あなたは台湾を守るために中国と戦争しますか

ー 敵基地攻撃能力の保持は、戦争を抑止するのでなく、かえって戦争を招く ー

       1 はじめに
    2 果たして台湾国民は台湾有事をどう観ているだろう  
    3 台湾有事を望んでいるのは誰なのか
    4 アメリカは台湾有事に際して米軍を派兵するだろうか
    5 敵基地攻撃能力を持つことが戦争の抑止力になるか
    6 今、私たちに問われているのは

1 はじめに 

 日本では、マスコミが総動員されて「中国=悪の専制国家であり、台湾侵攻がいつ起こってもおかしくない。だから日本は有事に備えなければならない」というキャンペーンが大大的に行われている。

 例えば、先の中国共産党の党大会では、「最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せず、あらゆる必要な措置をとるという選択肢を残す」と宣言されているはずだが、日本ではなぜか前半の「平和的な統一を堅持」が全く無視され、後半の「武力行使を放棄せず」のみが強調され、あたかも中国による台湾への武力侵攻が数年のうちにも起こりそうだという危機感が煽られている。

 今、この国ではメディアをあげて中国脅威論が煽られ、敵基地攻撃能力の保持が叫ばれているが、それはなぜなのか、その真の意図を見抜く必要があるのではないだろうか。思い起こせば、この国には「暴支膺懲(ぼうしようちょう)ー横暴な中国を懲らしめよー」が叫ばれ、満州事変・日中戦争から太平洋戦争にまで国民が動員された歴史がある。私たちは台湾海峡の現状を変えようとしているのは誰で、今、台湾海峡の危機が煽られる理由がどこにあるのか、冷静に観てみる必要があると思う。


2 果たして台湾国民は台湾有事をどう観ているだろうか

 尖閣諸島の領土問題は、仮にその近海でなんらかの軍事衝突があったとしても、それが国全体を巻き込む戦争に発展することは考えにくい。国全体を巻き込むような「日本有事」が起こるとすれば、それは台湾有事の場面のみだろう。しかし、なぜ台湾有事が日本有事になるのかといえば、それは集団的自衛権を謳う日米の安保法制(日米軍事同盟)があるからであり、それを除けば日本には台湾有事に軍事的に介入する、つまり中国と戦争をしなければならない理由は一つもないことがわかる。ところで、台湾有事(中台戦争)が起こることを望んでいるのは誰なのか。

 考えてみれば、中国共産党の「一つの中国」論にお墨付きを与えたのはアメリカであり、1972年2月21日、ニクソン大統領が訪中して「一つの中国」をアメリカが受け入れ、「中華民国」台湾と断交し、米中国交正常化の共同声明を発表したことに始まる。日本をはじめ、世界の多くの国が競うようにしてアメリカに続き「中華民国」と断交して「中華人民共和国」との国交を正常化させていった。その結果、中華民国(台湾)は国家であることを否定され、国連から脱退することを余儀なくされたのだ。今日の中台問題はここから始まっている。

 さて、台湾海峡の現状を変えようとしているのは誰で、台湾海峡の緊張を高めているのは誰なのか?中国かアメリカか、それとも日本か、もう一度私たちは頭を冷やして冷静に観た方がいいと思われる。

 アメリカの対中戦略を表す言葉に「以台制華」という言葉がある。これは「台湾を以て中国を制する」とでも訳せばいいだろう。最近、アメリカ国務省のウェブサイトが更新されたが、そこでは「台湾は中国の一部である」や「米国は台湾の独立を支持していない」などの表現が削除された。この重大な変化について日本では報道されることはほとんどなかったが、中国・台湾は敏感に反応した。この件に関して、元ニュージーランド「中華民国」代表の介文汲氏は、台湾のネット番組【頭條開講】https://www.youtube.com/watch?v=aNLh1YNu0ko において、アメリカのこの台湾政策に関する変化を次のように述べている。

