ウクライナ戦争に寄せて

<返信> 
おはようございます。昨夜は疲れていて、返事が書けませんでした。重要な議論だと思いますので、私の意見を述べます。

 ロシアの兵がドンバス地域を超えた瞬間から、ロシアの言う自衛という「大義」は失われ、自衛を口実にした侵略戦争に転化したと私は考えています。ですから、私もウクライナ人だったら、セレンスキー政権に批判的だったとしても、銃をとって侵略者であるロシア兵と戦っただろうと述べたのです。これが私の基本的な立場です。

 さて、私が「ウクライナ戦争の前にウクライナ内戦があった」と述べたのは、この内戦が現実に存在しているという事実に立って考えなければ、解決の途もないと思うからです。ウクライナには同じウクライナ人同士が片や(西部地域)ナチス軍につき、片や(東部地域)ソ連赤軍につき、互いに殺し合い、血を流し合った歴史があります。その対立と憎しみを抱えたまま独立したウクライナ社会は、私たちが想像できないほど根深い矛盾を抱えていたのではないかと思います。ここでは二つの正義がぶつかり合っているわけです。

 ですから、あなたの言う「(ドンバス紛争について)疑似的な民族紛争」という考え方は、それこそがアメリカやゼレンスキー政権のプロパガンダであり、その考え方に立つ限りこの戦争の解決の途は見えてこないと思います。クリミア半島とドンバス地域の分離独立運動がロシアの関与抜きにはなかったのと同様に、直接の引き金になった2014年のマイダン革命もまた、東ヨーロッパ地域(旧ソ連圏)のNATO化を目指すアメリカの関与抜きに起こらなかったことでしょう。ですから、このウクライナ戦争は、ウクライナ国内の民族内対立の要素も、米ロ代理戦争の要素も持った戦争で、単純な独立戦争ではないと思います。

 今優先されるべきは、いかに早期の停戦を実現するかということでないかと思います。そしてそれを推進するのが私たちの「ウクライナ市民の支持」ではないかと考えます。その際、結局は、東部ウクライナの親ロシア派の人々の分離独立要求をいかにとらえ、いかにウクライナ内戦を収束させるかという問題に直面するのではないでしょうか。私は国連のような中立的な選挙監視団の下で東部地域で住民投票を実施し、彼らが独立を求めるのか、高度の自治権を得た上でウクライナに留まることを望むのかなど、東部地域における住民の意思を問い、ロシアとウクライナ政府がその住民投票の意思に従うということで合意できれば、停戦が実現する可能性もあるのではないかと考えています。第二のミンスク合意といってもいいかもしれません。

 ただ、それはロシアとウクライナ二国間の停戦交渉では難しいでしょう。仲裁国が必要でしょうし、国際世論の支持も必要でしょうし、最終的には米ロの首脳会談が必要でしょう。私たちは今、「ウクライナ停戦に向けて、米ロは首脳会談を開け」という声を高める必要がありますし、この戦争の原因をつくったアメリカには、それをする責任もあると考えます。

 「ウクライナ人を支持する」と言う場合、その中身が語られなければなりませんね。G7や日本政府の言う「ウクライナと共にある」とは異なる、私たちのウクライナ支援のあり方が具体的に語られなければ、中身のない立場表明に過ぎない議論になってしまいます。いかにすれば1日でも早い停戦が実現するのか、そのために私たちは何をなすべきか、このことをもっと深く考える必要があります。


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