葉は胸に刻んでおかなければならないと思う。いったん戦争が始まってしまうと、「戦え!」一色

          「戦わない自由」も 「逃げる自由」もあるのではないだろうか

          台湾を第二のウクライナにしないために、今、問われているのは?

                目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)  ゼレンスキー大統領の演説、なんだか熱の入っていない、中身も平坦な演説に思えましたね。チェルノブイリに触れながら、福島にも、広島・長崎にも触れないとは、少しがっかりの演説でした。戦争当事者のどちらか一方だけに国会での演説を認めることが正しいことだとは思っていませんが、そのこと以上に、演説後のインタビューで、与野党の党首が口を揃えてロシアに対する経済制裁継続を声高に叫んでいるのには呆れてしまいました。誰一

          台湾を第二のウクライナにしないために、今、問われているのは?

          「非ナチ化」は、ロシアのプロパガンダではありません

               目黒真実(元日本語教師/肺腺癌ステージ4bにて在宅療養中)  ウクライナ戦争に関しては、双方のプロパガンダが飛び交う中、情報の虚実をしっかり把握しておく必要があると思い、以下の投稿をいたします。もちろん、だからと言って、ロシアのウクライナ軍事侵攻が許されるわけではありませんが、ウクライナ停戦交渉になぜ「非ナチ化」が取り上げられているかがわかると思います。  プーチンが、「ウクライナを非ナチ化する」と宣言したとき、日本の多くの識者や国際政治学者たちがこぞってロシア

          「非ナチ化」は、ロシアのプロパガンダではありません