 「考えてみるといい。アメリカがちょっとした策を講じただけで、ロシアは見事に引っ掛かって手を出してしまったじゃないか。今度は似たような手で『台湾』を道具に使って中国に戦争を誘発させようとしている。アメリカにしてみれば、この中国こそが本当の敵なんだ。」「アメリカは大臣クラスの人が台湾を訪問したり台湾に武器を売りつけたりして、できるだけ北京を怒らせ、台湾海峡の緊張を高めて、戦争に持っていこうと準備している」「アメリカにとっては、台湾海峡での緊張が高まれば高まるほど有利で、その分だけアメリカの懐にお金が転がりこむという寸法だ」(介文汲氏)

 日本のメディアは台湾国民の誰もが独立を望んでいるかのように報道しているが、私たちは台湾の中にもこのような意見が多くあることを知っておいた方がいい。私たちが日々目にし耳にする情報は、あまりにアメリカ・ペンタゴンの流す情報に偏りすぎている。

 現状を見ると、台湾の与党・民主進歩党も最大野党・国民党も、「中華民国はすでに主権独立国家であり、改めて独立を宣言する必要はない」という立場で一致している。台湾の地位については「現状維持」以外の選択肢はなく、最新の台湾の世論調査でも「統一支持」は1~3%に過ぎず、将来的な独立を望む人も含めて台湾国民の80%は「現状維持」を望んでいることがわかる。つまり、「中国と戦争をしてでも台湾独立を勝ち取る」と考える独立強硬派の人たちはごく一部だということがわかる。この台湾の独立問題に関連しては、次のような世論調査の結果(「聯合報民意調査センター」2010年から2019年まで10年間の平均値)<図表1>も発表されているので、是非とも参照してほしい。両者を比較すると、ウクライナ戦争以降、台湾国民の中では、独立支持も統一支持も減少し、現状維持が増加していることがわかる。

 もちろん、これから先、独立強硬派が多数派になり、政権をにぎって、独立宣言を行うといった事態になる可能性は皆無ではない。だが台湾の今日の政治状況から見て、その可能性は限りなく少ないというのが現状だろう。その結果が台湾の統一地方選挙で現れることになる。

 実は、この件について以前の私は一抹の不安を抱いていた。次期総統選で蔡大統領に代わって、アメリカがテコ入れで民進党内のより独立強硬派の大統領が誕生する可能性を危惧していたからだ。しかし、今回の統一地方選挙で蔡英文総統率いる民進党が若者票を失って国民党に敗北したことは、台湾国内の現状維持勢力が依然にも増して強力だということを教えてくれる。第三政党民衆党もこの問題では国民党に近い関係にあり、台湾国民の圧倒的多数は中国と戦争になることを望んでいないことがわかる。ウクライナ戦争に苦しむウクライナ国民の姿を目撃している台湾国民は、「台湾を絶対に『アジアのウクライナ』にしたくない」と考えており、このことは2300万台湾人に共通している。


3 台湾有事を望んでいるのは誰なのか

 中国が台湾の分離独立に反対し、圧力を強めるのは、中国にとっては「民族の悲願(内戦の終結=国家統一)」という面もあるが、分離独立の下地があるチベット、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区などに伝播するのを恐れているからだと思う。習近平は、もともと「戦わずして勝つ」ことを目指しており、同民族の血を流すような台湾の武力併合という事態は可能な限り避けたいと考えている。というのも、中国にとって台湾への武力侵攻は経済的にも軍事的にもリスクがあまりに大きすぎるし、国家の疲弊は避けられず、仮に武力併合に成功したとしても、併合後の台湾を統治運営しなければならない中国政府にとって、「武力攻撃を受けて反中感情が高まっている台湾国民を自国に抱え込んだら、共産党一党支配体制が崩壊する恐れすらある。」(遠藤誉/中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授)からである。

 そのため中国はもっと長い時間軸で台湾の統一を考えている。というのも、経済力(GDP)でアメリカを抜くのも時間の問題であり、台湾海峡・東アジア海域に限って言えば、アメリカを圧倒するだけの軍事力を備える日もそれほど遠くないと考えているからだ。だが、そうなることを一番恐れているのがアメリカであり、なんとしても避けたいと焦っている。その焦りが台湾海峡の緊張を高める「以台制華」政策となり、また中国を経済的に封じ込めるための「対中半導体規制」としても現れている。だが、アメリカがこうした動きを強めれば強めるほど、中国国内の反米感情はいよいよ高まるし、先述の台湾のネット番組【頭條開講】が述べているように、台湾国民の中でも「『台湾』を道具に使って中国に戦争を誘発させようとしている」という疑念を生むことになる。

 中国は台湾に「非平和的手段」(=武力)を行使する条件としては、2005年3月に成立した「反国家分裂法」8条で以下の3つの条件をあげている。

  • 台湾を中国から切り離す事実が生まれる(台湾独立宣言など)

  • 台湾の中国からの分離をもたらしかねない重大な事変が発生

  • 平和統一の可能性が完全に失われる。

 このように、台湾政府が現状維持政策を放棄しない限り、中国が共産党政権の崩壊をもたらしかねないような危険を冒してまで台湾の武力併合しようとは考えてないことを台湾国民は知っているのである。

 では、台湾有事を望んでいるのは誰か?それは台湾でもなければ中国でもなく、もちろん日本でもない。とすれば、答えは自ずと明らかになる。もしアメリカが「台湾政策法案22」の四項目目(台湾はNATO非加盟の主要な同盟国に指定される)を実現したいのであれば、自ら招いた「一つの中国」政策の誤りを認め、台湾を独立国家と認めて国家承認すればいいのだ。だがそれは、1971年の国連総会における第2758決議(中華人民共和国こそが、国連における唯一の合法的な中国である)に抵触するし、アメリカが公然と中国に宣戦布告をするに等しく、戦争を仕掛けたアメリカは「戦争の大義」を失うことにもなろう。


4 アメリカは台湾有事に際して米軍を派兵するだろうか

 米国はウクライナ危機に際して、ウクライナに「軍を派兵しない」という方針を明確化した。このことが米国の台湾防衛に対する台湾側の疑念を高めている。今年3月、台湾の世論調査(TVBS)では、「もし(台中)両岸で戦争が起きた場合、米国は台湾に派兵し、防衛すると信じるか?」という質問に対して、55%が「信じない」と回答。「信じる」は30%(「強く信じる」12%、「まあまあ信じる」18%)に止まった。ウクライナ戦争を目の当たりにしている台湾国民は、実に冷めた見方をしていると言ってよい。

 アメリカは、自らの世界覇権を脅かす唯一の存在である中国をなんとしても弱体化させたいが、その一方で米本土を核戦争に巻き込むような事態は避けたいと考えている。だからこそバイデン政権は、台湾有事に際しては「軍事的に関与する」とは言ったが、「米軍を投入して台湾とともに中国と戦う」とは決して言っていないのだ。私はここにアメリカの本音があると思う。

 つまり、ウクライナ戦争と同様に、台湾戦争でもおそらく米国は中国との戦争に米軍を直接投入しないだろう。まず台湾軍が正面から中国軍と戦い、その台湾軍を後方支援する形で米軍は経済制裁をはじめ、さまざまな軍事支援を行うだろうが、決して戦闘にアメリカ軍を派兵することはなく、実際に台湾への兵站供給基地になるのは沖縄の港湾や空軍基地であり、直接の中国攻撃に使われるのは、沖縄ー南西諸島一帯に配備されたミサイル基地となるだろう。

 日本にとって問題なのは、こうした中国基地に対する敵基地攻撃が、実際には沖縄米軍司令部の指揮下で行使されることだ。情報の収集・分析も含めて、敵基地攻撃の判断を日本側が独自にすることは考えにくい。ミサイルのボタンはアメリカが握っているのである。そして、そのための日米共同作戦計画はすでに策定され、日米の合同練習は7〜8回行われている。「昔は天皇、今はアメリカ」と言うべきか、私には日本は敗戦を境にして、仕える相手が変わっただけかのように見える。

 それを裏付ける重要な証言を、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が4月7日の米上院公聴会で述べている。それが次に挙げられている3点だ。

 ①「台湾は防衛可能な島であり、中国軍の台湾本島攻撃・攻略は極めて難しい
 ②「最善の防衛は、台湾人自身がおこなうこと」
 ③「米国はウクライナ同様、台湾を助けられる」

 これを読み解くと、台湾有事でも米軍を投入せず、ウクライナ同様に「当事者をして戦わせる」ことを示唆していると解釈できる。「台湾有事は日米同盟の有事、すなわち日本の有事」論は、中国と台湾の戦争に日本を巻き込んでアジア人同士を戦わせるシナリオと読んでもいいだろう。そんなことは日本の政府や自衛隊制服組幹部が知らないはずがないのだ。それにもかかわらず、アメリカに「ノー」が言えない国、それが日本なのではないだろうか。

 アメリカ国内世論も、台湾有事への米軍派遣への支持は決して高くない。それどころか、シンクタンク「ジャーマン・マーシャル・ファンド(GMF)」が2022年~7月にNATO諸国14カ国で行った「中国が台湾侵攻した際に、あなたの国はどうすべきか」との世論調査において、アメリカでは、「外交的解決」との回答が26%、「経済制裁」が25%、「台湾への武器供与」が8%、「米軍派兵」は7%にすぎなかった。なお、NATO諸国14カ国全体の世論調査に至っては、台湾有事の際の台湾への武器供与は4%の支持、自国軍の派遣はたったの2%の支持である(同GMF調査)。こうした現実を見るとき、アメリカ議会が「米軍派兵」に賛同する可能性は極めて低いことがわかる。アメリカが中台戦争に直接参戦しないための言い訳は数々用意されている。


5 敵基地攻撃能力を持つことが戦争の抑止力になるか

 岸田首相は「抑止のために反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つ」と記者会見で述べたが、そもそも台湾有事が発生するかどうかは、日本が敵基地攻撃能力を持つかどうかとは別次元の話であり、敵基地攻撃能力を持ったからといって台湾有事を防ぐ「抑止力」にはならない。というのも、中国と台湾の間に武力衝突が起こるとすれば、それは先述の中国が台湾に「非平和的手段」(=武力)を行使する条件(「反国家分裂法」8条)で述べているように、台湾政府が独立宣言を発し、アメリカがそれを承認して、台湾が分離独立への動きを強めた時であり、それに対して中国国内では熱狂的な反米ナショナリズムが勃興し、反米デモや暴動が湧き上がり、台湾独立を止めなければ共産党政権もひっくりかねないほどの緊迫した状況になってはじめて起こることだからだ。このようなケースでは、日本が敵基地攻撃能力を持っていようがいまいが、仮に核兵器を持っていようがいまいが、台湾有事を防ぐ「抑止力」にはならない。とすると、敵基地攻撃能力を持つ目的と言うのは、今まで「矛」の役割を担っていたアメリカに代わって、日本が対中戦争の「矛」の役割を果たすことでしかないことがわかってくる。

 もし台湾有事が発生すれば、沖縄米軍基地が台湾防衛の前線基地となり、南西諸島に配備されたミサイル基地から中国軍基地へのミサイル攻撃が行われ、日本が対中戦争に巻き込まれる、そんなシナリオが見えてくる。中国が沖縄米軍基地や南西諸島のミサイル基地に対して反撃すれば、日本は国土が直接攻撃を受ける「武力攻撃事態」となり、日本は否応なく「祖国防衛」(個別自衛権行使)の名の下で中国と戦わざるを得ないことになる。

 果たして軍拡推進派は、そこまでの覚悟を持って語っているのだろうか。一旦このような戦争が始まり本格化するとすれば、日本には沖縄をはじめとして米軍基地が全国各地に散在しているだけでなく、海岸線には54基の原発を抱えており、日本はひとたまりもないことを知るべきだろう。対中国戦争は、アメリカの軍産産業にとっては「濡れ手に粟」となるだろうが、日本にとっては自滅の道となろう。

 日本の軍拡推進派は護憲派のことを「現実を見ない」と言うが、彼らこそ「あなたは台湾を守るために中国と戦争しますか」「中国と戦争になったとして日本は勝てますか」という根本的な問いに答えてはいない。それとも彼らは、十数億の民と日本の数倍のGDP(2022年現在)を持ち、今日最先端のAI技術を持つ中国に対して、日本が戦って勝てるとでも妄想しているのだろうか。太平洋戦争の愚を繰り返すべきではあるまい。現実を見るというのは、そういうことを言うのではないだろうか。

 もちろん日本の国土がどこかの国から侵略されるというのならば、私たちは個別自衛権を行使して戦うことは厭わない。しかし、他国の戦争(中台戦争という内戦)のために、しかもアメリカのお先棒を担がされて、沖縄を戦場にした上に自衛官たちの尊い血を流してまで戦う必要がどこにあろうか。


6 今、私たちに問われているのは

 アメリカは8月上旬のナンシー・ペロシ氏の台湾訪問のあとも、台湾への武器売却や軍事支援を次々と発表するなど、独立派に肩入れしながら台湾海峡の緊張を煽る動きを強めているが、私には、台湾海峡の緊張を高めているのは中国ではなく、アメリカのように見える。「台湾政策法案22」しかり、中国に対する「半導体の輸出規制」しかり、南西諸島へのミサイル配備しかり、その狙いは、台湾のネット番組(頭條開講)がいみじくも述べたように、「ロシアは見事に引っ掛かって手を出してしまったじゃないか。今度は似たような手で『台湾』を道具に使って中国に戦争を誘発させようとしている」かのように見える。

 では、台湾をめぐって対立を深める米中の狭間で、日本はどのような立場に立つのか?私たちはこの問題に関しては「米中両睨み」でなければならない。中国による一方的な力による現状変更の動きに対してももちろん反対しなければならないだろうが、同時に「中国の台湾武力侵攻の日は近い」と台湾海峡の緊張を煽り、「一方で中国政策を守ると言いながら、他方で台湾独立派を焚き付ける」といったアメリカの二枚舌外交に対しても反対しなければならない。なぜなら、「現状維持」こそが台湾有事を防ぐ最大の安全保障だからである。

 今日本に問われているのは、「対米自立」外交と専守防衛の堅持であり、仮にも日本政府やその高官たちが台湾独立を煽るようなことがあってはならないし、日本政府は台湾国民の「現状維持」の意思を支持する立場を鮮明にし、米中政府に対しても「現状維持政策の堅持」を明確に求めるべきである。そして、万が一にも米中覇権対立が中台戦争を引き起こしたとしても、日本は中国、アメリカ・台湾のいずれの側にも加担すべきではなく、かつて田中角栄がアメリカ政府にベトナム派兵を迫られたときのように、「日本は憲法9条に基づいて参戦しません」とハッキリ断言するべきであり、またそのような政権をつくることが私たちの次世代への責任ではないかと思う。

 今問われているのは、「対米自立」と専守防衛の堅持、そして「緊張緩和のための外交」であろう。そしてインドや韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)を含む多くのアジア諸国と連携して、戦争回避のための国際世論を強固にすることではないだろうか。この非同盟中立の立場こそ国際社会における日本の立ち位置があり、立憲平和主義に立つ平和外交の進むべき大道があると思う。そして、その先に日本が目指すべき戦略目標は、今までの「脱亜入欧」政策から「脱米入亜」への転換であり、「共に生きるアジア」、すなわち東アジア共同体を目指す道ではないだろうか。

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